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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第7章:獣魔最強決定戦
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ヤバい性癖




「ひとつ、質問をしても良いかな~?」

「ふむ? 構わん。言ってみろ」


 まともな仲間の加入に感動しつつ、本当にまともなのか疑いを持って悩んでると、唐突にトゥーラが前に出た。すでにバールが仲間になることが決まってるせいか、魔将相手にも拘わらずタメ口だね。

 でもバールは全く気にした様子も無く、続きを促した。僕もトゥーラが何を聞きたいのか気になるし、ここは静観しておこう。


「その前に、とりあえず自己紹介をしておこう~。私の名はトルトゥーラ~。ルスリアの冒険者ギルド第二支部のギルドマスターにして、主の忠実なる下僕であり、永遠の伴侶さ~」

「魔将相手にもその自己紹介で行くのか……」


 相変わらず僕の下僕であることを知らしめることに余念の無いトゥーラに、僕もほとほと呆れたよ。まあコロシアムの大観衆の前で暴露したくらいだ。魔将だろうが何だろうが、たった一人の相手に暴露するくらい何でもない事だろうね。


「煩わしいので先に聞いておくが~、主の仲間になるということは我々の立場は同等だろう~? 言葉遣いは砕けていても構わないかい~?」

「我としては別に構わん。ただ公の場ではやめておけ。周囲が少々うるさくなるからな」

「了解だ~。さて、それでは質問なんだが~……本当に君は世界の平和を望んでいるのかい~? 伝え聞く魔将バールのお話は、血生臭く凄惨なものが多いんだがね~?」

「へぇ……具体的には?」


 トゥーラが血生臭いとか言うなら相当なものだろうね。だから僕は興味本位で聞いてみた。


「そうだね~……天使の軍勢を一人残らず八つ裂きにして血の海に沈めただとか~、敵を生きたまま連れ帰り、日夜拷問にかけて楽しんでいるだとか~……その手の噂が結構多いんだよ~。信憑性自体はそこまででは無いんだが、そういった噂が流れるということは何かしら後ろ暗いことがあるんじゃないかな~?」

「まあ、確かにすっげえ血の臭いがすんな」


 キラさん、血の臭いがするのは吸血鬼だからじゃない……? 

 いや、それはともかくなかなか素敵――じゃない、派手な噂だな。お持ち帰りして玩具にして遊んでるとか実にけしからんよ。


「どうなんだい~? 主が仲間に勧誘しているということは、聖人族に対する敵意は無いんだろ~。だが、世界の平和以外にも何か目的があるんじゃないかな~? 主の力を利用して、自らの欲望を満たそうとはしていないかい~?」

「僕を襲って欲望を満たしたお前が他人にそれ言う?」


 とっても真面目な顔でバールに詰問するトゥーラに対して、容赦なくブーメランが刺さってることを指摘した。

 でもまあ、予めそういった事を確認したい気持ちは分かる。何せ僕は無限の魔力を持つ女神様の使徒であり、救世主だからね。その力に群がってくる奴がいるのは当たり前だし、主大好きなトゥーラが警戒するのも当然でしょ。


「……まあ真偽はともかく、僕は仲間たちには寛容だからね。モチベが上がったりご褒美になるなら、可能な限り望みには応えてあげるよ? 何か目的があるなら遠慮せず言ってみなよ?」


 とはいえ僕は身内には優しいタイプだ。そこまで面倒で不快で無ければ、仲間のグチョグチョした欲求を満たしてあげるつもりもある。尤も今の仲間たちが求めてくるのは殺人とか拷問とかエッチの相手とかで、別段不可能な要求をされたことはないけどね。あとは家族に手を出すなとか、その辺かな。


「ふむ……確かに、我は貴様の力を利用してとある目的を果たすことを考えていた。だが、そうだな……」


 どうやらちゃっかり要求を考えてたみたいで、バールはわりとあっさりゲロった。ただどうにも歯切れが悪い感じに言葉を切ると、僕の両隣の犬猫コンビに視線を向けてきた。妙に労わる感じの視線をね。どうしたんだろ?


「……あまり女性に聞かせるべき類の話ではない。先にその二人を退出させてはどうだ?」

「あ、全然大丈夫。何も気にする必要ないよ。コイツらは殺人鬼と生粋のドSでドMだし、二人で共謀して僕を逆レイプしたっていう馬鹿みたいな経歴もあるから、エロでもグロでもどんな話でも大丈夫だよ」


 どうやら女性にはアレな話をするから退出を勧めてきたみたいだけど、そんな気遣いは不要だ。ここにいたのが幼女コンビなら多少は考えたよ? でもさぁ、変態と狂人のコンビだからさぁ……。


「……貴様、なかなか苦労しているようだな……」


 僕の苦労を分かってくれたらしく、妙に哀れみのこもった目を向けてくるバール。

 哀れみでもまあまあ嬉しいよ。もう本当に変なのしか仲間にいないから、わりと辛くてね……しかも僕の大事な始めてを女の子がヤられるエロ同人みたいなノリで奪われちゃったし……。


「ならば隠し立てする必要は無いな。だがその前に、貴様に一つ尋ねよう。女性が最も美しく輝く瞬間とは、一体どのような時だと思う?」


 犬猫コンビは気にせず話すことにしたらしいバールが、突然そんな哲学染みた問いを投げかけてきた。

 ふむ。女性が最も美しく輝く時、か。なかなか難しい問いだね。だが僕は女の子を苦しめて殺したいほど大好きな男。当然女の子が一番輝く瞬間だって決まってる。 


「幸せと希望に満ちた日々から、絶望のドン底に叩き落された瞬間」

「ん~、主は良い趣味をしているね~」

「あたしもちょっと分かる」


 喜ぶべきなのかどうかはともかく、キラもトゥーラも一定の賛同を示してくれた。

 そう、僕にとって女の子が一番輝く瞬間は、幸せの絶頂から絶望のドン底に叩き落された瞬間だ。分かりやすく言うと、そうだね……質素ながらも愛に溢れた家庭で暮らしていた女の子が、小さな頃からの幼馴染と結婚するっていう幸せの絶頂にある時、村が魔物の襲撃を受けて家族も幼馴染も纏めて殺され、女の子はゴブリンの慰み者にされるっていう展開とかどうよ? 約束されてた幸せが完膚なきまでに壊されて、救いが無いまま苦痛に塗れた生を強制されるとか最高じゃん? もう考えただけで下半身が戦闘準備を整えそう……落ち着け、落ち着け……。


「我は同意しかねるが、それも一つの答えだろう。美しい輝きを貶め穢すことに興奮を覚えるというのは別に珍しい事では無いからな」


 自分の性癖とは違うと言いつつも、バールは僕の性癖を尊重する姿を見せる。

 良いねぇ。他者の性癖を受け入れる。プラス八十点。理解があるのは最高に好印象だぞ。


「じゃあお前が言う、女性が最も美しく輝く瞬間っていうのは?」

「フッ。それは当然、輝かしい笑顔を浮かべた瞬間だ」


 僕が尋ねると、バールは得意げに笑みを浮かべて答えた。

 言っちゃなんだけど、クソつまらない答えですね。まあまともな仲間なら性癖もこの程度かな? ミニスだって特におかしな性癖を持ってるわけでもないみたいだし……安心した反面、微妙にがっかりしてる自分がいる……。


「――と、若き頃の我は考えていた。今思えば、あまりにも青臭い考えであったな」


 お? 言葉が続いた。どうやらクソつまらない性癖は昔のものだったみたいだね。つまり今はもっとドギツイ性癖を持ってるかもしれないってことだな! これは期待が持てるぜ!


「我は、女性の最も美しい瞬間を見たいと思っていた。それには女性を喜ばせるのが一番確実な方法だ。だからこそ我は、あの手この手で伴侶たちを喜ばせ、輝かしい笑顔を浮かべさせるために尽くしていったのだ」

「しかし、何か急に自分語り始まったな……」

「まあ二千年は生きているようだし、色々あるんじゃないかい~?」


 どこか懐かしい光景を眺めるような遠い目で語るバールの姿に、思わずそんな呟きを零す。

 ちょっと興味のある話題とはいえ、嫌いな長話だからなぁ。しかも他人の色恋とかいう心底どうでもいい話だし……まあ、バールからすれば今までこんなことを話せる奴はいなかったんだろうし、ここは我慢して聞いてやるか。


「初めの頃は良かった。伴侶たちはそれはそれは眩い笑顔を浮かべ、我に愛の言葉を返してくれた。深く愛し合い、愛の結晶を育み、我の子孫が次々と地に満ちて行った」


 あ、伴侶って複数いるのね。でも考えてみれば当然か。どうにも魔将ってオンリーワンの種族みたいだし、可能な限り娶らせてその種族を増やそうとするのは理に適った考えだ。そうでもなきゃ魔獣族は獣人とサキュバスくらいしかいない種族になっちゃうし。


「だが、幸福でいられたのは醜い真実に気が付かなかった間だけだ。気付いてしまえば、そこから先は地獄であった。我の資産を横領し豪遊していた女の発見を皮切りに、我の名を振りかざして違法行為を働いていた女を見つけ、すでに夫がいるにも拘わらず我と不倫していた女までも出てくる始末。挙句の果てには、我に托卵をしていた恥知らずまでいた始末……」

「うっわぁ……」

「女運がゼロだね~……」

「托卵……?」


 なかなか凄まじい女運に、さしもの僕もトゥーラも同情を隠せなかった。キラに関してはちょっと托卵の意味が分かってないみたいで、首を傾げてるけど。

 しかし本当に酷いなぁ。今は吸血鬼がたくさんいるってことを考えると、その女たちってバールの子供を産むほどに愛し合ってたんじゃないの? それなのに実は金やら権力やらが目当てだったって……心病みそう……。


「愛していた女たちに手酷く裏切られ、我は失意の底へと落ちた。だが我がどれほど自暴自棄で死にたくなっていようと、魔将たる我の戦争への参加は義務だ。故に我はその絶望と怒りを戦場でぶちまけ、そのまま死んでやろうと思った」


 予想通り、裏切られたバールはだいぶ心を病んでたみたい。自爆特攻も辞さない覚悟で戦場に出たらしい。

 でもそりゃあ仕方ないよねぇ。自分の女だって思ってたのに、本当は自分には一切興味が無くて他の男と寝てたりとか……脳が破壊されてもおかしくないよ。まあバールにはイカれた再生能力があるから、脳が壊れたって問題ないだろうけど。


「だが――我は戦場で遂に出会ったのだ。決して我を裏切らず、常に輝かしい美しさを湛えた女性たちに……!」


 しかし苦渋に満ちた顔で語ってたバールが、ここで突如晴れやかな笑顔を浮かべた。どうやら自棄になって特攻する前に、戦場で素敵な出会いが会ったっぽいね。あるいは特攻してから出会ったのか。だとすると相手は聖人族かな? だったらコイツに聖人族への敵意が無いのも納得だ。

 いや、でも待てよ? 今コイツ、女性たち(・・)って言わなかった? それに決して自分を裏切らないってどういうことだ? 向こうからすればバールは刺し違えても倒すべき敵だと思うんだが……?


「あ~……そういう~……」


 僕は首を捻ってたけど、どうやらトゥーラはどういうことか理解できちゃったらしい。何だろう、こんなクソ犬に頭の回転の速さで負けた気がする……スゲェ悔しい。これは後で縛り上げてバックで犯さなきゃ……。

 え、キラ? 何も考えてない顔してたよ。当たり前でしょ?


「つまり、こういうことだ」


 理解できなかった僕とキラのためか、バールがスッと右手を振る。するとバールの左右の空間に突如として闇が溢れ出して、その中から大きな長方形の物体が現れた。

 それは何と氷でできたデカいブロックだった。縦は二メートルちょい、横は一メートルあるか無いか。厚さは五十センチくらいかな? 綺麗に透き通ったクッソデカい氷の塊で、かき氷を作るのに重宝しそうだ。でも実際に作るのはオススメしない。だって氷の中に全裸の女の子が閉じ込められてるんだもん。これを削ったら全部イチゴ味になっちゃうよ。残念ながら僕はメロン味派なんだ。


「んー? これは……コールドスリープ? あ、いや違う。これは……あー……そういう……」


 ここにきてようやく、僕はバールが言わんとしていることを理解した。

 それと同時に、心からの納得と深い落胆を覚えた。何故って? そりゃあ――


「女性は――死して物言わぬ骸となった時が最も美しい。血の気が失せた病的なまでの白い肌。氷の如く冷たい身体。神秘的とも取れる面持ちから、決して動くことのない表情。ああ、その全てが堪らない……」


 ――貴重なまとも枠で唯一の男仲間かと思った吸血鬼が、まさかの死体愛好家だったからだよ。まともな仲間ができるって喜んでた僕が馬鹿みたいじゃないか! 期待を返せ、この野郎!





⋇イカれたメンバーを紹介するぜ!


現在の仲間たち

・話の長い魔法狂い

・復讐鬼ロリサキュバス

・連続殺人猫

・元実験動物 

・SM二刀流変態ワンコ 

・死体愛好吸血鬼 ←NEW!!

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