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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第6章:童貞卒業の時
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発情猫

※性的描写あり




「はー、疲れたぁ……全く、新人冒険者を痛めつけるなんて、とんでもねぇギルマスだよ」


 そんな風に愚痴を零しながら、僕はベッドへとダイブする。なかなかの反発力で気持ちが良いね、このベッド。

 冒険者ギルドを出た僕らは、ひとまず宿を取って休息することにしたんだ。取った部屋は僕専用の二人部屋が一つと、真の仲間たち用の四人部屋が一つ。ちなみに一人部屋と三人部屋は無いそうです。まあわざわざ一人から四人までの部屋を一つずつ用意するよりはスペースの有効活用にもなるしね。高層ホテルとかでも無いんだから仕方ないか。

 今はとりあえず僕の部屋である二人部屋に皆で入ったところ。二人部屋に男一人と女三人、何も起きないわけが無く……。


「否定はしないけど、やり返したあんたも大概だと思う……」

「そういうお前は僕がピンチになったと思って凄い嬉しそうだったよね。ちょっとこっち来い?」

「いや、それは……す、すみませんでした……」


 ベッドから身体を起こして、呆れたような物言いをしたミニスを笑顔で招くと、顔を青くして素直に僕の所へ来てくれた。

 コイツ、僕が負傷した時は死ぬほど嬉しそうにしてたからね。ざまあみろとか言ってたし、トルトゥーラに盛大に僕を痛めつけて欲しいとか頼んでたし。本当に僕の事が憎いんですねぇ?

 まあ僕はコイツには特に恨みも無いから、トルトゥーラにやったみたいなお仕置きはしないけどね。もう実験動物(モルモット)も卒業したし。でもとりあえず膝に乗せてウサミミをモフろうっと。モフモフ。


「……それでご主人様、これからどうするのー?」

「そうだねぇ……本当は登録終わった後に幾つか依頼でもこなそうかなぁって思ってたんだけど、登録終了が明日になっちゃったからねぇ。かといって特にやるべきことも見当たらないし、自由行動にしようかな?」

「本当? じゃあご主人様、お小遣いちょうだい! リア、夜に向けて色々お買い物したいの!」


 なんて、可愛らしい笑顔でお小遣いをねだってくるリア。

 別におねだりされるのは良いんだけどさ、買い物の目的がたぶん拷問道具を集めるためってのが笑えないよね。


「うんうん、一体何を買うんだろうねぇ。まあいいや。はい、あげる」


 でもそれを咎める気は一切無いから、望み通りお小遣いをあげた。革袋に入った金貨や銀貨をポイっと投げ渡してね。もちろんキラにもあげたし、膝の上のミニスにもあげたよ。 


「え……私にも?」

「そりゃ一応真の仲間だからね。それにどうせ偽造通貨だし、気にせずパーっと使いなよ」

「んー……じゃあ、レキ達にお土産でも買おうかな。依頼料多めにすれば、村まで届けてくれる人がいるかもしれないし……あ、でも今日村を出発したばっかりだし、さすがに早すぎて変に思われるかも……」


 僕にウサミミをモフられながら、何かブツブツ言って考え事を始めるミニス。

 この子、初めの頃は僕がウサミミをモフると凄い悔しそうに睨んできたのに、今じゃもう全然反応しないよ。慣れちゃったのか、それとも諦めてるのか。何にせよ基本反抗的でも素直に言う事聞いてくれるんだし、個人的には文句はないかな。


「とりあえず僕はお昼まで昼寝……いや、朝寝? ともかく仮眠でも取ろうかな。何か疲れたし。別に昼ごはんは皆で食べようとは言わないから、みんな気にせず自由に過ごしなよ」

「はーい! それじゃあ、お買い物行ってきまーす!」

「じゃあ私も適当にブラブラしてくるわ。あ、夕方まで帰ってこないから」

「いってらっしゃーい」


 元気に返事をしたリアと、僕の膝からピョンと離れて汚れを払い落とすようにウサミミを振ったミニスが、それぞれお買い物に向かう。僕はそんな二人にゆるゆると手を振って見送った。

 お土産目的のミニスはともかく、拷問道具を揃えるのが目的のリアに関しては、言ってくれれば僕が魔法で創って用意してあげたのになぁ。でも目的のために地道に準備するのって意外と楽しい所があるし、もしかしたらリアも分かってて自分で集めに行ったのかも。確かに遠足とか修学旅行で一番楽しいのは荷物を詰めてる時な気がするし。

 まあ何か頼まれない限りは自由にさせてあげよう。サキュバスを拷問できるせいかリアはすっごい上機嫌だしね。水を差しちゃ悪い。


「……で、お前はいきなり何してんの? 何で唐突に僕の目の前でストリップ始めてんの?」


 なんてことを考えてたら、今まで無言でいたキラが何故か僕の目の前でストリップを始めてた。編み上げブーツを脱ぎ去って美味しそうな太ももから引き締まった足先までを晒して、元々露出度の高い上着も脱いでビキニみたいなブラを晒してる。両腕に装着してた仕込み鉤爪も外してて、今正にホットパンツを脱ぎ去って完全な下着姿になるところだよ。クソエロいけど何やってんだ、コイツ。


「ああ? んなもん決まってんだろうが。これからおっぱじめようってのに、服着てたら邪魔だろ?」

「待って、話が見えないよ? これから何をおっぱじめるっての?」

「そりゃ男と女のアレに決まってんだろ。初心な振りしてんじゃねぇよ、勇者様?」


 ニヤリと笑ったキラは、完全な下着姿でベッドの上にギシリと上がってきた。そしてベッドで半身を起こしてる状態の僕を、四つん這いで下から誘うような目で――ってこれは俗に言う雌豹のポーズでは? 猫人だし種族的な補正があるのか、妙に様になっててドチャクソエロい……。


「えーっと、何でいきなりそんなことしようとしてるわけ? 確かに最近のお前は何か迫ってきてる感じがあったけど、これはちょっと段階飛ばし過ぎじゃない?」


 キラは真の仲間に加入した辺りから、やたらにボディタッチとかのスキンシップが多かった。猫が飼い主に自分の匂いをつけるのと同じ感じかな? それでミニスの故郷では僕の唇を奪ってきたし、あの後も何度か唇を狙われてる。そしてどうにも僕の童貞を狙ってる雰囲気もあった。

 ただキラは頭のおかしい猟奇殺人鬼だから、殺人以外のことにそこまで熱を上げるわけがない。すぐに飽きるか冷めるかするだろうと思ってたんだけど、今はどう見てもノリノリで熱を上げてるんだよなぁ。尻尾がピンっと立っていらっしゃる……。


「仕方ねぇだろ。あんなもん見せられちまったんだからな」

「あんなもの……?」

「ギルドでお前が見せたブチ切れた姿、最高だったぜ? 見た目は笑ってんのに、中身は氷みたいに冷え切っててよ。そりゃあもうゾクゾクするくらいすげぇ殺意が迸ってて、あたし興奮でちょっと濡れちまったよ」

「あっ、ふーん。頭おかしい」


 ゾクゾクとした表情で語るキラに、僕は率直な感想を零した。

 どうやらキラは冒険者ギルドで僕が見せたブチ切れた姿が、心底お気に召したみたい。冷え切った殺意を周囲に振りまくその姿で、性的な興奮を催したんだろうね。控えめに言って頭おかしいし性癖もヤバいね。

 えっ、お前といい勝負だって? やだなぁ、僕はここまでおかしくないよ。だって僕はそんな猟奇的なシチュエーションに頼らなくても、幼女の裸だけで興奮できるもん。一緒にしないで欲しいね。


「あれから腹の奥が疼いて堪んねぇんだよ……なあ、鎮めてくれよクルス。お前だってヤりてぇんだろ?」


 興奮に火がついてる感じのキラは、正に発情した猫の如く擦り寄ってきた。これで女の子特有の甘い匂いでもしたらさすがの僕も一発ノックアウトなんだけど、むせ返るような血の臭いしかしなくて全然興奮しないんだよなぁ。さっきギルドで滅茶苦茶に暴れたせいか。


「そりゃあそうなんだけど、僕にだって初めての相手を選ぶ権利があるっていうかね……ぶっちゃけサイコパスの殺人猫が初めての相手っていうのは、ちょっと勘弁」


 だから僕はきっぱりと断った。

 ミニスの故郷にいた時にこうして迫られてたら、きっとオッケーしてたと思うよ? でも今は状況が違うからね。何せリアがサキュバスの女王から直々に性知識を授かれるんだ。初めては思い出に残る素晴らしいものにしたいし、ここはどう考えてもサイコパスの殺人猫よりロリサキュバスを相手にするのが賢い選択でしょ?


「………………」


 そんなわけでバッサリ断った結果、一気にキラの表情が不機嫌に変わって行った。尻尾も不快気に激しくユラユラ揺れてるし、まさか断られるとは思ってなかったんだろうね。もしかして僕の事、女と見ればどんな奴でも襲う節操無しに見てない?


「……いいからとっとと脱ぎやがれ。テメェを立派な男にしてやるよ」

「キャー! 誰か助けてー! ていうか立場がどう考えても逆ぅ!」


 さっきまでのエロい雰囲気は一転、キラは無理やり僕の服を脱がそうとしてきた。

 シチュエーションには興奮するけど、何で僕が脱がされる方なんですかねぇ!?






「――起きてー、ご主人様ー。もうすぐお昼だよー?」

「んー……もうそんな時間か。ふわあぁぁ……」


 ゆらゆらと身体を揺らされて、僕はひとときの仮眠から目を覚ました。

 しかし今回も夢に女神様が出て来なかったなぁ。最近何故か夢に女神様が出て来ないから、こうして何度も仮眠を取ってるんだけど……まさか代償の肩代わりをしておいて、踏み倒すつもりではあるまいな? 僕は信じてるよ、女神様?


「わわっ!? ど、どうして裸のキラちゃんと一緒にベッドに入ってたの!? はっ!? ま、まさか、エッチなことを……!?」

「大体あってる。でも僕はまだ綺麗な身体のままだよ。襲われる前に眠らせたし」


 のっそり身体を起こすとシーツが捲れて、僕の隣で眠ってる全裸のキラの姿が露わになる。途端に顔を真っ赤にして、そっち方向に話を持って行くリアはさすがだね。

 まあ幾らキラがイカれてて恐ろしかろうと、所詮は僕と契約を結んだ奴隷。命令一つで行動を止めさせることは簡単だし、それができなくても僕には無限の魔力がある。目的はともかくベッドに上がってきてくれたから、眠らせて抱き枕にしたってわけ。ちなみに抱き枕としての評価は、少なくともリアよりは上だね。刺さる角も邪魔な翼も無いし。


「……エッチな事すると、身体が汚くなっちゃうの?」

「比喩的な意味ではそうだね。そういう言い回しとかも気になるなら、明日リリスに聞いてみると良いよ。たぶん僕より性知識は豊富だろうし」

「分かった。じゃあ聞いてみようかな……」


 何やら神妙な面持ちで呟き、メモ帳を取り出して書き留めるリア。ちょっと覗いてみるとアレな言葉からソレな表現までなかなかの量が書き記してあった。勉強への熱意はバッチリですね。


「……ところでさ、性知識を習ったらリアには僕の初めてのエッチの相手になって欲しいんだけど、リア的にはそれってオッケー?」

「んー……何か恥ずかしそうだけど、ご主人様なら良いよ? リアもエッチなことってどんな感じなのか知りたいし」

「良いのか。よっしゃ」


 ちょっと顔を赤くしてるけど好奇心の方が強いみたいで、リアは素直に頷いてくれた。

 でもこれってたぶん、何も知らないからこそ頷いてくれたんだよね。男のアレを女の子のアソコに突っ込んでパンパンするってことを知っても、同じように頷いてくれるかは未知数だね。


「でも、ご主人様はリアでいいの? そういうのって、もっと大人っぽくておっぱい大きい女の子の方が良いんじゃないの?」

「その辺はあくまで個人の好みだからねぇ。それこそバイーンでボイーンなサキュバスが好きって奴もいれば、リアみたいな絶壁が大好きって奴もいるから。僕は正直どっちでもイケるし」

「そっかー、良かったー」


 ほっとしたような顔を見せるリア。いや、そこは絶壁呼ばわりされたことを怒るところだと思うよ? まあ気にしてないならいいか。


「そういえば夜に向けて何買ってきたの? 何か色々はみ出てるけど」

「えっとね、トンカチとノコギリとー、やすりとカンナとナイフ! お昼食べたらまたお買い物に行くんだ!」

「アッハッハ。日曜大工でもするのかな?」


 嬉々として袋に詰まった拷問道具――じゃなくて工具を見せてくる。しかもまだまだ集める気みたい。やすりとかカンナは一体何に使うんだろうなぁ……。




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