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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第6章:童貞卒業の時
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奪われる純潔

⋇性的描写あり

⋇章タイトル回収



「……はっ!?」


 不意に僕は目を覚ました。

 あれ? 僕はいつ眠ったんだ? ていうか何で目を覚ましてまず視界に入ってくるのが星々が輝く綺麗な夜空なの? 野宿だってテントくらい張って中で寝るもんじゃない? ていうか地面が固い! 寝袋も何も無く直に岩盤みたいな地面に寝てる! これどういうこと!?


「えっと……僕は確か……」


 何か微妙にグラグラする頭を必死に回転させて、直前の記憶を手繰り寄せる。

 そう、確か今日はトゥーラに武術をコピーさせて貰おうと思って冒険者ギルドに行ったんだったか。そして自分ともう一度決闘することっていう条件を出されたから承諾して、せっかくだから童貞を狙うのを諦めさせるために勝利した時の条件をつけて、夜になったら街の外へ二人で向かって、それで――決闘が始まった瞬間、首の後ろにとんでもねぇ衝撃を受けた。

 なるほど、僕はさっきまで気絶してたってわけか。


「あー……また嵌められたかぁ……」


 うん。全部思い出したぞ。要するにまたクソ犬に嵌められたってことかぁ。ふざけやがってあの犬畜生め。一体何度僕を怒らせれば気が済むんですかね?


「フッフッフ~。お目覚めかな、主ぃ~?」

「ああ、おはよう。何だかちょっと頭がグラグラするし、一度ならず二度までも僕を騙すクソ犬のせいで、目覚めは最悪の気分だよ。オラァ!!」

「へぶぅっ!!」


 綺麗な夜空の光景を遮るように、にゅっと右から現れた笑顔のトゥーラ。僕もにっこり笑い返して魔法を使って固い地面に干渉、巨大な拳状に固めてその鳩尾に鉄拳を叩き込んでやった。『ズンッ!!』っていう凄い鈍い音を発してトゥーラの身体はぶっ飛んでった挙句、大木にぶち当たって幹を半ばからへし折ったけど気にしない。


「――そいつは悪かったな。一応首の骨折らねぇ程度には抑えてたんだけどよ」

「あー、僕を気絶させたのはお前か……お前も死ねぇ!」


 そして今度は上の方からキラが顔を覗かせたから、同様の鉄拳を叩き込む。でもこっちはひらりと回避されて空振りした。コイツが避けられるってことは、トゥーラはわざと食らったんだろうな。マゾめ……。


「ていうか、キラの仕業ってことは……お前ら、もしかして……」

「ああ、組んでるぜ。お前の童貞を奪うためにな?」

「ヒェッ……!」


 悍ましいコンビが恐ろしい企みをしてたことにゾッとして、思わず身体を起こして後退る。

 ドSでドMな変態犬人と目玉大好き猟奇殺人猫に揃って童貞を狙われるとか、前世でどんな罪を犯したらそんな罰が下るの? 一応僕はそこまで悪い事してなかった気がするのになぁ。ていうかこれ、絶対奪われるのは童貞だけじゃ済まないでしょ。


「ごほっ、げほっ……な、何はともあれ、作戦は成功だ~! 主は私との決闘の最中、意識を失い倒れた~。それはつまり、私の勝利だということ~。つまり――主は私と、子作りしなければならな~いっ!」


 倒れた大木の下からずるずると這い出てきたトゥーラが、声高々にクソみたいなことを言い放つ。

 え、アレで勝敗決まっちゃったの? 決闘なのに第三者の一撃で決まっていいわけ? あー、でも契約内容には確かに一対一なんて情報は無かったよね。マジクソだね。


「で、ここからが面白い所でな。子作りっつっても契約の内容じゃプレイの内容には触れてなかったろ? だから子作りすんならどんなプレイでも当てはまるんだよ。それこそSMとか凌辱とか――3Pとかな?」

「ふーん……なるほどぉ?」


 ニヤリと笑うキラの補足に僕は納得しながらも、全力で頭を巡らせた。契約の穴を突いて無効にする方法とか、契約を無かったことにする取引とかね。

 でも駄目だ。全然出て来ないわ。一体どうしたらこの状況で童貞を守りつつ逃げられると思う? 誰か教えてくれない?   


「……ちなみに、僕の命令で契約を取り消したりすることってできる?」

「できるわけがないだろ~? むしろ命令で取り消そうとしても、抵抗や逃走とみなされ命令できないんじゃないかな~?」

「なるほどねぇ。じゃあ試しに。命令だ、僕との子作りは――――あ、ダメだこれ。言葉が出せないわ。よし、じゃあ時間を巻き戻して契約を結ぶ前の状態に――あ、ダメだ。巻き戻せない。よし、最終手段の逃走――できない。ハハハ、足が動かねぇなぁ?」


 色々考えてやろうとしてみたけど、結果は全部駄目だった。命令で契約を無効にしようとしても、肝心の言葉を口にしようとすると声が出なくなる。自分の時間を巻き戻して契約を結ぶ前の状態に戻そうにも、一秒も戻すことすらできない。いっそのこと無様に走って逃げようにも、足は凍り付いたように動かなくて一歩も逃げることができなかった。

 どうにも『子作りを拒否できず、抵抗も逃走もできない』って部分にバッチリ縛られてるっぽいね。うん、これもう詰んでない? もしかして僕の童貞はここまでなの?


「ふんふふふ~ん♪」

「………………」


 冷や汗掻きながら二人に視線を向けると、トゥーラは空間収納から柔らかそうなマットレスを取り出して、鼻歌交じりに地面に敷いて何やら整えてる。そしてキラはその周囲を囲むように、無言で瓶詰めの目玉を並べるっていう奇行に走ってる。

 待って? 僕はこんな大空の下、幾つもの眼球に見られながら異常者二人に性的に襲われるの? それ何て罰ゲーム?


「……よし、落ち着いて話をしよう。話せば分かる。僕たちは種族は違えど、言葉は通じ合ってるんだ。冷静に語り合えばきっと分かり合えるさ。お前たちもそう思うだろ? そうだって言って?」

「フフフ、まるで命乞いだね~? 主には悪いが、言葉が通じる程度で争いが無くなるのなら、この世界は戦争なんてやっていないよ~」

「ですよねー。まあそれは僕の世界も同じだからねー」


 ダメ元で説得できないか試してみたけど、これ以上ないほどの正論でトゥーラにばっさり切り捨てられた。何一つ反論できない正論だったよ、チクショウ。


「……えぇい! ふざけんなよお前ら! こんなの不当契約だ! 詐欺だ! 弁護士を要求するぞ! 裁判中は実刑が確定してないから、事実上刑の執行は延期されるはずだ!」

「ハハハ、主は往生際が悪いね~? 確定した実刑を覆すためでなく、少しでも刑から逃れるために控訴するのはやめてくれるか~い?」


 恥も外聞もかなぐり捨てて、手足を投げ出してじたばたしてみるものの、もちろん全く効果は無い。虚しくなるだけでてんで駄目だったよ、クソが。


「いや、待て、そうだ! お前ら二人は僕の童貞を狙ってるけど、それは叶わないぞ! 何故なら僕の童貞は一回きり! お前らのどっちかしか手に入れられないんだ! それを理解したなら、さっさと僕の童貞を巡って二人で殺しあえ!」


 しかし賢い僕はここで名案を閃いた。

 童貞とはそもそも最初の一回を済ませて無い男の事。だから最初の一回を済ませてしまえば、それはすでに童貞じゃない。つまりキラとトゥーラが狙ってる僕の童貞は、絶対にどっちか一人しか手に入れられないんだ。

 そしてこの二人は僕の童貞を巡ってやり合ってた過去がある。だからこれならイケると思ったんだけど――


「……ハハッ」

「プッ、アハハハハハハ~!」


 僕の発言に二人は殺しあうどころか、おかしそうに笑い始めた。

 馬鹿な。僕の童貞は一回きりだぞ? なのに何で笑っていられるんだ?


「残念だったね~、主ぃ~? 私たちはすでに取り決めを終えているんだよ~? 事前の話し合い通り、主の童貞はキラのもの~。その代わり、セカンド童貞は私のもの~」

「はぁ!? 嘘だろお前、何で二番目で妥協してるんだよ! 男なら一番を目指せよ!」

「いや、私は女なんだが~……」


 恐ろしい事に、すでに順番は決めてあったらしい。しかもキラと同じく童貞を狙ってたトゥーラが二番目に甘んじてる謎。何遠慮してんだお前! ここは相手をぶっ殺してでも一番になるって気概を見せろよ、こんチクショウ!


「まあ、私もどうせなら主の初めてが欲しかったんだが、それを望んでいては結局リアに取られてしまうだろ~? だから妥協して、キラを味方に引き入れたというわけさ~。彼女は喜んで協力を申し出てくれたよ~?」

「お前の童貞をあたしのものにできるってんなら、不満は何一つねぇぜ。計画もコイツが考えてくれたしな。クソ強い上に頭も回るとか、お前どんだけスペックたけぇんだよ?」

「いやいや、私もそこまで頭の回転が速いわけではないよ~。それに今回の計画に関しては運要素もかなり絡んでいたギャンブル染みた計画だからね~? いや~、主が自ら私に頼みごとをしてくれて本当に助かったよ~。アレがなければこの計画は実現しなかったと言っても過言ではないからね~」

「えぇ……」


 僕を絶望させる情報を次々と零しながら、仲良さげに語り合うキラとトゥーラ。

 懇親会という名の共謀殺人に連れて行った時から思ってたけど、初対面の時とは打って変わって二人は妙に仲が良くなってた。まさかあの時点ですでに組んでたってこと? あの時点から二人揃って僕の童貞を虎視眈々と狙ってたって事? それなんて悪夢?


「――というわけで、主への状況説明も済んだことだし、そろそろ始めようか~?」

「おう。まあ童貞はあたしのもんだけど、それ以外はお前に譲ってやるよ」

「おおっ! それはありがたいね~。犬人としてはやはり主に奉仕をするのが一番の幸せだからね~。その辺りの初めては私が貰うよ~?」


 ついに実行に移る気なのか、二人は目の前でゴソゴソと服を脱ぎ始めた。あ、キラの太ももは相変わらず美味しそうだし、トゥーラの身体適度に引き締まっててめっちゃエロい……じゃなくて!!


「待て待て待て。待って? お願いだから待って? こういうのって普通は立場が逆だよね? どうして僕が犯される展開になってるの? 誰もそんなの望んでないよね? 僕とリアの初々しい初エッチの方がきっと需要があると思うよ?」

「んなもんどうだっていいんだよ。言ったろ? お前の初めてはあたしのもんだ、ってな?」

「心配はいらないよ~、主ぃ~? さすがの私も嫌がる主を痛めつけたりはしないさ~。ただ気持ち良くしてあげるだけだからね~? さ~、これから子作りを始めるから、主はここに仰向けになってくれるかな~?」

「誰が従う――ああぁぁっ!? 身体が勝手に動くぅ!!」


 トゥーラにお願いされた途端、僕の身体は契約に従って勝手に動き出した。生まれたままの姿になった二人が待つ、マットレスの所にね。チクショウ、これが契約に縛られる感覚か! 誰だこんなふざけた魔法を使ったのは!


「クソがああぁぁぁぁっ!! 絶対許さないからなお前らああぁぁぁぁぁっ!!」

「ハハハ、元気が良くて何よりだ~。さー、こっちの方は元気になっているのかな~?」

「忘れられない夜にしてやるよ。一緒に気持ち良くなろうぜ、クルス?」


 意思に反してマットレスに横たわった僕に、ニヤニヤ笑いながら群がってくる変態と狂人。その手が僕の上着やズボンを脱がそうと伸びてきて、抵抗しようにも契約に縛られてる僕には何もできなくて――


「アッ――――――!!」


 結局、僕は初めてをこんな異常者たちに奪われてしまいました。汚れちゃった……もう、お婿に行けない……。


⋇美少女二人に貪られるとっても羨ましい主人公(白目)

⋇次話でこの章は終わりなので、いつもの人が出ます


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