表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『赤い月がのぼったら』

作者: 詩織





「大変、大変、、、」


「いそがなくっ、ちゃ。」




秘密の森のお城から 


明け方早くお呼びがかかり


妖精たちがあつめられました。



王様が申しますところには、


この国をいずれは治める王子さまの


お披露目をかねての誕生日パーティを


国中の人々をあつめて開こうという

お話しでした。


大臣たちは顔を見合わせて


どうしたものかと思いましたが


王様は言い出したら聞かぬ方


誰も反対はできません。




さっそく、招待状が作られて


国民に配られることになりました。



✲゜。.☆.。₀:*゜✲゜*:₀。


今晩、10時、


王子さまの誕生会を開きます。


みんなでお城にきてください。



ごちそう、ダンス、お喋りと


楽しい一夜にいたしましょう。


夏の女神の笛の音が


パーティの始まる合図です。


ただし仮面をつけてきて、


その日ばかりは


門番も 騎兵も 掃除婦も


酒屋のおやじも、


貴族も、


みーんな、みんな、無礼講~


 王様より

   

   ✲゜。.☆.。₀:*゜✲゜*:₀。



お城のまえで衛兵が


高らかに招待状を読み上げました。


王様はとてもうれしそうです。



「楽しくなりそうだな、


どうだ、オレはいい王様だろう~」



「そうですね、さすが王様!」


「素晴らしい!」


「きっと、楽しい夜になりますね。」


「そうだろう、そうだろう、

ワッハッハ(笑)」


大臣も 誰も 王様には逆らいません


だって、王様は知らなかったから



貴族以外の人々が


一生懸命、はたらいて


この国をささえてていることを





妖精たちが招待状をくばっても


いそがしくて、


きっと誰も来ないだろう………



「それでは、困る!わしのクビがとぶ、」


と、大臣が言いました。




「…うーん、どうしたものか、、」


「どうしたものか、、、」


「こまったぞ、」


「こまったなあ」







「あっ!そうだ、」


「大臣!大臣 ありますよ。」


夏の風がいいました。




「ん?ん、なになに?も~にょもにょ」


「なるほど、なるほど」


「赤い月♪」


「それなら、ぜったいみんな来る。」




王様にナイショで


もう一通 招待状が配られました。




✲゜。.☆.。₀:*゜✲゜*:₀。


”赤い月”がのぼったら


お城に集合してください。


王子様の誕生日


どうぞ、みなさま遠慮なく


ごちそう、ダンス、おしゃべりに


楽しい一夜にいたしましょう。


夏の女神の笛の


パーティの始まる合図です。


ただし仮面をつけてきて、


その日ばかりは


門番も 騎兵も 掃除婦も


酒屋のおやじも 貴族も、


みーんな、みんな、無礼講~


 王様より


   ✲゜。.☆.。₀:*゜✲゜*:₀。




この国には 


むかしから”赤い月”を好きな人と


見られたら


両想いになれるという


言い伝えがありました♪


若い娘たちは思いました。


王子さまと赤い月がみられたなら


ひょっとしたら、


ひょっとして?


お姫さまになれるかも♡




「おぉー、、」


「それなら、それなら、お前たち」


「ぜひとも、ぜひとも行かなくちゃ、」







挿絵(By みてみん)

挿絵;グリム寓話シンデレラより








「行っちゃうの?」


少年はあわてて後を追いかけました。


「ええ………」


少女はだまって、やさしく微笑んで、


少年に腕いっぱいの花束をわたしました。


花びらは風にのり


少年の腕からハラハラと飛び立ちました。



夏がはじまる前の


さいごの雨がたちどまり


少年の影を濡らしました。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  シンデレラのようなお話。  最後、悲しく終わりましたが……。  みんな、子どもの頃に聞いた、また読んだ昔話が大人になってもずっと心の中に残っています。  そしてそれらは、みんな自分なりの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ