噂
「瑞希~おっはよ~」
「おはよう。」
友人の一人と挨拶を交わす。
友人といっても上っ面だけのトモダチ。
私は静かに自分の席に着き、本を開く。
学校も嫌。
家にいるのも嫌だけど、学校に居るのだって嫌で嫌で仕方がない。
だけど、義務教育という名の鎖で繋がれているから抜け出せなくて。
早く卒業したい、と思う。
***
朝の朝会も、十分休憩も、無意味だと思う。
(何で皆楽しそうなのだろう?)
群がる集団を見ながらいつも思う事。
別に授業がしたい、とかではない。
「はあ、」
三度目の溜息。
「溜息をつくと幸せ逃げるんだよー?」
甲高い声が頭上に降りかかる。
顔を上げれば友人の一人の佳那だった。
可愛らしい顔立ちで男子に人気な女の子。
「そうだね。」
「もー、瑞希ってちょっと無愛想ー!」
ツンツンと頬を指で突いてくる佳那に苛立ちを覚えながらも、
笑顔でさりげなくやめて、と言う。
連れないなあっ、と頬を膨らます佳那に嫌悪感を抱く。
私はこういう人種が大っ嫌い。
「あ、そういえば知ってる?」
「何?」
「あー、でもなー、どうしよっかなー」
早く言えよ、とイライラする。
(言うの?言わないの?どっち!?)
だけど笑顔を絶やさない私は凄いと思う。
この作り笑い、褒めてくれてもいいんじゃないかって思う。
「じゃあ、言うねっ?」
「うん。(言うんなら、さっさと言えばよかったのに…!)」
本当にイライラする。
心の中で毒を吐く。
「噂なんだけど、心の傷を癒してくれるお店があるんだってー!」
「は・・・?」
何それ。
意味が分からなかった。
佳那は私の表情を見て、噂だけどねーと言った。
噂にしてもふざけてる。
だけど、
私はどこかで抱いていたのかもしれない。
―――――――――期待を。