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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第7章:獣魔最強決定戦
171/527

大暴露

⋇暴力描写あり

⋇性的描写あり




「主いぃぃぃぃぃぃぃっ!!」


 愛が暴走してる感じの弾けた笑顔を浮かべながら、僕に向かって真っすぐに飛び掛かってくるトゥーラ。敵意は毛ほども感じないんだけど、煮え滾った感じのドロドロした欲望はひしひしと感じるんだわ。

 これ下手するとリング上で性的に襲われるのでは? さすがに大観衆の前で泣き濡れるメスガキを傍らに、犬獣人に貪られるなんていうレベル高いプレイをする気はないぞ。


「はい、キャッチ」


 そんなわけで、躾の悪いワンコにはお帰り願おう。僕に向けて真っすぐに伸ばされたトゥーラの両腕、その手首の辺りをガシっと掴む。


「――アンド、リリース!!」


 そして渾身の力を込めて振り回す! 

 気分は砲丸投げの選手。飛びついてきたトゥーラの勢いも飲み込んで、円を描くようにトゥーラの身体を振り回す。


「きゃあああぁぁぁぁあぁぁあっ!!」

「あああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ~っ!!」

「あ、しまった。巻き込んじゃった」


 ただその途中、半円を描いた段階で後ろにいたメスガキを巻き込んじゃった。トゥーラの身体で勢いよくぶっ叩く形になって、それに気づいたら手の力が緩んじゃって、トゥーラとルアは纏めて場外に吹っ飛んでった。

 やっちまったぜ! できればもっと失格にならない範囲で痛めつけたかったのに!


『クルス選手、突如乱入してきた謎の少女の身体を鈍器にして、ルア選手を場外に吹き飛ばしたー! というわけで、勝者はクルス選手だー!』

「チクショオオォォォォッ!!」

「ふざけんなああぁぁぁぁあぁぁ!!」

「金返せええぇぇぇぇぇっ!!」


 軟弱な事にルアはそのまま場外の地面に落ちたみたいで、司会サキュバスが試合終了を宣言した。せっかく翼があるんだから耐えろよなぁ……いや、翼は僕が落としたんだったか。じゃあ仕方ないな。


「えっ、これ勝利で良いの? 乱入してきたのは僕の身内の変態なのに」

『あっ、そうなんですか? でも心配ありません! 誰がどう見てもクルス選手の勝ちでしたからね! ルア選手のファンの方もあれ以上嬲られるよりは、クルス選手の勝利で終わらせて欲しかったでしょうし!』


 どうやらほぼ勝ち確定の状態だったからか、乱入は大目に見て貰えたらしい。あるいは何かする前に僕がキャッチアンドリリースしたおかげかな? 


「まあ、そういうことならいいか。何か乱入のせいで興覚めしちゃったなぁ……本当にあのクソ犬はよぉ……」

「いや~、すまないね主~……つい衝動を抑えられなくなってしまってね~……」


 ため息を零しながら毒づくと、いつの間にか僕の隣に立ってたトゥーラが申し訳なさそうに言う。

 百歩譲って乱入は良いから、気配と足音を忘れるな。ていうか鈍器にしたってのにやっぱりピンピンしてるよ、コイツ。あと反省するくらいなら最初から乱入するんじゃねぇ!


「サイコパスみたいなこと言ってんじゃねぇ。この変態が」

「あががががががっ!! あ~っ、これだよこれ~っ!! 主の愛を感じる~っ!!」


 指を鳴らして首輪から電撃を発生させると、トゥーラは恍惚とした表情で叫びを浴びながらその場に崩れ落ちた。気持ちよさそうに身体をビクビクさせていらっしゃる。

 これはもっと出力を上げるべきかもしれないな。あるいは電撃の発生場所を首から脊髄そのものにするのもいいかもしれない。どうせコイツならそれくらい耐えるだろうし。


『えーと……勘違いでしたら申し訳ありませんが、もしやあなたは十二年前の大会で八位入賞となった、トルトゥーラ様では?』


 などとトゥーラの首輪の改造計画を考えてたら、司会サキュバスがトゥーラの隣にしゃがみこんでそう声をかけてた。女の子がしちゃいけない感じの顔でビクンビクンしてる奴に話しかけるなんて、このサキュバスも大概肝が据わってるな。


「ハハハ、そうだよ~? 八位で敗退してしまった私などを覚えているとは、光栄な話だね~?」

『いやー、アレは忘れる事の方が難しいですよー……あなたその年の優勝候補をボコボコにして気絶も場外も許さずひたすら痛めつけて、あまりにも非道で悪質な行為として反則負けと共に大会から永久追放食らったじゃないですか……』

「やっぱそんなことやってたのか、このクソ犬はよぉ……」


 まあ大方の予想通り、トゥーラは本戦でSの性癖を遺憾なく発揮したみたいだね。時間制限も特に無しで、勝敗条件は気絶・死亡・場外だけなんだから当然と言えば当然か。

 しかし十二年前ですでに相手を一方的にボコボコに出来る力を持ってた辺り、やっぱりコイツの強さは魔獣族の国の中でもかなり上の方なんじゃないかなぁ。僕のお仕置きに幸せそうな顔で喘いでたり、バックで分からせてる時に歓喜の鳴き声を上げてる所を思い出すと全然そんな感じはしないけど。


『そんなあなたがクルス選手と親しくしているということは……もしやクルス選手はあなたのお弟子さんか何かなんでしょうか? だとすればあの鬼畜行為も納得ですね!』

「何だとこの野郎」


 このサキュバス、酷く失礼だぞ。僕がコイツの弟子だとか、納得の鬼畜行為だとか冗談キツイぞ。僕はコイツの主人だし、そこまでの鬼畜行為なんてまだしてないじゃないか。精々メスガキのアイデンティティを物理的に壊して分からせてやったくらいだよ。


「違うよ~? 彼は私の弟子などではなく、私が永遠の愛と忠誠を誓った尊きご主人様さ~! すでに私は身も心も捧げていて、完全に主の所有物になっているんだよ~。いや~、主はとても情熱的だから、毎晩激しくて私の身体が壊れてしまいそうなくらいでね~?」

「あ、おい、待てお前」


 トゥーラの『身も心も捧げていて』の部分でマズいと思って止めようとしたけど、妙に早口で言ってて残念ながら制止が間に合わなかった。朱色に染まった頬に手を当て恥ずかしそうにしながらも、トゥーラは大観衆の目の前で僕との性事情を暴露してくれやがったよ。クソが。


『なっ、なんですってー!?』

「あんな美少女とねんごろだと!? ふざけやがって!」

「テメェ、生きてこの街出られると思うなよ!?」


 予想通りというか何と言うか、観衆は悪い方向に沸き立つ。一応トゥーラは性癖と性格を除けば普通に美少女だからね。そりゃこんな美少女と毎晩組んず解れつしてる野郎がいたら殺したくもなるわ。

 しかし凄いなぁ。四方八方からとんでもない数と規模の殺意が僕に注がれてる……まあこの程度で音を上げてたら世界の敵なんて目指せないからなぁ……。


「お前さぁ……本っ当に、お前さぁ……」


 でもそれはそれとして、肉体関係を大観衆の面前で暴露したコイツには呆れて言葉も出ないね。コイツに恥じらいとかそういう概念は無いの? 僕にだって羞恥心はあるのに……。 


「そういう訳だから、主の雄姿に惚れてしまった女性たちは諦めてくれたまえ~? まあどうしても主の愛人になりたいというのなら、主の女である私たちを打ち破れなくては話にならないよ~?」

『私たち、ということは……まさかクルス選手、トルトゥーラ様の他にも……!?』


 僕にべったり引っ付きながら、更なる燃料を投下するトゥーラ。観客たちがざわりとどよめき、僕の精神が更に削られる。おまけに仲間たちまで巻き込む気だぞ、コイツ……。


「そうだよ~? ほら皆~、せっかくだからこっちにおいで~?」

「はーい!」

「待ってリア! 私やだ! 行きたくないから離して! あーっ!!」

「………………」


 トゥーラが呼びかけると、観客席から人影が三つ飛び出してきた。大きな翼をはためかせて一直線に僕の元まで飛んでくるリアと、そのリアに掴まれて自分の意志とは無関係に運ばれてくるミニス。そして無言で観客席から僕の隣まで一度のジャンプで飛んできたキラ。

 何なの? 今日は皆で僕を辱める日なの? みんな本当は僕の事嫌いなの?


「くたばれハーレム野郎!!」

「ロリコンの変態外道がよぉ!!」

「聖人族にも劣る畜生め!!」


 右腕にはトゥーラ、左腕にはキラがくっついた状態で、背中にはリアがおんぶでくっついてきてる状態。両手に花どころかお花のトライアングルの中心にいる状態なせいか、観客からの罵声が一段と激しさと殺意を増してたよ。ミニスはくっついてきてないけどそんなことは関係ないんだろうね。

 ちなみに性的知識をたっぷり得て、最近は定期的にサキュバスを拷問させてあげてるからか、すぐ近くにサキュバスがいるのにリアはそこまでおかしくなってなかったよ。この場で司会と殺しあいを始められても困るから助かるね。

 しかし『聖人族に劣る畜生』ってのはちょっと傷ついたよ。僕、あんな屑どもより酷いの……?


『お、おおっ……まさかの四人。しかも皆さん見た目幼く、よりにもよって予選で健闘を見せた兎少女がいるじゃないですか……クルス選手、これはバッシングを受けても仕方がないかと……』

「ですよねー。でも一応言い訳しておくと、肉体関係を持ったのはまだこの犬と猫だけだってことを伝えたい」

『たぶん言い訳にはならないですね、それ。観客の皆さんもブーイングしまくってますし』

「そっかぁ……」


 たかが美少女二人と愛し合う関係になってるだけなのに、観客たちは憤怒と殺意に満ちてる感じだ。他人に嫉妬する前に女を手に入れる努力をしたらいいのにね? きっと自分の努力不足を棚に上げて他人を攻める方が簡単で楽なんだろうなぁ。

 何にせよ居心地悪いからもうおさらばしようかな。観客席を吹っ飛ばした方が後腐れないけど、それやっちゃうとさすがに失格になりそうだし。


「じゃあ、僕ちょっと用事を思い出したので……さよならー!」

『あっ!? クルス選手、逃げました!! それはちょっと男らしくないと思いませんか!?』


 べったりくっついてきてる花たちを振り払って、僕は一目散に退場した。司会サキュバスはその行動がお気に召さなかったみたいで、逃げたとか男らしくないとか言ってるよ。これは戦略的撤退だし、虐殺をしないためにこっちが引いてやってるんだよなぁ……だからとっても男らしい選択だ。何も恥じることは無いぜ!


「追うぞテメェら! あのハーレム野郎を許すな!」

「おう! 捕まえてあの野郎を八つ裂きにしてやるぜ!」

「女を四人も囲って良いと思ってんのか!? ぶっ殺してやる!!」


 あー、観客席の嫉妬深い男たちが動き始めた。観客席から罵声を浴びせてくるくらいならともかく、直接僕を叩こうってんなら容赦しないよ? 八つ裂きにしていいのは八つ裂きにされる覚悟がある奴だけだからな!


 


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