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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第6章:童貞卒業の時
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異常者たちの懇親会

 ⋇拷問描写あり

 ⋇残酷描写あり




 真の仲間たちとトゥーラとの顔合わせは無事に終わった。基本は歓迎してるっぽくて何よりなんだけど、若干一名はクッソ気に入らないみたいで殺意をバチバチに漲らせてた。実際その後は二人でどっか行って、殺しあいをしてきたみたいだしね。

 相性とかもあるから、僕もさすがに無理に仲良くしろとは言わないよ? でも目を離したらいきなり襲い掛かってそうなくらいに嫌ってるのは問題だから、僕は何とかキラとトゥーラの仲を取り持とうとしてるんだ。

 そもそもこの二人、性癖的にわりと仲良くなれそうなんだよね。キラは人を殺すのが大好きだし、トゥーラは人を苦しめるのが大好きだから、二人で協力して殺人をすれば無駄が出ないしね。トゥーラがたっぷり苦しめた後、キラが命を奪う。二人とも楽しめて最高の関係、ってやつじゃない?


「それじゃあ刺すよ~? 痛かったら手を挙げてくれるかな~?」

「嫌っ、嫌っ! やめて、あああぁぁぁっ!!」

「ん~、痛いかい? それはすまなかったね~。まあ手を挙げたからやめるというわけではないんだがね~?」

「よし、次はあたしだな。あたしはここに刺すかな」

「おおっ、胸元とは随分攻めるね~? いけるのか~い?」

「ヘッ、まあ見てろよ。ここをこう、斜めに刺せば……」

「いっ――ぎゃああぁあぁぁっ!!」

「ほ~! 巧みに内臓を避けて刺すとは、素晴らしい手腕だね~?」

「だろ? ほら、次はお前の番だぜ?」


 そんなわけで顔合わせをした翌日の深夜、キラの殺人衝動の発散にトゥーラも連れて来たわけなんだが……うん。地獄みたいな光景が広がってるなぁ。

 僕の魔法で身体をピクリとも動かせない女の子の身体に、キラとトゥーラは楽しそうに杭をブスブス刺してってる。しかも交互に、先に殺した方が負けとかいうルールで。片や殺すことに特化してる狂人、片や嬲ることに特化してる変態だからか、女の子はなかなか死なせてもらえないみたいだ。何か逆サボテンみたいになってるよ。可哀そうで可愛いなぁ。

 あ、ちなみに刺してる杭はもちろん僕が魔法で創ってるものだよ。返しがついてて簡単には抜けないぞ?


「よーし。では私は更に難易度の高い場所を狙うよ~!」

「ぎっ――い、あ、かっ……!」

「おいおい、大丈夫かよ。変な声出してるぞ、コイツ」

「ん~? 失敗したかな~?」


 後頭部に杭を刺されて白目を剥きながらおかしな声を上げる女の子に、キラはケラケラ笑ってトゥーラは首を傾げる。うん、失敗を認められるのは良い事だね。いや、そんなことよりさ――


「君ら、何かめっちゃ仲良くなってない?」


 そう、重要なのはそこだ。トゥーラ側はともかく、キラはトゥーラがめっちゃ気に入らないみたいで、これでもかってくらいに殺意をぶつけてた。それこそ殺しあいに発展するくらいのレベルでね。

 でも今は特に険悪じゃないっていうか、普通に仲良しに見えるんだよ。一体何があったんですかね? 殺しあいをして絆が出来たとかそういうアレ? 拳で語り合って友情が芽生えたとか言うソレ?


「全力でぶつかりあって、お互いにわだかまりが無くなったのさ~。今では親友と言って差し支えない関係だから、目を離したら殺しあいを始める、なんてことは無いから主の心配は無用だよ~」

「まあ特訓とかで普通にやりあったりはするけどな。コイツ、すげぇ強いし」

「ハハハ、そういう君も素晴らしく強いよ~。やはり天性の才能があるね~」

「ヘッ、お前にそこまで言われると悪い気はしねぇな」


 やっぱり仲が良くなったみたいで、お互いに認め合ってる空気を感じる。特にキラはトゥーラの強さを認めてるみたいで、悔しさも見せずに褒め称えてるよ。昨日の顔合わせの段階じゃ親の敵みたいに睨んでたのになぁ。


「……おっかしーなぁ。犬人と猫人って微妙に仲が悪いって聞いたんだけどなぁ」

「それは一般的な犬人と猫人の話じゃないかな~? 私たちはどちらかと言えば異じょ……特殊だからね~」

「さり気なく言い直したね。でも異常だってことは理解してて何よりだよ」


 ほぼ一方的とはいえキラとトゥーラの仲があまりにも悪かったから、今日のお昼はちょっと情報収集に精を出してたんだよね。具体的には魔獣族の中での種族間での仲の良さ的なことをね。調べた感じではやっぱり犬人と猫人はそりが合わないらしくて、嫌いあってるのも珍しくないらしいよ。

 それでどうするか考えた結果、二人で一緒に拷問と殺人をさせて親交を深めさせようと思ったんだけど……この様子だと必要なかったっぽいね。うん。


「そもそもの話、犬人と猫人の仲が悪いのは種族の気質的な問題だからね~。忠誠心が高く真面目で誠実な者が多い犬人と、気紛れで怠け癖を持ち移り気な者が多い猫人では、正しく水と油のような関係だろ~」

「なるほど。お前らは見事にどっちも一般的じゃないな。異端同士だから分かり合えた、ってことか」


 トゥーラには『誠実』なんて言葉は欠片も相応しくないし、キラには『移り気』って部分が全く似合わない。誠実なら新人ボコって悦に浸ったりはしないだろうし、移り気なら二回目の殺人から今に至るまで、目玉をコレクションするなんていう拘りがずっと続いてるわけないからね。どっちも一般的な犬人と猫人じゃないから、仲良くなれたんだろうね。

 

「いやいや、私の忠誠心は特別強いよ~? それに真面目でなければギルドマスターなどという役職が務まるはずがないじゃないか~」

「鍛錬なんてほとんどせずに怠けてた辺り、あたしも案外一般的な猫人だったみたいだしな。けどこれからは強くなるため、そして殺すために鍛錬を重ねるぜ」

「本当に真面目な奴ならこんな状況で見ず知らずの人間を拷問してないし、怠け者なら鍛錬を重ねるとか言わないんだよなぁ……」


 どうにも二人は自分たちを一般的だと思ってるっぽくて参るよ。お前らみたいな狂人と変態が種族単位でいたら悪夢じゃん? それなんて地獄?


「しかし、主は魔獣族の種族事情に詳しくないようだね~? 聖人族が召喚した勇者ならば仕方ない事かもしれないが、そうなると仮の姿に角だけの悪魔を選んだのは偶然かな~?」

「ん? 何か問題あった?」

「悪魔族ってのは角、翼、尻尾の三つが揃ってる奴が一番偉いって風潮があんだよ。逆にこのどれかしかない奴は、二つ以上ある同族にはほぼ差別受けてるようなもんなんだよ」

「へー、そうなんだ……って知ってたなら言えや!」


 ここでまさかの差別事情が明かされて、ボケ役の僕が思わずツッコミを入れた。それを知ってたら角だけじゃなくて尻尾程度は生やしてたぞ。でも今更生やすわけにもいかないし、もう最下層に甘んじるしかないっぽいな、これ。


「わりぃ、忘れてた。けど別に問題ねぇだろ? 生意気なこと言ってくる奴はシメればいいじゃねぇか」

「私もその意見に賛成だ~。別に三つ以上あった方が強い、というわけではないようだしね~。とりあえず力で分からせれば良いのさ~」

「わー。過激だなー、コイツらー」


 差別を圧倒的な力でねじ伏せる気満々の奴らを冷めた目で見ながら、僕は自分の側頭部から生えてる角を弄る。

 そっかー、魔獣族は同族間で差別があるのかー。聖人族はその辺無かったような気がするのになぁ。やっぱり魔獣族もクソなのかぁ。残念、これは滅ぼさなきゃな……。






「さて、ルスリアに帰ってきたわけだけど……本当に今回の懇親会が必要だったか疑問だなぁ?」


 聖人族の街で何人か殺してキラの発散を終えて、ルスリアの街に戻ってきた僕たち。キラもトゥーラもアレな欲求を満たせて満足気なのは良いんだけど、そもそも今回トゥーラを連れて行った理由があるのかどうかが疑問だね。だって僕がどうこうする前に仲良くなってるしね。

 ちなみに今はトゥーラが僕の右腕、キラが僕の左腕を絡めとるようにして抱き着いてきてるよ。正に両手に花って状態だね。まあ無茶苦茶毒々しくて危険極まりない花だから、ぶっちゃけ全然興奮しないがな! 下手すると僕の両腕引っこ抜かれそうだし!


「そうだね~。私たちはもうすっかり仲良しだからね~?」

「まあそれを抜きにしても、あたしは定期的に殺しをしないと駄目だからな。必要ねぇってわけじゃなかったろ?」

「そりゃそうなんだけどね。何か気を回してた僕が馬鹿みたいだなぁ、って……」

「そんなことはないさ~! 組織が円滑に回るよう、人間関係にも配慮する主には支配者の才能があるよ~! 何ならこれからこの街の領主を倒しに行って、成り代わるか~い?」

「……やるのか?」


 僕の腕を抱きしめたまま、戦意を昂らせるアホ二人。そんなコンビニ行こうくらいのノリで革命起こそうとするのやめてくれる?


「やらねぇよ、馬鹿ども。この時点でそんなことする意味が無いし、そもそも僕の目的からすれば街の支配者とかあまりにもみみっちすぎるわ。目指すは世界の破壊者だからね」

「おおっ、さすがは主! スケールが大きいね~!」

「あ? 破壊して良いんだったか?」


 僕が否定すると、途端に二人が漲らせる戦意は消え去った。

 これ僕が『やる』って言ったら、マジでリリスの所に突撃したかもしれないな。うん。コイツらはちゃんと首輪を付けてリードを引っ張らないと駄目なタイプだね。目を離したら何をするか分からん。一応僕に対しては結構従順だから良いんだけどさ……。


「……ところで主~。ずっと疑問に思っていたんだが、何故主は喉の負傷を治せたんだい~? 契約で魔法は使えなかったはずだろ~?」

「秘密。僕にだって隠し玉の一つや二つあるってことだよ」

「え~? 教えてくれたって良いじゃないか~。私たちは仲間だろ~? 何なら代わりに、私の恥ずかしい過去を教えてあげても良いよ~?」

「別に知りたくないし良いです。ていうかお前は僕に教えたって自分が気持ち良くなるだけじゃん?」


 トゥーラはドMだし、自分の恥ずかしい過去を僕に教えたって快感覚えるだけじゃん? そんな自慰に付き合うつもりはないぞ。自慰じゃなかったら付き合うってわけでもないが。


「だったらあたしにだけ教えてくれよ? ぽっと出の犬畜生よりあたしの方が信頼できるだろうし、話してくれたって良いだろ?」


 などと言いつつ、僕の腕を強く抱きしめてくるキラ。

 うーん、柔らかな感触を感じるのは素晴らしいとはいえ、いかんせんキラ自身がヤベー奴だからなぁ。正直すぐに縮み上がりそうな感じ。


「どっちかっていうと僕は誰も信用してないし、最近は犬と猫より兎の方が好きになって――痛い痛い痛い。やめて? 人間の肘関節はそんな方向に曲がらないから」


 ポロっと本音を零すと、僕の両腕が同時に愉快な方向に捻じられていった。契約魔術的にはセーフの範疇っぽいですね、これ。

 ていうかノータイムでそういうことするから、兎の方が印象良くなるって分かってる? あっちはクソほど僕を嫌ってるし罵倒もキレッキレだけど、君らよりも従順なんだからね?







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