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03.お宅訪問は突然に

王子と婚約して3日たった

勝手に婚約させた挙句酔っ払って帰ってきた父様に母様は大激怒

三時間の説教の後、丸一日口を聞がなかった

だけど、私と王子の婚約を喜ばなかったわけではない

母様も兄様も姉様も大喜びでその日の夕食は実に豪華だった

それからは別に変わったこともなく平穏な日々が続いている


しかし、平穏は長くは続かない

それは午前中の出来事

自分の部屋で本を読みこの世界の知識を学んでいるとノック音が響いた


「失礼します。ルナお嬢様、お客様がいらっしゃっています」



「お客様?」



他の家族なら分かるがピンポイントで私の客だということに疑問を覚えながらメイドの後をついて行く


玄関にいたのは攻略対象の一人リュカだった



「よっ、久々だなルナ。遊びに来たぞ!」



「リュカ!?」



嘘でしょ!!

なんでこんな短い期間に攻略対象二人に会うの!?

遊びに来たぞ!じゃないよ!!こっちは色々忙しいんだから、もう少し間を空けてきてよ!


頭には浮かぶのは愚痴ばかりだが、そんなことは本人には言えない

驚く私を全く気にせず、リュカは私の手を掴む


「メイドさん、ルナと庭園で遊んできますね!」


「はい、かしこまりました。ただし、リュカ様もルナ様も怪我しないように気をつけてくださいね」


「はーい!!」



「えっ!ちょっ!?待っ!!」


リュカはメイドの了承を得ると私の発言ガン無視で私を引っ張って庭園に向かって走る


こっちはドレスなの考えてよ!この大バカ〜!!


庭園につくとリュカは手を離す


「ルナに見せたいものがあるんだ!」


いたずらっぽい笑みを浮かべるリュカ

私がどうしたか聞く前にリュカは小声で何かを呟く

すると、何も無かったリュカの手には私の好きな花が一輪握られていた


「わぁ!すごい!!どうしたの!?」


驚く私に得意げになってリュカは言う


「この前、ルナ熱だしたろ?本当はお見舞いに行きたかったんだけど、母様達がうつるからって許してくれなかったんだ。だから、治ったお祝いに驚かせようとして魔法練習したんだよ...やるよ」


リュカは握っていた花を私に手渡す


「わぁ〜!ありがとう!!」


それを受け取ってお礼を言う

お気に入りの花をもらい嬉しくなった私は、彼が攻略対象だということをすっかり忘れていたしお礼を言った私の顔を見て赤面している彼に気づかなかった


その後も色んなことをたくさん話した

熱が治ったあと暇だったことやリュカの魔法練習のことなど(シエル王子との婚約のことには触れなかったけど...)気がつけば、お昼ご飯の前だった


「そろそろご飯だけど、リュカ時間ある?一緒にここで食べようよ!」


「全然、大丈夫。庭園でご飯ってピックニックみたいだな!」


私の突然の誘いにリュカは目を輝かせて喜んでくれた


「ピクニック!そうだね!それじゃあお昼ご飯はサンドイッチ頼んで来るよ!」


私は、キッチンに向かって走っていった





...で、サンドイッチを作ってもらって帰ってきたわけですがなんでリュカの隣にシエル王子がいるんですかね〜!!?


近くにいたメイドを見ると申し訳なさそうに視線を逸らす


「あ...あの、シエル?どうして家にいるんです?急にどうしたんですか?」


とりあえず、問題源に声をかける

私が王子のことをシエルと言ったことにリュカは驚いていたが、今はそれどころではない


「それは、この前『今度家に遊びに来て』とルナが行ってくれたじゃないですか。だから、遊びに来たんです...で、僕も気になることがあるんだけど、彼は誰?」


シエルは最初、にこやかに説明していたが、最後リュカの事にふれた瞬間、一気にブリザードをまとった笑顔に変わる


急いでリュカの説明をしようとしたが、その前にリュカが喋り出す


「俺は、ルナの()()()のリュカです。どうぞ、よろしくお願いしますシエル王子」


「そうなんですか?いつも僕の()()()のルナがお世話になっています」



リュカは幼馴染の部分を強調して自己紹介する

それに対抗するようにシエル王子は婚約者を強調していた

お互いに笑ってはいるが目は全く笑っておらず、火花が散っている幻覚が見えた

気まずい雰囲気をどうにかするため私は無理矢理二人の間に入る


「あ...あのね!サンドイッチ持ってきたよ!量多めに作ってもらってるからシエルもお昼まだなら一緒に食べない?」


「ちょうど僕もお腹減っていたんです。では、お言葉に甘えてご一緒させてもらいますね」



「...で...のに...」



私の誘いににこやかに答えるシエル王子とは反対にリュカは不服そうにぼそぼそ呟いている

何を言っているかは聞こえなかったが...

まぁ、これからご飯だしこの不穏な空気も消えるなんて思っていた私だが、そう簡単に上手くはいかない


「ルナ、このサンドイッチ美味いぞ!一口味見してみろよ」


「こちらのサンドイッチも美味しいですよ?こちらを先に味見しませんか?」


「いや、まだ沢山あるし大丈夫だよ」


「じゃあ、食べ終わったら散歩しに行こうぜ!」


「いえ、読書でもしましょうよ」


「じゃあ散歩してから読書しようかなーあはは...」



ご飯の時でさえ両者はお互いに張り合い睨み合っている

せっかくの料理の味もわからなくなるくらい...

さっきから冷や汗が止まらない


いやいや...シエルさん!?あなたそういうキャラじゃないじゃん!!城の時めっちゃ冷静だったじゃん!!

それにリュカも!攻略対象の頃のリュカ大人っぽくて頼りになるお兄さんだったのに...子供の頃ってこんなかんじだったの!?成長ってすごいな!!?


サンドイッチを完食してさっき言った通り散歩をして読書をしたが、その間もずーっと二人は張り合い続けていた

そんな胃の痛い時間もようやく終わりリュカが帰る時間になった

リュカは王子が帰るまでいると言っていたが、迎えに来た従者に引きづられるようにして去っていった

王子は引きづられていくリュカをにこやかに見送ると今日来た本当の目的を教えてくれた


「今日、来た理由はルナが来てもいいと言ったのもあるんですが、本命は先日の夢の話です。父上は軍事処置をなされることになりました。それに伴い思い出せるならもっと詳しく夢の状況を教えて欲しいんです。辛いかもしれないですが...」


「全然、むしろ信じてくれてありがとう!ちょっと待ってて!!」


王子の話を聞いて胸の重りが軽くなった

これで、助かる命はとても増えたと思う

私はもっとその命を増やすため急いで部屋に戻り、大厄災についてまとめた紙を手に取り王子の元にかけ戻る


「はぁ..はぁ...これ..は、私が、夢を見てすぐに書き記した物です。何度も同じ夢を見たので確認しつつ書きましたから間違いはないと思います」



私が手渡した紙を王子は受け取ると全て目を通し...目を見開いて固まった


「これは.....ねぇ、これは城に持って帰っても大丈夫?」


「もちろんです!私が持ってても何もできませんから」


「ありがとう。ごめんね、もう少し居たいけど、これを父上に渡さないと...また、遊びに来るね」


王子は紙を大切そうに胸元に終い、最後に私の手の甲にキスをして去っていった

今度は私が目を見開き固まった...というより表情筋が完全に死んだ

その後も表情筋は死に続け家族に心配されながらも一日を終えた


ベットに倒れ込み今日を振り返る


すごく...すごく疲れた...

もう当分は誰も来ないで...


楽しくなかったわけではないが、それが今の私の本音


枕に顔を埋め聞こえないようにしてから


「イケメン怖っ!」



そう叫んでそのまま寝た

あぁ...リュカはもっと余裕のある感じでシエルを焦らせようと思っていたのに、どうしてこうなった!!

というような感じになってます

次回のお話は、新キャラは出ないですけど、持ち越したアイテムについて色々紹介したいなと思ってます!

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