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久遠優愛と大切な人。  作者: こいきんぐ
8/14

1章 【1つ屋根の下。】

なんか・・・最初の方もっと上手く書けたらな・・・・・・・・・orz


後半は自分でも満足です!!!良き!



久遠 優愛(くどう ゆうな)谷口 友里(たにぐち ゆり)は、5階にある自分達の教室、1年10組から帰路につく。


校門を出た辺りで優愛はふとした疑問に気付く。


「そういえば、友里ちゃん・・・こっちに帰ってきたけど家は何処なの?」


友里はニッコリするだけで答えない。


「ちょっと?・・・はぁ、友里ちゃん家は確か引っ越してから、知らない人が住んでたからもう使えないし。」


突然友里が優愛の手を握る。


「へっ!?なにっ!?ちょっと!恥ずかしいから!!」


優愛の顔は(うっす)ら赤くなっている。


「またまたぁ〜、そんな事言って・・・でもその割にはしっかり握り返してるじゃん」


悪戯心(いたずらごころ)全開の友里はとても良い笑顔だが、どこか少しいやらしい。

そんな友里の意地悪に優愛は、耳まで真っ赤に赤く染め上げ、目元をうるうるとさせている。でも、離さない。


「じゃあ、帰ろっか、()()()()へ。」


「うん。てことは、昔の家の近く?」

「そうだよー。優愛の言った通り前の家には住まないかな。」

「寂しい?」

「まあ少しだけ、でも本当に大したことは無いかな。」

「そう、なら良かった」

「新しい家は凄い広いんだよ!」

「へーっ、私の家とどっちが広い?」

「聞いて驚くなかれ、なんと・・・同じ位の広さなの!」

「ホントに!?私ん()一軒家3つ近くあるの知ってるよね!?」

「知ってる知ってる。」

「え、最近そんなデカい家建ったっけな?・・・」


優愛は後悔する、心を閉ざして生活していた事を。だが、まさかこんな事で後悔するとは思わなかった。




赤紫色の電車に乗り込み、2人揃って席に座る、平日のお昼は流石に人が少ない。

電車に揺られること30分程、最寄り駅に着き、2人は自転車を地下駐車場から出し、家へと漕ぎ出す。

パン屋を超え、土手を進んでゆく2人。


「いや〜、行きしなも思ったんだけど、本当に・・・ホントに懐かしいなぁ・・・」


優愛はあえて返事をしなかった。今の自分はそれに返事をしては行けない気がした。

もうすぐ桜並木に差し掛かる。


「そだ、優愛、今日うちの家族と優愛ん家の家族で一緒にご飯だってー。」

「えっ?聞いてない・・・なんで私には言ってないんだよあの2人・・・」

「どうせだから優愛の家に直接行こっかなー」


笑顔の友里の顔と来たら。

通り過ぎた桜並木、今朝よりも綺麗な気がした。



優愛の家はまるで屋敷のようである、久遠家は室町時代頃から、家系が途絶えていないのでは、と言われている。元々は米農家だったようだが、それから園芸業へ転向、今は特に家で営んでいるものはない。

玄関の扉の扉は昔ながらの引き戸だ、父(ゆずる)のこだわりで、リフォームの時に、扉も綺麗にはしたものの、開ける時に、ガラガラガラと音がする。どこか懐かしい。そんな扉を開け玄関に入る。


「「ただいまー。」」


優愛は一瞬、何故君までただいまなんだ?と思ったが、・・・靴多くない?という方に気を取られる、が谷口家がもう来ているのだろうと察する。

優愛は、いつも通り帰ってきて、玄関で靴を脱ぎ、左右に伸びる廊下を左へ。帰って1番、とりあえず居間へ向かう。これは小さい頃からの慣習だ。

障子を開け、友里と共に居間を覗く。


「おかえり〜、あら、友里ちゃんもお帰りなさい、2人とも学校で会えたのね。」


「おかえりなさい、友里、優愛ちゃんも。」


母の久遠 道子(くどう みちこ)と優愛の母、谷口 善子(たにぐち よしこ)が4月中旬だというのにまだ仕舞っていない炬燵(こたつ)に入っている。

そこから少し離れた縁側(えんがわ)では、オッサン2人が将棋を指している、どうやら対局に夢中な様だ。


「お父さん達真剣だね。」


友里の言葉に、道子が返す。


「違う違う、娘達の制服が恥ずかしくて見られないのよ。」

「そんな訳・・・・・・。」


優愛が冗談だろうと思った矢先、オッサン2人が障子を閉め隠れた・・・。

おいおい、まさか今朝送り出してくれなかったのはそういう理由なん?


「にしても、優愛ちゃん凄い大きくなったわね〜、友里より小さかった覚えがあるんだけど?」

「いや、そうなのよ、まさか中学に入ってからも、こんなに伸びるとは思ってなかったわ、おかげで制服仕立て直したわよ。」


母親達が思い出話に花を咲かせようとしている。

優愛と友里は顔を見合わせどうしようかと少し考え、2人も炬燵に入ろうという雰囲気になったので、電源の入っていない炬燵を捲った時。


「2人共、制服を着替えてきなさい。」


オッサン2人、父親達、久遠 譲(くどう ゆずる)谷口 太一(たにぐち たいち)のいる障子奥の縁側から声がする、今の声は後者の声だ。


「あんたら、本気(マジ)か?」

「フフッ、優愛って家族には結構キツイんだね。」


優愛は少し恥ずかしくなるが、こんなものだろうと思い、部屋へ向かおうとする。


「友里、服は1着だけ持ってきてあるのは、優愛ちゃんの部屋に置かせてもらってるから一緒に着替えてきなさい。」

「はーい。」

「着いてきて。」

「覚えてるけどねー。」


2人は来た廊下を戻り玄関で左に来たがその右側へ、L字階段を上り、突き当たりの部屋へ。

扉を開けると。


「え?優愛・・・・・・なにこの部屋・・・。」

「え?ちゃんと綺麗にしてるはずなんだけど・・・。」

「いやいやいや。」

「???」

「綺麗だけど何もないじゃん!?この部屋!?」

「みんなこんなもんじゃないの?」

「流石にここまでの人は居ないよ・・・。」

「え、そうなんだ。・・・何か飾ってみようかな。」

「まあまあ、とりあえず着替えよ?」


軽く返事をし、箪笥(たんす)横の制服掛けにブレザーを掛ける。友里はドア横に置いてあった紙袋から私服を取りだし、パパっと着替えて制服を紙袋に仕舞う。

そして、着替え途中の優愛へ狩人の眼差しを向け、狩りを始めた。

優愛をベットに転がすと。


「ほら〜、此処がええんかぁ!お嬢ちゃん!」


優愛の平均的な、お胸を攻める。


「ちょっと!まって!やだっ!これ以上はだめだって!・・・あっ!っっ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・私はなんて事を・・・」


イケない気分になりかけた優愛とは対照的に、賢者モードになった友里、親友の女の声で興奮してしまった事に動揺した結果だ。

優愛は頬を赤くしながら、じっとしてて!!!と友里にお説教。

しょんぼりと優愛の着替えを待つ間、床が畳だということに今更気付く、自室が畳張りって・・・なのに寝床はベットなんだ、など考えているうちに優愛が着替え終わる。

2人の服装は対照的で、シンプルでこだわりが無さそうな優愛と、東京の影響なのかファッション誌で見かけそうな友里。


「優愛さんや、今どきの女子(おなご)としてそれはどうなんじゃ・・・」

「いや〜、興味無くてさぁー。」


しょっぱい顔をしながら、いつかの休みは、一緒に服を買いに行こうと思う友里だった。





居間に戻るとオッサン2人はまだ将棋を指していたが縁側から居間に入ってきている。流石にまだ4月、夕方にもなればまだ肌寒い。

奥方2人は上着を手に持ち出掛けるようだ。


「どっか行くの?」


優愛が言う。


「そろそろ買い物にね、オッサン2人は何か食べたいものある?」

「いや、お任せで。」

「じゃあ私もお任せでお願いします。」


善子が一緒に行くかと聞いてきた。家に居てもやる事は無いだろうし、付いて行く事にした。

スーパーにつくと卵の安売りが行われていたが、今から並んでも手に入れられなさそうだった。


「2人は食べたいものある?焼肉とか?」


道子の問いに。


「「・・・モツ鍋?」」


2人は笑いを堪えられない。母達も驚きを隠せない、冬真っ只中でも無いのに、鍋の種類まで被ろうとは思うまい。


「何となく鍋が食べたいなと思ったんだけど、せっかく関西に帰ってきたし、モツ食べたいなって。」

「友里ちゃん、昔お鍋食べた時凄い美味しそうにしてたのなんだっけなー、あ、モツ鍋だ・・・みたいな。」


2人は心に確かな喜びを感じたが口にはしなかった、口にせずともお互い同じ気持ちなのは、わかるから。


「モツ鍋でも良いけど2人共明日は大丈夫なの?口とか。」

「明日は大丈夫ですよ、確か身体測定・・・・・・でした。」

「友里ちゃん・・・気にしたら負けだよ!」


優愛が友里の後押しをすると、への字になっていた眉が力を取り戻す。


「ダヨネ!気にしたら負けダヨネ!!」


なにか違和感を覚える発音だったが気の所為ダヨネと思う事にした優愛だった。



スーパーでの買い物を終え帰宅した一同に目を疑う光景が・・・!


「おぉーう、けーえったかぁ〜!」

「よしこーごはんはまだかーー!」


出来上がっているオッサン2人。オッサン2人の妻達の眉が火山噴火でもするかのように隆起してゆく。・・・合掌。

オッサン2人を、4人入れそうな風呂に放り込み、ご飯の支度を進めてゆく。


多少は酒が抜けた男達に、長い食事机を持ってこさせ、炬燵と繋げて、2つの鍋で夕食を食べる。


「お姉ちゃんは?」

「なんか、高校の時の友達ん家に泊まるんだとさ。」


姉には何故か放任主義である。


谷口家にとっては懐かしいモツ鍋の味、会話も弾み、楽しい時間はあっという間に過ぎ、(しめ)は何にしようかいう話になる。


「モツ鍋だし、〆は流石にラーメンだよね、友里ちゃん?」

「・・・いや、ここは関西人として、あえてうどんで行こう!」


いいねぇー、と持ち上げる親父たちに、まあ友里ちゃんがそう言うならせっかくだしと、道子が冷凍うどんを投入した。

・・・・・・ラーメンには勝てないなと全員が思う、微妙な空気になりつつも美味しく完食した。


母達が片付けに入る。


「そうだ、あんた達お風呂入って来なさい、優愛、パジャマ貸してあげな。」

「えっ!?泊まるの?」

「泊まるんです。言ってなかった?」


ジト目で友里を見つめながらも、悪い気はしない優愛は、適当にパジャマを見繕い風呂場に持っていく。先に待っていた友里に。


「私より先に体を洗いお風呂に入るのです。」

「どうして?」

「自分の胸に手を当てなさい、この前科持ちめ!」


てへっ☆、そんな効果音が聞こえてくるであろう顔をしながら風呂場に入る友里。だが、特に何も起こらずにお風呂の時間は終わり、居間に戻ろうとする。

障子からは夕食の時とは変わり、少し重いトーンで話す親達がいる。少し内容が気になり盗み聞きしようとした時。


「へっくしゅん。」


あ。お風呂上がりにパジャマ1枚で廊下は冷える、必然だろうか。道子が障子を引き。


「友里ちゃん、お風呂どうだった?」

「良かったです、広かったし。昔のまんま。」

「そ、それは良かった、もう今日は疲れたでしょ?少し早いけど、もう寝なさいな。」


察しの良い友里は、空気を読み返事をし、居間を後にする。

何処で寝ればいいのかを聞き忘れたが問題ではない。


「何処で寝よっか!」

「・・・・・・そんなにこっちを見て・・・もう答え出てるじゃん。」


セミダブルのベットに2人は少々狭い、なにせ2人共女子にしては少し背が高く、華奢な体格という訳では無い。肌寒く布団を取り合う訳にもいかず、密着する2人、友里に抱き枕にされ余裕の無い優愛は、予備の掛け布団がある事まで思考が届かない。


以外にも2人は言葉を交わさない、じっと添い寝をし、互いの体温と鼓動に心地良さを感じ、それだけで満足していたから。




「「おやすみ。」」




声には出ていなかった。




お疲れ様でした。読んでくれてありがとう!

コメントブックマークお願いします!モチベです!(笑)


今回は今までで1番長くなったんで、読むの面倒くさくならないように、多少気を配りました。

次も結構時間開きますかねー。

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