クラッチ機構についての所感
受かった!
過去イチ調子が悪かったんだけどね。雨天教習後乾かし忘れてグローブくせぇし配車がローダウン車当たっちゃってせめぇし(前述の通り僕はくまさんと呼ばれる体格である)なんか集中できなくてクランクでパイロンかすっちゃうし、フラついて右足蹴って復帰とか何発かやったし、エンスト連発こくしまぁ散々。エンストの理由はなんかスロットルレスポンスが悪かったとかバイクのせいにしたいけど、ぶっちゃけ僕の技量が足りなかったんだろう。慢心慢心。担当教官は1時限目の人につきっきりだったから居なかった。いや、もちろん見てたよ?2人いる片割れの、担当じゃない教官の方がね。
そうやって途中から「これはだめかもわからんね」「どーんといこうや」と高濱機長ロールプレイで乗りきったんだけど、まぁ、降車後ヘルメット脱いだらそれはそれ。駄目なら次だ次、と思っていたところで、担当教官から衝撃の一言。
「ごめんなさいねー放置プレイしちゃって。とりあえず合格ってことで」
いやいいんかーい。まぁ確かに課題の成功率で言えば85%くらいは成功してたと思うよ?一本橋とS字と残りの法規走行はパーフェクトだったし。スラロームは3ないし4本くらいタイムオーバーがあったかな。パイロンタッチはなかった。坂道発進は2回くらいエンストしたけど、一応発進不能ではなかったしね。いやー、ローダウン車のリアブレーキ、マジで踏みにくい。ついでにいうとチェンジペダルもやりにくい。ふぁっきん。
まぁでも通ったなら文句はないな。とりあえずヨシ!
あと、これは別に、僕の通った教習所が特段緩かったとか教官の職務放棄とかそういうお話ではないということを強調しておきたい。いくら担当ではないといっても教官の目は光っていたし、仮に落ちる技量だと判断されたなら、影でそれを担当教官に伝えていたであろうし。あるいは、言葉のアヤという奴で、「放置プレイ(見ていなかったとは言っていない)」かもしれない。いずれにせよ、教習所だって操縦技術不適な人間を卒業させては信頼に関わる訳だし、僕だってなにか不正を働いたわけではないのだから、つまりこれでいいのだ。
と、ここで終わらせたらただの自分語りになってしまう。そこで僕の所感をひとつ書いてみようと思うわけだ。
クラッチ操作、皆けっこう苦手だよね。それで思うことは、このクラッチ、機構を理解しているか否かで扱いがまるきり違うのだと思う。実例としてうちの姉がAT限定解除でMT免許所持なのだが、免許があるくせにMT車は一切乗れない。あるいは世間でも、MT免許だが乗れない、操作がわからないなんて人は良く居る。
何故かっていうと、そりゃ人それぞれ理由はあるだろうけど、話を聞いていると結局は機構の不理解が大きいのだと推察できるのだ。
具体的にはクラッチがどういう部品なのかを根本的に理解していない。
そも、オートマチックだってクラッチが無い訳じゃない。まぁ、機構は全然違うけどね。MT車とは違う流体クラッチ、その発展系であるトルクコンバーターがクラッチの役割を担っている訳で、エンジンとミッションが直結で回されている訳ではないのだ。まぁ、よくある運転下手な典型例みたいな奴は、そもそもエンジンもミッションも理解してなさそうだけど。それはさておき、エンジンとミッション。教習所でも教えてもらえるけれど、早い話が自動車及びバイクを構成する部品のひとつだ。こいつらを外すと、自動車はカッコいい手押しカートにしかならないし、バイクはカッコいいキックボードに成り下がる。
それで、機構はまぁ省くけど、エンジン。こいつ自体はスロットルに応じて回転数を上げたり下げたりしながら回転数に応じた馬力を出す(出力する)だけで、
ミッション。こいつは選択されたギアに応じて、速さと力強さの割合を変えるだけだ。入力が10だとして、力強さを8、速さを2にすれば、当然力強いが遅い。逆に力強さが2、速さが8なら、速いが力は弱い。発進時は力強さがほしいし、巡航なら力は要らないんだから、速さの方が欲しい。それを制御するのがミッション。
じゃ、クラッチは?
正解は、「出力と入力を切り離す」だ。
ミッションは、書いてある通り、速さと力強さを最適化させるだけで、《エンジンだけでなく、路面からの入力も受け付けている》事は絶対強調させておきたい。
つまり、タイヤが回るとき、エンジンがいったいどういう状況であっても、ミッションは同じく回っているのだ。何故なら路面から入力を受けているから。
逆にタイヤが回っていないとき。エンジンがどういう状況であっても、ミッションは回っていない。
えっ、「ニュートラルがあるじゃん」って?だまらっしゃい。あることにはあるが、あの状態っていうのはミッション機構的には特殊な状態なんじゃ。走るときには、それが前進であれバックであれ、ニュートラルは使わないでしょ?あれは例外。いいね?(ついでにこの辺は別に覚えなくても良い)
仮にミッションが全く回っておらず、路面とブレーキによって回転を阻害される状況で、回転し続けなければ出力を維持できないエンジンと直結させると?
そう、これがエンストの正体だ!(黒板を叩く)
じゃあそれを制御してるのは?
そう、クラッチだ!
クラッチは直結、解放、そして中途半端に繋がった状態がある。この中途半端が半クラってやつだ。
中途半端だから、回っていないミッションに持っていかれてエンジン回転数は落ちる。けれど、エンストしない。
中途半端だから、エンストはしないけど、エンジンに回されてミッションもゆるりと回り出す。そうすると、タイヤが動く。そう、クルマが動く!
あとは直結しても、ミッションが回っているからエンジンは止まらない。エンジンが回っているから、ミッションが回り、タイヤも回る。
でも、それだって結局はさじ加減。中途半端だって、8割繋がってる状況で回ってないミッションに回転を阻害されたら、そりゃ直結と同じようにエンジンが止まってしまうよね。
逆に1割しか繋がってなければ、ミッションを共に回すほど馬力が伝達できず、発進できやしない。
それに、仮に適正値の半クラだって、肝心のエンジンパワーが絞り出せていなければ、発進出来ないこともある。まぁ、その場合はエンジンパワーを絞り出してやればいいのだ。そう、これが発進時のスロットルって訳。回転数が上がれば時間あたりの出力は増える。これはどんなエンジンでもおおよそ言えることだ。
だから、一回発進してしまえば、実はスロットル全戻しでもエンストしない、なんて事に気づいたりするし、もっと即物的にバイク教習の場合、一本橋やクランクなんて所で地味ーな活躍をしてくれる。
「なにを当たり前の事をドヤ顔で」と、読者諸君は思っているだろう。でも、MT苦手って人達にとっては、正直マジでこの説明と理解は必要だと思う。少なくとも、うちの姉みたいにクラッチ踏みっぱでエンジンブン回したり、逆に停車時クラッチ踏めない人間には。
バイクの場合は左手レバーだけどね。やってることはマジで一緒だから。停車時エンストなんて良く聞く単語、よっぽどの緊急時じゃない限り、機構を理解してればまず無いことだって持論を持っている。実際、機構を理解している君たちは、停車時にエンストなんてしないだろ?(もちろん急制動は別だけどさ)
だから、教習中のエンストに悩まされてる君。機構を理解しなさい。言葉じゃどうにもちんぷんかんぷんかもしれないが、実地で走らせればそう難しい機構ではないとご理解いただける......と、思う。流石に保証はできかねるけど、知識がないよりはずっとずっと扱いやすく感じるはずだ。機構を理解するとエンストが減り、エンスト由来の転倒が減り、そしてバランスに割ける集中力が増える。良いことしかない。知識は常に君の味方だ!