表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第6章:童貞卒業の時
154/527

新しい自分

⋇性的描写あり




 気が付くと、目の前には見覚えのある真っ白な空間が広がってた。

 さっきまで涼しい夜風に吹きさらしの状態だったのに、今は春の陽気に包まれてるみたいな暖かさも感じるよ。そして母の腕に抱かれてるみたいな、絶対的な安心感も。


「……………………」


 でも、純潔を無残に散らされた僕の心はひび割れたまま。

 下半身から真っ白なものを搾り取られ、僕の頭の中も真っ白。白さ加減ならこの世界とどっこいじゃない? そもそも何でこの世界は白いんだろうなー。赤とか青とか緑とかの原色じゃダメだったのかな? さすがにそれだと目に痛いかな? ハハッ。


「……その、あれじゃ……何というか……うむむ……」


 体育座りでぼーっとしてる僕の視界の隅に、見覚えのある幼女が顔を出す。何だか凄く哀れみのこもった目をしてるなー。

 あー、良く見たら女神様じゃないか。良かった、ちゃんと幼女に戻ってるしウサミミも消えてる。でもウサミミくらいは残ってても良かったかもしれないなぁ。愛らしいウサミミ幼女とか凄い可愛いだろうしねー。ナデナデしてたら僕の心の傷も癒されるだろうなー、ハハハ。


「……いつものふざけた調子はどうしたのじゃ。お主がそこまで塞ぎ込んでいると、わらわも少々気が滅入るぞ……元気を出してはくれぬか?」


 ああ、女神様は本当に優しいなぁ? まるで自分の事のように悲しい顔をしちゃってさぁ。しかも僕を何とか立ち直らせようと頑張ってくれてるし。こんなの惚れちゃって当然でしょ。いや、もうすでに惚れてたから惚れ直したわ。


「……女神様がスカートたくし上げてパンツを見せてくれたら、元気が出るかもしれない」

「………………」


 僕がそう口にしたら、女神様の気遣うような表情は途端に無へと近づいて行った。そしてゆっくりと右手を振り上げると――


「――痛い」


 ベシッ。僕の頭に手刀を叩き込んできた。

 でも言うほど痛くなかったよ。僕の頭がへこんだりもしないし、精々ツッコミレベルの一撃だったね。ロッドを大振りで振り回してぶち当てようとしてくる普段の女神様の暴力に比べれば、蚊に刺されたほどにも感じないよ。


「はあっ……全く、しょうがない奴じゃな……」

「おっ?」


 女神様は深いため息をついたかと思えば、隣に座りこんでグイっと僕の身体を引っ張ってきた。仮にも神様の膂力に抗えるわけもなく、そのまま僕の身体は横に倒されて――何と、女神様の膝を枕のように頭の下敷きにしてしまった。

 いや、待てよ? 自分の方に引っ張ったのは他ならぬ女神様だ。ていうことは、これもしかして……合意の上での膝枕?


「……下着は見せんが、膝枕くらいならしてやろう。じゃから、早くいつもの調子を取り戻すがよい。お主が落ち込んでいると、こっちまで妙な気分になってくるわ」


 優しさが爆発した言葉を零しながら、慰めるように僕の頭を撫でてくる。包み込むような柔らかさと甘い香りに、僕は今正に妙な気分になりそうです……!


「女神様、優しい……惚れちゃいそう……ママ……」

「誰がママじゃ。しかしその様子だと、別に女子が苦手になったりはしておらんようじゃな。それは良い事なのか、はたまた悪い事なのか……」


 下から見上げる女神様の表情は、嬉しそうにも見えるし悲しそうにも見える不思議な表情だった。

 僕は目的のために女子供、特に女を集中的に狙うって何度も言ってるからね。心優しい女神様からすれば、僕が女の子にトラウマを抱いた方が酷い事が起こらず有難いんでしょ。でも僕は女の子が苦手になったわけじゃないから、僕が立ち直っても素直に喜べないとかそういう感じかな。


「……ちなみに女神様、どこまで見てたの?」

「う、うむ……抵抗できぬお主を前に、あの二人が自ら服を脱ぎ始めた辺りまでじゃな……それ以上は、見ておれんかった……」

「そっかぁ……じゃあ僕の情けない姿は見てないんだね。ハハハ……」


 ぽっと頬を染めて居心地悪そうに視線を逸らす女神様に、僕も嬉しいような残念なような不思議な気持ちを抱いたよ。情けなく腰をヘコヘコさせるところを見られてないのは嬉しいけど、それはそれとして女神様に見て欲しかった気持ちもあるんだよなぁ……。

 

「やれやれ、これは相当重傷じゃなぁ……」

「うぅっ……女神様、慰めて……」


 せっかく女神様の膝枕という貴重な経験をしてるんだから、とりあえず存分に楽しむことに決めた。具体的には仰向けからうつ伏せになって、女神様の太ももの間に顔を埋めて香りを堪能しつつ、太腿をナデナデする感じで。ちょっとローブが邪魔だなぁ!!


「ぬあっ!? こら、お主どこを触っとる!? ひゃっ、あわっ、こ、こらっ! 匂いを嗅ぐでない!」


 当然女神様は怒って僕を叩いてくるし、押しのけようとしてくる。でもやっぱり身体を穢されて落ち込んでる僕を気遣ってるのか、ほとんど痛くないし押しのけもあくまで僕の不敬を止めるためのものだった。膝枕自体は止めずにいてくれてるよ。

 あー、本当に優しいなぁ! 僕の女神様は!







「……ふうっ。よし、何とか元気が戻ってきたぞ。慰めてくれてありがとう、女神様」

「そうか、それは良かったのう。ここぞとばかりに嫌らしい真似をしてきおってからに……!」


 しばらく女神様の膝枕と香りと柔らかさを堪能した後、僕は晴れやかな気持ちで身体を起こした。反面女神様は額に青筋を浮かべてて、何だかちょっとご機嫌斜めって感じだね。

 まあ実際ここぞとばかりに嫌らしい真似をしたから無理も無いか。ローブ越しとは言え女神様の下腹部の辺りに顔を埋めたりもしたし。さすがにそれに関しては結構な力でぶん殴られたとはいえ、膝枕自体は継続してくれたんだから本当に頭が上がらないよ。


「何だかんだでずっと膝枕してくれた辺り、女神様って凄い優しいよね。悪い男神に騙されそうで心配だよ」

「誰にでもあそこまで優しくするわけがなかろう。お主の場合は、世界を平和にしたいというわらわの願いを叶えるために動いてくれておるのだし……心に深い傷を負った直後なのじゃから、優しくするのは当たり前じゃ」

「深い傷、深い傷かぁ……いやぁ、今思い出しても泣きたくなるなぁ……」


 二人の狂人とのまぐわりを思い出して、途端に気分が落ち込んだ僕はがっくりと膝を突く。

 おかしいよね? ロリサキュバスと初々しい初エッチを飾るつもりだったのに、イカれた犬猫に犯される形で僕の初めてを奪われたんだよ? 初めてが3Pで逆レイプとかどういう展開よ。 


「む、ぅ……す、すまぬ。お主のトラウマを刺激するつもりはなかったのじゃが……」

「いや、良いんだよ。女神様が何とか僕を慰めようとしてるのは分かってるしね。それにトラウマっていうか、ちょっと自己嫌悪に陥ってるだけだし……」

「自己嫌悪……? それはどういう意味じゃ?」

「自分で自分を嫌悪してるとか、自分で自分が恥ずかしいとかそういう意味だよ」

「言葉の意味なら知っておるわ。何故お主が自己嫌悪しておるのかという意味じゃ。お主は襲われた側ではなかったか?」


 不思議そうに首を傾げる女神様。

 あー、どうもこの様子だと本当に最中は見てなかったっぽいね。てっきり何も見てないと言いつつ、興味津々で見てるっていうお約束もあり得るかと思ったのに。


「そうだよ、襲われた側だよ。最初は、ね?」

「最初……?」

「うん。実はね――」


 というわけで、何も見てなかったらしい女神様に何があったのかを懇切丁寧に語ってあげた。

 確かに僕は不当な契約で以て抵抗も逃走も封じられ、狂人に純潔を奪われた。そして純潔を奪われた事に涙する間もなく、更に変態に踏みにじられた。この時点ですでに僕はトゥーラと子作りをしたって判定になったから、身体の自由が戻ってきたんだよ。

 仮に僕が可憐で可愛い女の子なら、一目散に逃走を選択したよ? 逃げなかったら好き放題に犯されるだけだろうしね。でも僕は性欲が爆発してる年頃の男の子。そして僕の身体に擦り寄ったり抱き着いたり跨ったりしてきた目の前の二人は、中身はさておき美少女だ。それに望む望まざるはともかく、僕は滅茶苦茶に興奮させられた状態。

 ならどうしたか分かるよね? うん、もちろんやり返しました。イカれた殺人猫も狂った変態犬も、這い蹲らせて後ろからガンガン突いてやったよ。もちろんバックからだけじゃ済まさなかったけどね? 何が酷いって、二人ともこの展開すら織り込み済みって感じで抵抗一つしてこなかったってことだよ。むしろめっちゃ嬉しそうにして、ノリノリで僕に組み伏せられてたし。その様子に僕は更に興奮を煽られるという悪循環……腰が砕けそうになるくらいヤりにヤりまくったわ。

 えっ? そんな充実した時間を過ごした癖に、何で落ち込んでるんだって? そりゃあアレよ。狂人と変態に無理やり襲われたってのに、最高の初めてだったって感じちゃってる自分自身に落ち込んでるんだよ。『悔しい! でも感じちゃう!』みたいな状態って言えば分かりやすいかな? 僕はM的な気質もなければ、レイプ願望も無いはずなんだけどなぁ……。


「――と、まあそういうわけで、途中からは僕もノリノリで二人を相手にしてしまったわけなんだよ。あんな異常者二人と盛り上がって、しかも最高の時間だったと思っちゃってる自分が恥ずかしくて堪らないんだよ……」


 全てを詳細に語り終えた僕は、恥ずかしさに顔を両手で覆ってうなだれる。

 ちなみに恥ずかしい癖に何で詳細まで語ったかというと、女神様の反応が気になったからだね。性的なトークに顔を真っ赤にして恥ずかしがる女神様は凄く愛らしかったなぁ……でも、何か今は頬を引きつらせてるなぁ?


「……なるほど? つまり、お主は襲われた事自体はさほど気にしておらんということじゃな?」

「うん、ぶっちゃけそう。今じゃ僕の初めてを最高のモノにしてくれた二人に、ある種の感謝すら覚えてるね。騙し討ちと不意打ちに関しての怒りはまた別だけど」

「なるほどぉ? つまり、お主は特に傷ついてもいないというのにわらわの膝枕を堪能し、あまつさえスケベな悪戯をしてきたというわけじゃな?」

「うん、その通り。いやぁ、女神様の膝枕は正に楽園のような夢心地だったよ――おっと?」


 妙に震えた声で投げかけてくる疑問に答えてると、女神様は突然右手にロッドを握りしめた。どんな握力で握ってるのかギリギリと変な音が聞こえてくるし、愛らしいお手々が白く染まっちゃってるよ。一体どうしたんだろうね? 


「どうしたの女神様? 何でロッドを構えてるの?」

「この――大馬鹿者がぁ! 心配して損したわ! 他者の優しさに付け込み、薄汚い欲望を満たすその腐った性根! とくと反省せいっ!」


 僕が尋ねた次の瞬間、女神様は眉を吊り上げて思いっきりロッドを振り被り、それはそれは綺麗なフォームで振り抜いて――






「――はっ!? あ……朝、か……」


 そして、僕は夢の世界から帰還した。

 いやー、びっくりした。女神様の一撃、フォームくらいしか捉えられないクソ速い一撃だったぞ。たぶん僕の頭はスイカみたいに爆ぜたんじゃないかな。さすがに傷心を装ってエロい悪戯するのはやりすぎだったか? いや、でも自己嫌悪に陥ってたのは事実だし……。


「……ま、女神様は優しいからきっと許してくれるさ。それにしても女神様の膝枕、素晴らしかったなぁ……ヘヘヘ……」


 あれぞ正に楽園って感じだったね。惜しむらくは女神様が身に着けてるローブのせいで、おみ足の温もりを感じられなかったことか。次があれば直に膝枕をしてもらいたいな。


「それにしても……眠ってる姿は普通に可愛いんだよなぁ、コイツら」


 チラリ、と僕は仰向けになったまま自分の身体を見下ろす。そこにあるのは一糸纏わぬ僕の身体と―― 


「フヘヘヘ……主ぃ、主ぃ……」

「ニャ……ゥ……」


 そんな僕の両腕に抱き着くようにして眠る、変態(トゥーラ)狂人(キラ)の姿。もちろん二人とも生まれたままの姿で、平時じゃ見られないくらいに安らかな寝顔をしてる。何やら甘ったるい寝言を零してるのも凄い印象的だ。普段がアレだからギャップが凄いね、コイツら。

 何でこんな両手に毒花みたいな状態になってるのかと言えば、それはもちろん昨晩ここで致してそのまま寝たからだよ。ちゃんと柔らかいマットも敷いてあるから、吹きさらしの状態ってことを除けばそこまで悪い環境でもなかったからね。何より動く気力がもう無かったと言うべきか……。


「まあ結果論とはいえ、ある意味最高の夜を過ごせたわけだから、今回の罰は無しにしてやろう。何だかんだで、滅茶苦茶興奮させられたし……」


 騙し討ちからの3P逆レイプとかいう、僕が女の子ならトラウマ間違いなしの展開だったとはいえ、僕自身も滅茶苦茶楽しんだのは動かしようのない事実だ。だから二人の罪は不問にしてやることにした。初めてが3Pとかなかなかあることじゃないし、レアな体験が出来たってのもあるからね。


「……それはそれとして、悪夢(ナイトメア)


 でも全部トゥーラの掌の上みたいで凄い悔しいから、眠る二人に悪夢を見せる魔法を行使する。

 二人がやったことは常識的にはシャレにならないし、これくらいは許されるよね? まあ若干寝苦しそうな顔になったキラはともかく、トゥーラは別段表情変わらず幸せそうな蕩けた寝顔を晒してるけど。本当に悪夢見てるんだよね、君……?


「よっ、と……はー、まさかこんな形で大人の階段を登ることになるとはねぇ……」


 ガッチリと僕の腕をホールドしてる二人の間から何とか抜け出て、仄かに明るくなってきた空を見上げて独り言ちる。

 何か予定と百八十度どころか五百四十度くらい違う初めてになっちゃったし、初めての相手が変態と狂人とかいう黒歴史染みたものになっちゃったけど、それはそれとして一皮向けて大人の男になれた解放感や達成感みたいなものがあるね。

 何よりこれで僕はもう女の子を食うことを躊躇う必要も、我慢する必要もどこにもない。好きなだけ食い散らかして、欲望の限りを尽くせるってもんだよ。行動の自由が広がるって素晴らしいね。まるでムショからシャバに出てきたような清々しい気分だぁ……。


「……さあ、立派な男になった、新たなる僕の一日の始まりだ!」


 昂る気持ちに任せて、立ち上がり空を仰ぎ見るようにしてそう叫ぶ。朝焼けに彩られた綺麗な空が、心なしか僕を祝福してくれてるように見えるね。

 よーし、今日も一日頑張るぞ! 全ては女神様をバックから犯してヒィヒィ言わせるために!





 というわけで、6章終了です。ついに童貞を卒業してしまったクルスに、女神様も戦々恐々しています。話がだいぶヤバくなってきたので、私も修正指示が来ないか戦々恐々しています。まあたぶん大丈夫だとは思いますが……。

 次のお話も変わらず二日後に投稿です。章の途中で書き溜めに追いついたら、その時は……うん、先に謝っておこう。すみませんね……。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ