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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第7章:獣魔最強決定戦
170/527

VSメスガキ小悪魔3

⋇暴力描写あり

⋇残酷描写あり

⋇分からせあり






『クルス選手、痛烈な反撃ー! ルア選手の立派な角を吹き飛ばしたー! ルア選手、あまりの衝撃に呆然自失になっているー!』

「あ……え……嘘、でしょ……? 私の、角が……?」


 司会サキュバスの実況が轟く中、自分の無くなった角をペタペタ触ってるにも拘わらず、未だ現実を受け止められてない感じのメスガキ。青い顔で震えながら視線を向けてるのは、足元に落ちた角の欠片。

 この状況でまだ現実を認められないってマジ? じゃあしっかり受け止められるようにもっと分かりやすくしてやらないとな!


「――永劫破壊エターナル・デストラクション


 だから僕は容赦なく再度魔法を行使する。狙いはもちろん、片方だけ残ってたルアのご立派な角。再びバキッと異音を発して、ゴトリと地面に角の欠片が落ちる。これでもうメスガキの角は一生治らないゾ?


『あーっと!? クルス選手、茫然自失になっている隙を狙ってもう片方の角も破壊したー!? これは鬼畜の所業だー!』

「はい、これでイチカケかな? 特権階級から引きずり降ろされた気分はどう? 頭が軽くなってスッキリしたんじゃない?」

「あ、あ、あ……ああぁぁぁっ!!」


 今までコイツがクソほど偉そうで自信たっぷりだったのは、角と翼と尻尾の三つが全て揃った存在だったから。でも今や角は根元から欠けてるから、揃ってるのは二つだけ。完全な存在から力ずくで引きずり降ろしてやったぜ。

 いやぁ、生意気なクソガキのアイデンティティを破壊するのは楽しいね! ここに至ってようやくルアも現実を理解したみたいで、血の気の失せた顔に徐々に赤みが戻って行った。行き過ぎて怒りに顔を真っ赤にしてるよ。アハハ。


「よくも……よくもやったなクソ野郎がああぁぁぁあぁぁっ!!」

「ハハハ、メスガキムーブはどうしたの? 正体現したね」


 そして今までの余裕は消え失せて、殺意のこもった叫びを上げながら突っ込んできた。

 所詮は他者を小馬鹿にすることしかできないメスガキ。ちょっと反撃されたくらいで憤怒と殺意に端正な表情を歪ませて殺しに来るんだからなってないよね。人を分からせようとする奴は逆に分からされる覚悟が無いと。


「焼き尽くせ! ストリーク・ヘルファイア!」


 短剣の切っ先を僕に向けたルアが叫ぶと、まるで怒りを具現化したみたいな真っ赤な炎がその先端に生まれた。炎はほんの一拍で人間を容易く飲み込むくらいの大きさに巨大化すると、そのまま僕に向かって打ち出された。

 炎の尾を引いて迫る巨大な火球はまるで一種のレーザーみたいだね。尤もこれはあくまでも炎だから、光から見れば欠伸が出るくらいの速度でしかないけど。それに炎ってことは、燃焼に必要な物質が無いと駄目なわけで……。


「――真空断層バキューム・フォールト


 だから僕は自分の正面にちょっと厚めの真空空間を形成した。大きさは火球よりデカいよ。

 本当はどんな攻撃も絶対に通さない障壁とか結界も作れるけど、周りのレベルに合わせてあげないといけないからね。こうやって工夫して使わないといけないのが辛い所。でも工夫のおかげで火球はこの真空の領域で消滅して、僕の方に抜けることはできなかった。


「バイタル・アウテージっ!!」


 ただし火球が真空に飲まれて消え去った向こう側から、憤怒の形相で短剣を引き絞ったルアが飛び掛かってきた。タイミング的にさっきのは単なる目くらましに使っただけっぽいね。

 見た感じ武装術で以て刺突を放とうとしてるんだけど、何か狙いがやたらに下寄りっていうか……これどう見ても僕の下半身をロックオンしてるんだよな。大切な物を壊されたからって大切なモノを壊そうとするのやめてくれない? 角が無くても生きていけるけど、コレが無くなったら男は死ぬんだよ?


「どこ狙ってんだ、クソガキが」

「がっ――!?」


 許されないことをしようとしたメスガキの顔面を杖の先端でぶったたき、キツイお灸を据える。鼻血を撒き散らしながら吹き飛ぶルアの姿は、もの凄い滑稽で胸がスッとしたね。やっぱりクソ生意気なガキを分からせるのは楽しいなぁ?


『クルス選手、ルア選手の攻撃をあっさりと凌いだー!? まさか今までの追い詰められた様子は観客を楽しませるための演出かー!?』

「う……ひ、ヒール……」


 吹き飛ばされたルアはよろよろと立ち上がり、治癒の魔法で自分の負傷を癒そうとしてた。

 実際へし折れた鼻とか弾け飛んだ歯とかは治ったよ? そっちはただ単に壊しただけだからね。でも角の方は違う。もう二度と治らないように呪い――じゃなくて魔法をかけたから。

 もちろんたかがメスガキが僕のかけた魔法を力技で解除することなんて不可能。だからルアは何度ヒールを使っても治らない自分の角を触って、狂ったように叫び始めたよ。


「な、何でよ!? 何で治らないのよ!?」

「それは僕がそういう魔法をかけたからだよ。お前の角は、もう一生治らない。お前が今まで散々馬鹿にしてた奴らと同じ、一生欠けたままさ。そして――永劫破壊エターナル・デストラクション

「きゃああぁぁあぁぁぁあっ!?」


 隙だらけの所にもう一度永劫破壊エターナル・デストラクションを叩き込み、今度は二枚の翼を破壊する。どうも角と違って翼には痛覚があったみたいで、翼が破裂するように弾けたせいでルアはゾクゾクする感じの悲鳴を上げてた。

 うーん、なかなか良い悲鳴してますね? 本当は何時間も痛めつけてもっと悲鳴を聞きたいところだけど、それをして失格になったアホが身近にいるからやめておこう。それに今は諸事情あって、そこまで興奮を煽られたりはしないし。


『クルス選手、今度はルア選手の翼を破壊したー! この男に慈悲の心は無いのかー!?』

「これでお前は翼も欠けて、ニカケと蔑んだ僕たちの仲間入りだね。ようこそ、蔑まれる最底辺の世界へ。僕は歓迎するけど、他の人たちはどうかなぁ?」

「……許さない……あんたは絶対、殺してやる!」


 ここまでやられても、ルアは未だ殺意に滾ってた。

 普通ならここまでやられたら許しを乞い始めてもおかしくないよね? でもコイツの場合、まだ強力な武器があるからねぇ。たぶんそれを使えば絶対に僕を殺せるって思ってるんでしょ。


「<お願い、おにーさん。私の目の前まで来て、膝を突いて首を差し出して? そうしてくれたら、おにーさんに私の処女を、あ・げ・る♡>」


 実際そうだったみたいで、ルアは甘ったるい声で僕にそう語り掛けると、セクシーポーズを取ってウィンクまでして例の魔法を使ってきた。


「………………」


 僕はそれに従って、杖を手放しゆっくりフラフラとルアの前まで歩いてく。そうして満足気な表情のルアに、手を伸ばせば触れられる距離まで近付いた。


「そう、そこで跪くの。そしたら私が首を刎ねて――がふっ!?」

『つ、痛烈ー! ルア選手の顔面に拳が突き刺さったー! 見た目幼い少女の顔面を力の限りぶん殴るとは、この男は血も涙もない悪魔だー!』


 で、力強く握った拳をメスガキの顔面に叩き込んでやったよ。老若男女聖魔平等パンチ。治ったばかりの鼻の骨を砕く感触がとっても気持ち良かったです。

 あ、僕にはちゃんと血も涙もあるよ。というかこれでも加減してるんだよなぁ。全力で殴ったら衝撃操作して頭爆散させることもできるし。それをしなかっただけまだ有情。


「おとといきやがれ。大いなる使命を背負った僕の命は、クソガキの純潔とは釣り合わないんだよ」

「な、何で……何で、効かない、の……!?」

「さあ、何でだろうね?」


 ポロポロと涙と鼻血を零しながら驚愕に目を見開くルアに対して、僕は適当にぼかして答えない。まあコイツに教える理由は無いしね。

 ちなみにどうして本当に効いてないのかというと、それはもちろん魔法で対策を講じたから。何度も何度も怪しげな魔法を使われたから、ルアが使ってきた魔法の詳細は大体理解できてる。アレはたぶん、高等魔法に分類される対象に直接働きかける魔法だよ。

 魔法の効果は単純明快、対象の怒りと性欲を昂りやすくすること。だからほとんど無意識に分からせようとして、ズボンからメスガキ分からせ棒を取り出そうとしちゃうんだよ。僕は童貞じゃないから何とか踏みとどまることができたけど、たぶん童貞だったら大観衆の前で分からせ棒をお披露目しちゃうと思う。何とも恐ろしい魔法だよね。

 あとこの魔法の何よりも恐ろしい所が、多重発動して効果を飛躍的に上昇させてること。あのメスガキ台詞と悩ましいポーズ、どうにもそれぞれ別々の詠唱扱いっぽいんだよね。それに加えて普通にも発動してるっぽいから、大体三重起動ってところかな? どんな育ち方したらメスガキ台詞とセクシーポーズを詠唱にしようなんて考えるんですかね?

 何はともあれ、種が分かれば対処なんて簡単だ。自分の感情と性欲が変動しないように魔法でロックをかける、それだけでメスガキの挑発は無効化できたよ。本当はもっと早く対処できたけど、一旦メスガキ優位にしないといけない作法があるからね。

 ただこのせいで嗜虐心も湧いてこないから、いまいち痛めつける気になれないのが残念。まあやりすぎると失格食らうし、ちょうど良いと思うべきかもしれないね。


「そんなことより、大切な尻尾にさよならを言った方が良いんじゃない? もう永遠の別れが来るからさ」

「ひっ……!?」


 ルアの残ったアイデンティティは、細身の愛らしい尻尾のみ。後はそれを破壊すれば、メスガキの尊厳は木っ端みじんに砕け散る。

 それを自分でも理解してるみたいで、ルアは震え上がって顔を青くしてたよ。


「い、嫌っ!! 来ないでっ!!」

「ハッハッハ、どこへ行こうと言うのかね?」

『おーっと!? 形勢逆転! 今度は怯えて必死に逃げるルア選手を、クルス選手がおぞましい笑みを浮かべて追いかけるー! 完全に事案の絵面だー!』

「いい加減にしやがれこの変態がああぁぁぁぁっ!!」

「もう十分だろおぉぉぉぉぉぉっ!!」


 もうただただ恐怖を感じてるみたいで、ルアは武器を手放して一目散に駆け出した。

 当然逃げる者は地の果てまで追い詰めるべきだから、僕は悠々とその後を追う。司会サキュバスや観客が何か言ってるけど気にしない。


「おっと、場外に逃げる気か? じゃあその前に、永劫破壊エターナル・デストラクション

「――ああぁぁあぁぁぁっ!?」

『クルス選手、情け容赦なく魔法をぶつけるー! ルア選手のキュートな尻尾が、木っ端みじんに吹っ飛んだー!』


 どうにも自分から場外に行こうとしてることに気が付いたから、その前に容赦なく尻尾を破壊させてもらった。内側から破裂するみたいに尻尾が弾けて、激痛だったのかルアは悲鳴を上げて派手に転倒した。

 というか、今顔面から行きましたね……まあ鼻は元々へし折れてるから問題ないな、うん。


「あ……う、嘘……わ、私の……尻尾が……!」


 よろよろと身体を起こしたルアは、顔面の負傷を治すよりも先に無くなった尻尾の事を気にしてた。

 まあこれで三種の神器的なものが全部吹っ飛んだからね。メスガキのアイデンティティを完膚なきまでに粉砕してやったぜ。感情を抑制してるせいか、いまいちテンションが上がらないのが残念だな。


「おめでとう。これでお前は角無し翼無し尻尾無しのサンカケだね。トップから最底辺に引きずり降ろされた気分はどう?」

「あ……う……うええぇぇぇぇぇえぇんっ!!」

「うわ、マジ泣きしやがった。どうせなら最後までメスガキ貫き通せよな。所詮はガキか……」


 近寄ってわざわざしゃがみこんで、にっこりと笑いながら問いかけてみる。そしたらルアはあろうことか、ポロポロと涙を零してマジ泣きし始めたよ。こっちの隙を狙うつもりなのかと思ったけど、毛ほども敵意が感じられないわ。少なくとも今は悲しみと絶望でやり返す余裕がないみたいだね。


『あーっ! クルス選手、ルア選手を泣かせた―! これはいけませんねー、実にいけません!』

「この鬼畜野郎ぉー!!」

「テメェ子供泣かせて良いと思ってんのかー!?」


 そうして観客からの大バッシングが僕に向かう。

 え、これ僕が悪いの? 一転攻勢を成功させたんだから、むしろ観客のテンションは上がるはずでは? それにメスガキを分からせたんだから、むしろ肯定的な声援が飛んでくると思ったのに……。


「か、返してえぇぇぇっ!! わっ、私の角と、尻尾とっ、つ、つばさ……返してよおおぉぉぉぉおぉぉっ!!」


 ここでルアがそう叫びながら、僕に縋りついてくる。

 でも縋りついてくるだけで、隠し持ったナイフで突き刺してくるとかそういう様子は一切無い。ただただ僕に対して、壊した物を返して返してと泣きながら懇願してくるだけ。これが互いの命を懸けた試合だってこと分かってるんですかね?


「――おごっ!?」


 感情を抑制しててもイラっと来たから、握り込んだ拳をルアの鳩尾に叩き込む。内部で衝撃を爆散させてやっても良かったけど、それだと確実に死ぬか気絶するかして試合終わっちゃうから無し。純粋に殴りつけて黙らせた。


「うるさいな、ちょっと黙れよ。僕は馬鹿みたいに泣きじゃくるクソガキが昆虫の次に大嫌いなんだよ。何ならこのまま虫みたいに捻り潰してやろうか?」

「ひっ……! ゆ、ゆる、じて……くだ、ざいっ……!」


 か細い首を鷲掴みにして、ギリギリと締め上げながら問いかける。目を見開いて泣きながら命乞いをしてくるメスガキの様子は、普段なら絶対に最上のオカズになる光景だ。

 ただ、感情を抑制してる今の僕の心には些か響かないね。まあこの場で息子が立ち上がっても困るし、これはこれでちょうどいいかもしれない。オカズとして使うのは後にしようか。


「そうだ、せっかくだから手足を潰して他の部分も欠けさせるのも面白いよね。利き腕はどっち? 僕は優しいからそっちは残してあげるよ?」

「ひいっ……!?」


 より深い絶望を与えたくて、せっかくだからそんな提案をしてみる。もちろん永劫破壊エターナル・デストラクションを使って、永遠に治らないようにするぞ。

 予想通り、ルアはメスガキの片鱗すら見えなくなった絶望顔で怯えてた。


「や、やだ……誰か、助けてぇ……!」

「ハハハ、一対一の試合で何言ってんだクソガキが」


 観客に助けを求めるとか正気かよ? それは試合を冒涜するような行為では? 半端な気持ちでバトルの世界に入って来るんじゃねぇよ、このクソガキがぁ!


「ほら、とっととどっちが利き腕か言いなよ。言わなきゃ両方潰して――」

『――あーっと!? 観客席からリングに飛び込んだ人影がー!? まさかルア選手を助けようとしているのかー!?』


 いっそ両手両足を潰してやろうかと思った直後、司会サキュバスが驚くべきことを叫んだ。

 おいおい、マジか。仮にも観客がリングに飛び入りして良いと思ってんのか。幾ら泣き濡れたロリが助けを求めてるとはいえ、コイツもそれなりの覚悟を以てリングに上がったんだから自業自得でしょ? これは乱入者にも試合の厳しさというものを分からせてやらんといけませんね?

 だから僕はクソガキの首を締めあげてた手を離して、ゆっくりと後ろを振り返った。見れば僕に向かってリング上を疾走する人影が――あれ、何か見た事あるぞ、コイツ。


「――主いぃぃぃぃぃっ!! そんな小娘を愛していないで、私を愛してくれえぇぇぇぇぇっ!!」


 って、オイ! 乱入はお前か、クソ犬!

 ギョッとして固まってしまう僕に対して、トゥーラは感極まった感じの笑みを浮かべながら勢いよく飛び掛かってきた。あーもう試合が滅茶苦茶だよ。



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