僕はズルだ
さて、ここまではこの文を書くに至った理由。
ここからは僕が教習所に通うことになった身の上話。
自分語りだけど、それは知識面において重要な一面も含んでいるので、読み飛ばさないでほしい。関係ない自分語りは最低限に納めると誓う。
まず大前提として、これから二輪を取ろうって人間は、自動車と違ってだいぶアンフェアだ。
いわゆる自動車、普通自動車免許ってやつは、都会ならまだしも、田舎では必須だ。だから群馬県在住の僕も、高校卒業前には普通車免許を取得していた。この時は自身が車好きなのでなんとしてもストレートで取得してやると誓い、猛勉強を重ねてフルストレートで免許交付と相成った。もう8年前の話、現在においては当時の普通免許と法が異なり、僕の免許は準中5t限定という区分になっている。
一方、普通車が必要なかったり、諸般の事情で交通法規も含めて全く初めてという人も中には居るだろう。知識ゼロからのスタートでは、クラッチ?スロットル?なんのこっちゃ、という人だって少なくないと思われる。いや、僕に都会人の知り合いが居ないから、断言とかは出来ないんだけど。データもないし。でも、都会じゃ車なんか必要ないってよく言われるしね。触れる機会がないものは、覚えるとかそれ以前に「そんなんあったんだ」って感じだろう。少々誤用ではあるが、無知の知、という奴だろうか。
アンフェアだ。
ハッキリ言うが、二輪教習そのものは、普通車教習より難しい。これは実技の話ね。学科はそもそも道交法についてだから、カリキュラムとしては全く同じだ。実際、普通車免許を所持していれば2輪教習は学科免除であるし、大型貨物等においても同じことが言える。つまり学科の条件はイーブン。だけど、普通車教習の方が実技は遥かに簡単だ。転倒しないし、教官が常に横で見てくれて、危ない瞬間には補助ブレーキをギュっとやってくれる訳だから。
いくら路上教習がないとはいえ、二輪の操作をゼロから覚えつつ道交法も覚えて......なんて、そりゃあもちろん、難易度も跳ね上がる。だからこういう言い方をするが、僕はズルだ。普通車免許を持っているから、学科は免除。実技に集中できた。アンフェアだよね。
もうひとつアンフェア、原付の存在だ。
普通車免許を取得すると、何故か原付免許もオマケでついてくる。ご存じだろうか。まぁ、免許を持っている奴なら知っている。というか知らないとおかしい。当該学科の時間寝てただろテメェ。因みに原付講習とかのカリキュラムは一切含まれていないので、操作の仕方も特性も何も知らない輸送用機器をいきなり「はい、乗っていいよ☆」状態である。が、誰も気にしない。何故なら原付はぶっちゃけその程度の乗り物だからだ。どれくらいその程度なのかというと、普通車免許を持っていれば学科免除なのに、原付免許だとそういったことは一切ない。取得時、試験のために道交法を勉強している筈なのに、それでも原付免許は差別を受ける。が、誰も気にしない。ぶっちゃけ、取る奴そうおらへんやろ。普通車免許についてくるし。普通車免許についてくるし!!(強調)
そこに来て、そう、僕は原付への搭乗資格を持っている。そして原付を買い、もちろん乗った。今年の2月からのことだ。今現在7月だから、おおよそ5ヶ月ほどは乗った事になる。中古のリトルカブだが、バイクはバイクだ。右手スロットル、右足ブレーキ、左足シフトチェンジやその他の動作を勉強する機会は無限にあった。リーンウィズ(基本スタイルの乗車姿勢)だって、そりゃ当然の事だけど、自然と身に付いた。傾けなければ曲がらない事を覚え、体重移動で曲がることを意識し、低速でよちよちとハンドルをこじり転倒回避をすることが出来た。もちろん、原付免許すらない人にとって、これは多大なアンフェアだ。教習のコマは一緒なのに、片方はそもそも小さな車体とはいえ練習済みで、しかも教習に懸念事項があったら自前で予習に復習し放題。ぜんっぜんフェアじゃない。
だめ押しのひとつが、マニュアル・トランスミッション車だ。MT車って奴だね。登録車だと1%くらいしか居ないっていう、手動変速機を搭載した車輛。
アクセル・ブレーキに加えてクラッチペダル1枚追加、チェンジレバー、あるいはモードセレクターの代わりにシフトレバーが装備される。自分でギアの段数を指定して動かし、ミッションとエンジンの間に出力の伝達を制御するクラッチが挟まれ、任意にエンジン出力を切り離すことが出来る。これらは、操作方法こそ少々違うものの、ほとんど同一といっていい機構でバイクにも搭載されているものだ。AT限定免許なら関係ない話であるが、有名な話として、バイクのAT限定はむしろMTより難しい。これはどんなサイトでも、どんな教習所でも、どんな教官でも言っているから、真実なのだろう。オマケに僕の通う教習所では、教習車はホンダ・シルバーウイング。膝でバイクを抱え込むニーグリップが重要とされる教習を受けるのに、膝で抱え込めないシルバーウイング。これじゃ難易度は何倍にもなるだろう、と見込む。しかし乗る気もないから興味が湧かない。
閑話休題、僕は18の時から8年間、MT車に乗ってきた。そりゃ手と足が逆転しているからまるきり同一の操作ではないのだが、概念、機構、操作法まで知っているし扱えるのだから、全くの白紙から始めるのと比べれば、まるっきりのアンフェアだ。実際、自家用車がMTであることを告げると「じゃあ、ご存知でしょうからミッション機構の説明は省きます」と、クラッチやシフトチェンジの説明はカット。その分、実地での説明に教習時間を割く事ができた。なおさらアンフェアだ。
まずはありがとう、他人の身の上話に付き合ってくれて。総括すると、僕は「学科をパスできて」「バイクの経験があり」「ミッション・クラッチ操作をこなせる」状況で普通自動二輪教習を開始と相成った。何度も繰り返してきた通り、これじゃまるきりアンフェアで、しかもイージーモードだ。でも、これくらいなら正直、数あるバイク教習ブログの中でも結構居るんじゃないか。クルマもバイクも好きって人が結構多くて、だからこそバイク教習を受ける訳だけど、そういう意味じゃ僕のスタートライン自体はそこまでどイージーって訳じゃない。全くの白紙から比べればそりゃイージーだけど、経験で言えば同じラインで始めることはそう難しくもない。こういう言い方をすれば、いくら経験があるといっても、所詮原付で、しかも半年足らずだ。