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心を癒す万屋さん  作者: 藤城亜琉
4/5

***

「心の傷を癒してくれる店、か。」


ベッドに座ってポツリと呟く。

ぼふっと後ろに倒れた。

何も無い、天井見つめて、手を翳す。

意味は無い。


掲げた腕を目の上に乗せる。

しばらくの間そのまま動かなかったけど、

勉強しなくちゃいけないからと、机に移動する。


ノートと参考書を広げた。


真っ白なノートを見ていくうちにやる気も無くなってくる。

だけど勉強しなきゃ。

母と父に怒られる。


私はシャープペンシルを持って、白いページを埋めていった。


***


「終わった…」


力が抜けたように椅子の背もたれに寄りかかる。

もう11時を回っていた。


「三時間、か。」


まずまずってとこかな。

ノートと参考書を閉じた。


「んんっ、」


ぐいっと伸びをしてから立った。

歯を磨こう、とドアノブを回し、廊下に出ようとドアを開きかけた時、

声が聞こえた。


「・・・あの子は優秀だけど、何だか好きになれないの。」


「ああ、まあ・・・」


「姉さん達が死んだせいであの子を引き取ることになって、本当は私達、子供なんて欲しくなかったのに。

しかも私たちの子じゃないのよ?

いくら頭が良くて手がかからなくたって、早く出て行ってほしいわ。」


「おい!聞こえたらどうするんだ!」


ドアノブを持つ手が震える。

もう慣れたことなのに。


そう。


私の両親はもう既にこの世にいない。

今の両親はお母さんの妹夫婦だ。

お母さんとお父さん、お兄ちゃんは事故で死んでしまい、お兄ちゃんが庇ってくれたお陰で、

私だけが助かった。


小学三年生の頃だった。


それからだ。

私が家も、学校も嫌になったのは。

妹夫婦からの隠しきれていない冷たい視線。

クラスメイトからの同情の目。


何もかも、嫌になっていた。



それが私の心の傷。




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