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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第6章:童貞卒業の時
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招かれざる訪問者

⋇暴力描写あり

⋇性的描写あり




「――オイゴラァ! 元実験動物(モルモット)ぉ!」


 ルスリアの街に来て二日目の朝。僕は意識が覚醒すると共に、勢いよくベッドから身体を起こして叫びを上げた。何故ってそりゃあ問題児をとっちめないといけないからね。ミニスのせいで女神様がロリから少女になってるわ、ウサミミ生えてるわで本当にびっくりしたよ。

 あ、そうそう。もちろん女神様のウサミミは心行くまで触り倒したよ。相当敏感みたいで一撫でするだけでめっちゃエロく喘ぐから、押し倒したい気持ちを我慢するのがめっちゃ大変だった。まあどうしても辛抱堪らなくてウサミミをパクっと咥えてあむあむ齧ったら、さすがにやりすぎだったのか例のロッドでボコボコにされたけどね。でもクッソエロい喘ぎが聞けたからヨシ!


「わっ!? い、いきなり何よ!?」


 で、ミニスなんだけど……やっぱりというか何と言うか、お祈りの真っ最中だったみたい。窓の前に膝を突いて、手を合わせた状態で僕に対して険しい視線を向けてきた。朝っぱらから女神様にお祈りするなんて敬虔過ぎるだろ。しかも絶対これ毎日やってるぞ。


「お前のせいだぞ、元実験動物(モルモット)! お前、僕の女神様を変な風に妄想したな!」

「意味わかんないんだけど!? せめて分かるように説明しなさいよ!」


 詰め寄って詰ったけど、当の本人はただお祈りをしてるだけだから何にも分からないみたい。仕方ないから丁寧に説明してあげたよ。女神様の姿が信者の想像によって決まるっていう所から、夢の中でのやり取りまでね。


「はぁ……つまり、私が女神様を信仰するようになったせいで女神様の姿が変わって、ロリじゃなくなった上にウサミミが生えたって? そんなことでキレ散らかすとか馬鹿じゃないの?」

「誰が馬鹿だ! 百歩譲って成長したのは良いとしても、何でウサミミ生やしてんだよ! どうせウサミミ生やすならせめてバニーガール姿を想像しろ!」


 呆れを越えて軽蔑に近い視線を向けてくるミニスにそう命じる。ロリバニー女神様とか滅茶苦茶見たいしね。いや、今はロリじゃないのか……それでもいいからバニー姿の女神様を見たい。そういえば確認してなかったけど、尻尾も生えてたんだろうか……。

 なお、ミニスは僕がバニー発言をした瞬間、視線も表情も完璧に軽蔑のソレになった。おまけに中指まで立ててきやがったよ、コイツ。


「ド変態。誰があんたが喜ぶようなことするかっての。私はあんたと違って真面目に真摯に女神様を信仰してるのよ。おとといきやがれ、背教者」

「あーっ! この敬虔な信徒野郎が!」

「ギャーッ!? 耳を掴むなクソ野郎!」


 ムカっと来たからミニスのウサミミを鷲掴みにして、引っこ抜くようにして宙吊りにしてやった。ウサミミを掴む僕の右腕を両手でギリギリ握って抵抗してくるけど、残念ながら寝る時は特に厳重に防御魔法をかけてるんだよ。この程度痛くも痒くもないね!


「お前みたいな狂信者はたっぷり教育してやる! コイツを食らえ!」

「誰が狂信者よ、このボケ――いっ!?」


 だから空いた左手でミニスの頭を鷲掴みにして、教育を施した。具体的には僕の記憶にある女神様(ロリの姿)を、ミニスの頭に無理やり焼き付けた。

 現状女神様の信者が僕とコイツしかいないなら、コイツの想像を矯正すればいつもの女神様に戻るはずだからね。ウサミミ少女姿もアレはアレで趣があったけど、やっぱ一番はロリ女神よ。


「……どうだ。それが女神様の本当の姿だぞ。バニーガールとは言わないから、せめて今後はしっかりその姿を思い浮かべろよ」

「……こう言っちゃ失礼だけど、意外と小さいのね……レキと同じか、ちょっと大きいくらい……?」


 ウサミミを掴んでた手を離すと、ミニスはその場にぺたんと座りこんで記憶を反芻し始めた。確かに女神様が小さいことは否定しない。でもそこがいいんだよなぁ? 


「ていうか、信仰自体は止めなくていいわけ? てっきり『そんな奴より俺を信仰しろ』とか言われると思ってたんだけど?」

「僕を何だと思ってるんだ、お前は。大体僕もお前と同じ、女神様の信仰者だぞ。邪教認定して改宗を迫ったりするわけないだろ」

「たぶんあんたの信仰は激しく捻じ曲がってると思う……」


 おっと、敬虔な信者である僕の信仰心が貶められている。おかしいなぁ? 僕は女神様のためなら何万人でも人を殺して、世界を滅ぼすことだって厭わないのに。あ、滅ぼしちゃ駄目ですか? 分かってるよ、あくまでも心意気の話ね。


「何とでも言え。とにかく今後、女神様の事を妄想する時は絶対にその姿を妄想しろよ? じゃなきゃそのウサミミ引っこ抜くからね」

「私が女神様で不埒な妄想してるみたいな言い方、やめてくれない……?」


 すごい不満げな答えを返してくるミニスだけど、特に拒否はしてこなかった。

 何にせよこれで妄想を矯正できたから、今度会う時はいつものロリ女神様に戻ってるだろうね。胸も無くなるだろうから女神様もきっとショックだろうなぁ。これはたっぷり慰めてあげないといけませんね? グヘヘ……。






「さーて、今日はどうしようかなー。とりあえず昼にはリアをリリスの所に送って、その後冒険者ギルドに行くのは確定でー……」


 ミニスの妄想を矯正し終わった僕は、だらだらと着替えながら今日の予定を立ててる真っ最中。正確にはその前にミニスを目の前で着替えさせて、その光景をオカズにトイレで致してきたところなんだけどね。

 いやぁ、軽蔑と羞恥が入り混じった表情でストリップするロリの姿は最高だったよ。とはいえミニスも僕からのセクハラに段々慣れてきたのか、別に泣いたりはしてなかったね。やっぱメンタルがクソ強い。 


「ねえ、ちょっと……ねえ、クソ野郎」

「あのさ、ご主人様って呼べとは言わないから、せめてもうちょっと優しい呼び方してくれない? 最初はそれでも良いかって思ってたんだけどさ、常日頃からそう呼ばれるのは何か辛いものがあるよ?」


 まあそんなセクハラしてるせいもあるのか、ミニスは僕の事を『クソ野郎』って呼ぶんだけどね。最近じゃ人前でも『クソ野郎』で一貫してるし。さすがに自分が人間の屑だと理解してる僕でも、日頃からそんな風に呼ばれてたら傷つくんだぞ?


「あんたの気持ちなんてどうでも良いわ。そんなくだらないことより、ちょっと窓の外見てみなさいよ」

「えー? そう言って僕を窓から突き落とすつもりなんでしょ?」

「その程度で死ぬならとっくの昔にやってるわよ、クソ馬鹿が。良いから外見なさい、外。何かヤバい奴来てるわよ」

「ヤバい奴ぅ……?」


 さっきから窓の外を眺めてると思ったら、どうにも来客があったみたいだね。

 しかしミニスがヤバい奴認定するとは、たぶん相当な奴なんじゃないかな。何せコイツの周りにはヤバい奴しかいないしね。復讐鬼のロリサキュバスとか、猟奇殺人鬼の猫人とか。ちょっと好奇心が疼いたから、僕も窓に近付いてミニスの隣から外の光景を眺めることにした。ちなみにここは宿の二階ね。


『――ふむふむ、なるほど~。どうやらここに彼が泊っているようだね~。微かに彼の匂いがするよ~?』

「うわ、マジだ。朝からヤバいの来てる」

「復讐に来たのかしらね。アレだけ痛めつけられて、よくやるわ……」


 何と来客は頭のイカれたギルドマスター、もといサディストクソ犬のトルトゥーラだった。

 どうやら負傷もバッチリ全快したみたいで、宿の前に堂々と五体満足で立ってる。何か言ってたから聴覚を強化して聞いてみたら、間違いなく僕が目的なのが分かっちゃったよ。これはやっぱり復讐かな? せっかく命は見逃してやったのに……。


『――待ってくれ、ギルマス! アイツはヤバい! 気持ちは分かるが抑えてくれ!』

『幾ら何でも今度こそギルマスも殺されちまうぞ! 復讐なんてやめてくれ!』


 そんなトルトゥーラに全力で駆け寄り、両腕に縋るのは強面の冒険者たち。傍から見ると、大の男二人が少女の身体を左右に引き裂こうとしてるように見えなくもない。でも力関係を考えるとむしろ男二人が振り回されかねないんだよなぁ。

 というかマジで振り回されてるんだが? あ、吹っ飛んだ。


『えぇい、邪魔をするな~! 私は、どうしても彼の所へ行かなければならないのだ~!』

『クソッ! こうなったら……力づくで止めるぞ、お前ら!』

『おうっ! サブマスからの許可は出てるしな! 規則は気にせず本気で行くぞ!』


 そう言って、吹っ飛ばされた二人と駆け付けた援軍っぽい三人の冒険者が武器を構え、トルトゥーラを囲む。どう見てもリンチの現場です。通行人も巻き込まれたくないのか、足早に逃げて行ってるしね。

 ていうかサブマスさん、なかなか過激な許可を出しますね……いや、過激なことをしてでも止めないと、大惨事になるって分かってるからこその判断か?


『ほ~? まさか君たちが、私に勝てると思っているのかな~?』


 若干獰猛な笑みを浮かべたトルトゥーラは両腕を虚空に突っ込んだかと思えば、何やら物々しい赤い装甲に覆われた状態の両腕を引き抜く。

 ちょっと遠くて見えづらいけど、どうにもあれは手甲とかガントレットっぽいものに見える。ただ動きの妨げにならないようにか装甲は薄めの蛇腹状で、指の方も第二関節程度までしか覆ってない。武器というよりは斬撃に対する防御程度にしか使われ無さそうな感じだな。


『勝てる勝てないじゃねぇ! 勝つんだよ!』

『行くぞお前ら! 気合入れろよ!』


 そして戦いの火蓋は切って落とされた。全員で襲い掛かる冒険者たちと、それを迎え撃つギルドマスターという謎の光景。

 これでギルマス側がやられてたらただのリンチで済むんだけど、やっぱりトルトゥーラは相当強いみたいだ。四方八方から襲い来る剣戟や魔法を捌いていなして拳で弾いて、楽々対処してる。むしろ攻撃の方向を誘導して同士討ちを狙う余裕もあるっぽいね。


「何か宿の前で乱闘始まったね。営業妨害じゃない、これ?」

「冒険者の人たちも良くやるわ。あんなんでも一応人望はあるのかしらね……?」


 冒険者たちとギルマスの非常識な行動に、さすがのミニスも呆れてる感じ。まあ人望が無かったら許されないようなことしてたしね。新人ボコボコにして暗い欲求を満たしてたみたいだし。


『ハハハハハ~! その程度で私を止めるなど、片腹痛いわ~!』

『グッ、ゴボ……!!』

『クソッ! 怯むな! 全力でギルマスを叩きのめすんだ!』


 ある程度攻撃を捌いて癖が見えたのか、それとも隙を見出したのか、トルトゥーラが攻勢に移った。それほど振り被ってもいない拳が重鎧を着込んだ男の腹に当たると、明らかに装甲の上からなのに男が血反吐を吐いて膝を突く。剣の腹で拳を防ごうとした冒険者に至っては、当たったのは刀身部分なのに同じく血反吐を吐いた。

 特に魔法は使ってないみたいだし、アレかな? 浸透勁とかいう感じのやつ? 衝撃を相手の体内に伝わせることで、直接内部を破壊するとか何とか。よくもまあ魔法で何でもできる世界で、そんな武術の極致みたいなものを身に着けてるねぇ……。


「……で、これどうすんの?」


 段々と一方的な蹂躙になってきた光景を尻目に、ミニスはそう尋ねてきた。

 冒険者たちも健気に頑張ってるとはいえ、このままだと数分持たずに全滅しそう。朝ごはん食べてる暇はなさそうだね、これは。


「うん。とりあえず正当防衛が認められるよう、先に一発殴らせることにしようか。成立すればこっちが殺しちゃっても不可抗力でしょ」

「いや、そうじゃなくてこの状況をどうにかって意味なんだけど……ていうか迎え撃つ気満々じゃない……」


 もうアイツがここに来るまでにできることもなさそうだし、とりあえず僕は部屋の入り口から真っすぐ見える所に椅子を置いてそこに座ったよ。まるで玉座に腰かける魔王が如く、悠々と偉そうに。挑まれる側としては余裕がなきゃ駄目でしょ?


※クソ犬、復活

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