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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第6章:童貞卒業の時
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お勉強終了?

※性的描写あり




 クッソ忌々しいことにトルトゥーラを真の仲間にしてしまった、可哀そうな僕。しかしまあ、戦力的には大いに歓迎できる相手だし、僕に対して妄信に等しいクソデカ感情を抱いてる点は良い事かな。ド変態って点で良さが相殺されてる気もするけど。

 とにもかくにも、トルトゥーラは仲間入りを果たした。でもさすがにギルドマスターっていう役職があるせいか、引継ぎ作業とかに数日かかるんだってさ。コネと権力が使えなくなるから、やめるんじゃなくてあくまでも長期休暇扱いにするらしい。数日で詰め込み引継ぎされるサブマス可哀そう……。

 何にせよ、あと数日はこの街に留まらなきゃいけないっぽい。まあ別に急ぐ旅路ではないから構わないんだけどね。勇者とかいう堅苦しいだけの地位が無くなって、本当に清々するよ。


「さて、もう夕方だからリリスの城にリアを迎えにきたわけだが……何か城門前が騒がしいね?」


 空が茜色に染まってきた頃、僕はミニスをお供に連れて再びリリスのお城へと来てる。ただ、何か城門前が騒がしい感じなんだよね。遠目だから何やってるのか分かんないけど、合法ロリサキュバス二人と秘書と何人かのメイドサキュバス、それから門番たちがいる。僕の歓迎でもしてくれるのかな?


「どうせまたあんたのせいか何かでしょ。知ってるわよ」

「何もかも僕のせいにするのやめよ? 確かにサキュバスの一件は僕のせいだけどさ……」


 妙な決めつけをして蔑みの目を向けてくるミニスにそう返す。

 本当に今回は何も知らないんだよなぁ。まさか僕がギルマスに拷問紛いの調教をしたって報告が、ついに領主まで届いたのかな? 報告するって言ってた冒険者は、トルトゥーラとのお話が終わった後に個人的なお話をして考え直して貰ったはずなのになぁ……物理的説得が足りなかったかな?


「レタリーさん、どうしたんですか? こんなところで」


 城門前の石橋のところまで来た僕は、困った顔をしてリアたちを遠巻きに見てたレタリーに話しかけた。すぐに僕の方に向けられた瞳には、僕に対する敵意とかは見当たらない。うん、報告が行ったわけじゃないっぽいね。良かった。


「ああ、クルスさん。実はですね――」

「あっ! お、おにーちゃん!」


 と、レタリーが答えようとしたところで、リアが僕の存在に気が付いた。何か妙に焦った表情してるな? そうしてそのままトテトテと僕に向かって駆けてきたんだけど――


「……はっ!?」


 僕の一メートルくらい手前で、何かに気付いたように足を止めた。そして何やら視線を僕の顔から徐々に下へと動かして行って――おい、どこ見てるんだ。もしかしてチャックでも開いてた?


「~~っ!!」


 リアは僕の下半身に視線を注いだまま、どんどんと顔を赤くしていった。最終的には声にならない声を上げながら、踵を返して反対方向に走り始めるという始末。何だコイツ……。


「――おっと、大丈夫かい?」

「ぴゃあっ!?」


 前を見てなかったのか門番の兵士にぶつかったかと思えば、素っ頓狂な声を上げて尻尾をビンビンに立てて飛び上がる。良く分からんけど見ててちょっと面白い。凄い臆病な猫があらゆる物音に反応して走り回ってる感じ?

 ちなみに件の猫ことリアは涙目でもう一度こっちに走ってきたかと思えば、僕を見てもう一度足を止めて、最終的に僕を遠回りする形でミニスの後ろに隠れた。ミニスのコートをぎゅっと掴んで、僕の様子を凄い恥ずかしそうな表情しながら窺ってる。本当にどうしたんだ、コイツ……?


「……何があったんです? ていうかどうしたんです、これ?」

「……たぶん、勉強の影響。基本的な性知識さえ欠如していたから、それを踏まえて色々教えた。こうなるとは、予想外」


 答えてくれたのは、酷く申し訳なさそうな顔をしてるリリス。

 なるほど。道理で僕の股間を凝視して顔を赤くしたわけか。しかしだからといって近付くのも恥ずかしがるとか、ちょっと無垢すぎん?


「ちなみに一体どこまで教えたんです?」

「……サキュバスという種族の生態。それから、子供の作り方まで」

「……マジかぁ」


 うっそだろ、お前。って返したかったけど、相手が相手だからそれは胸の内に留めておいた。

 というか、それしか教えてないのにこの状態? これ大丈夫なの? もっとハードでエグイ感じのプレイについて教えたら、泡吹いてぶっ倒れるんじゃない?


「基礎の基礎も良い所なのに、これほど取り乱すとは予想外。これはボクの知識を全て教え込むのに、時間がかかりそう」

「具体的にはどれくらいですか?」

「……あと、七日――ううん、十日は欲しい」

「さりげなく三日増やしましたね。しかも今日は含めずに」

「仕方ない。それだけあの子が無垢に過ぎる」


 今は何の役目も立場も無い状態だし、十日くらいならまあ良いかな? トルトゥーラも仕事の引継ぎに時間かかるだろうし、逆にちょうどいいかもしれない。


「そもそもの話、今の状態であなたとエッチできると思う?」

「それは無理ですね。近づく事すら難しそうです」


 リリスの問いにそう返して、試しにリアへと一歩踏み出してみる。こっちを窺ってたリアは途端にミニスの身体の陰に隠れて、角だけ覗かせてたよ。一歩近づいてこれじゃ、エッチとか夢のまた夢だぞ。


「そう、だから仕方ない。でも朗報。あの子はとても賢い。教えた知識を、あっという間に吸収する。十日待ってくれれば、最高の一夜をあなたに提供してくれる」

「これが、ですかぁ……」

「ひぅ!?」

「……はず」


 回りこんでリアに近付くと、変な声を上げて反対側に回られる。これが最高の一夜を提供してくれるサキュバスに見える? リリスでさえちょっと自信なくなってきたのか、最後に希望的観測を付け足してきたぞ。あ、目まで逸らしやがった……。






「……………………」

「……………………」


 リリスのお城からの帰り道。誰も言葉を発さないせいで、聞こえるのは自分たちの足音と街の喧騒だけっていう耐え難い無言の時間になってた。

 リアは相変わらずミニスを盾にする形で僕を警戒してるし、ミニスはミニスで庇護欲をそそられてるのか守るようにしてるし。こうなると奇声を上げながらリアに迫ってみたい気持ちもあるんだよね。さすがに嫌われそうだからやらないけどさ。


「えっ、と……お、おにーちゃん……」

「うん? どうした?」


 沈黙に耐えられなくなったのか、リアが僕の様子を伺いつつ口を開いた。なるべく優しい笑顔で尋ね返したのに、一瞬びくっとされたがな!


「お、おにーちゃんは、知ってたの? リアが、その……エッチな事しないと、生きられないって……」

「え、何それどういうこと? あんた、この子に一体何を……?」

「うん、知ってたよ。最初お前が死にかけてたのは、エッチな事をした経験が無いからってこともね。どうもサキュバスって種族は、エッチな事をして得られる快感が無いと生命維持に支障をきたすらしいんだよ」

「それは、また……随分と、アレな種族ね……」


 どうやらサキュバスの生態を学んだことで、リアは自分を襲ってた体調不良の理由を理解したっぽい。前半はリアに向けて、後半は何故か僕を蔑んだ瞳で見たミニスに向けて答えると、それぞれ羞恥に塗れた表情と呆れた感じの表情が返ってきた。


「じゃ、じゃあ……おにーちゃんは、リアに、エッチなことしたの……? その、おにーちゃんの……を、リアの……に、入れて……?」


 何やら意味深な事を尋ねてくるリア。ちょっと大事な部分でゴニョゴニョ言ってて聞こえなかったけど、何を言わんとしてるのかは分かったよ。

 しかし、リアもついに無垢で無知な幼女を卒業したかぁ。ちょっと感慨深いものがあるね。


「いや、そこまではしてない。魔法で感度を高めて身体を洗っただけだから。そもそも洗ったのも僕じゃなくてハニエルだしね」

「あんた何やってんの? ていうか大天使に何やらせてんの? 変態じゃない?」

「うるさい。だってリアを買った時はボロ雑巾の方がまだ綺麗って感じだったし、もう死んでるんじゃないかってくらい弱ってたんだぞ。さすがにそんなのを抱く趣味は無いし、面倒だからハニエルにぶん投げただけだよ」


 生命維持に不可欠なことをやらせただけなのに、ミニスはまたしても僕に生ゴミでも見るような目を向けてきた。そんな風に見られたら興奮しちゃうからやめて欲しいなぁ。


「そ、そう、なんだ……じゃあ、えっと……リアの膜は、まだ無事なんだね……?」

「ぶっ!!」

「言い方ぁ! 何でそんな生々しい言い方してんだ、お前!」

「あぅ……ご、ごめんなさい……」


 とっても生々しいリアの言い方にミニスが噴き出し、さすがの僕も注意する。一体何でわざわざそんな表現使ったのか……。

 そもそも僕の記憶が正しければ、リアは初対面の時に僕を童貞呼ばわりしてきた気がするんだよなぁ……もしかして意味が良く分からないのに使ってたんだろうか。精々『まだエッチしてない男』くらいの認識で。だとしたら今回のお勉強で処女とか童貞の正しい意味も教えられたんだろうなぁ。


「うーん。何か調子が狂うな、これ……」

「……本当にこのまま勉強させてて大丈夫なの? ちょっと考え直した方が良いんじゃない、これ?」

「そうだね。子作りの方法を知っただけでこれだと、この先を知ったらめっちゃ取り乱しそうだし……」


 ミニスの提言に正直僕も賛成だ。だって自分の種族のことと、子供の作り方を教えてもらっただけなのにこの調子だよ? 他に学ぶであろうこととそのぶっ飛んだ内容を考えると、正直ここでやめた方がリアのためになるような気もする。


「えっ!? や、やだ! リア、ちゃんと最後までお勉強したい! 見捨てないで、おにーちゃん

!」


 ただリア自身はどうしても最後まで学びたいらしい。勉強の中止を匂わす僕の発言に凄く必死な表情をして、ミニスの陰から飛び出して僕に縋りついてきた。どんだけエッチなお勉強したいんだよ、お前……。


「いや、別に見捨ててはいないんだけどさ……本当に最後まで勉強できるの? それに勉強が全部終わったら、その後は僕と本番だよ? 大丈夫?」

「ほ、本番……破瓜……中出し……!」


 僕が苦言を呈すると、リアはたちまち顔を赤くしながら意味深な単語を呟き、僕の股の辺りを凝視しながら固まった。うん。やっぱり考え直した方が良いかもしれんな、これ。


「……これ、もう駄目じゃない?」

「だねぇ。でも本人にやる気はあるみたいだし、とりあえず数日は様子を見るかなぁ……」


 ただリア自身は滅茶苦茶やる気があるみたいだし、数日は自由に学ばせることにした。どのみちトルトゥーラが旅立ちの準備を終えるまでは、この街に留まるわけだしね。考え直すのはもう少し後でも大丈夫でしょ。


「……ちなみに、いよいよダメそうなら僕はお前で童貞を捨てることも考えてるよ?」

「……拒否権はないだろうから、これだけは言わせてもらうわね。せめてあんたの初めての相手にだけはなりたくないわ。どうしてもって言うなら、先にあのワンコで童貞捨ててきてくれない?」

「ハハハ、面白い冗談だ。僕にだって選ぶ権利はあるんだよなぁ……」


 リアみたいな反応を期待してミニスにそんな本音を投げかけると、冷たい表情でとんでもない返しがぶっ飛んできた。何だろう。コテンパンにやり込められた気分だぜ……。



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