いともたやすく行われるエゲツない数字の話
おまえの小説、読まれてねーから!(自爆&吐血)
※主にランキングに乗ることもなかなか思う通りにいっていない、という“埋もれた”作者さん向けのお話です。
〔1〕
ポイント欲しいですよね。ポイント。
え? 欲しくない? そういうおキレイなお人にはこのお話は無用の長物かもしれません。いますぐページバックしていただいたほうが精神健康のためにもよいかもしれませんよ。
あるいは、ポイントそのものには興味は薄くとも、たくさんの読者さんに読んでもらいたいと考えていらっしゃる方、でもアクセス量もポイントもなかなか増えないという「行き詰まり感」に悩んでいらっしゃる方。
ひょっとしたら、このお話が事態を見極めるために一助となるかもしれません。
☆ アクセス解析を見よう! ☆
公式の自動機能している解析で十分です。
KASASAGIさんですね。
あなたは日頃、アクセス解析のどこに注意を向けて見られていますでしょうか。
PV値ですか? 日別ユニークですか?
一見しては動向が分かりやすいかもしれません。
しかし、PV値は精度が語れないものなので単体では意味をほとんど成しませんし、かといってユニークアクセス値との比較照合をかけて「意味のある分析」を割り出すだなんていちいちやっていられませんよね?
で、そういう人にオススメ、ここだけ見ればいいという要点。
それは話別ユニークです。「一話目」の話別ユニークアクセス着地量です。
ここさえ見ていれば作品の良し悪し――あくまでランキング対策上のものとしてのそれですが――すなわち「伸びやすさ」が語れます。
その「読み取り方」を語るには参考例があったほうがよいかと存じますので、一例として拙作(https://ncode.syosetu.com/n2092cn/)より「ダメな例」の数値動向を抜粋してみます。
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【話別ユニーク/日別】
2月 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話
12日: 35u --- --- --- --- --- --- ---
13日: 22u 36u --- --- --- --- --- ---
14日: 13u 18u 42u 23u --- --- --- ---
15日: 12u 16u 20u 20u 40u --- --- ---
16日: 09u 11u 11u 10u 13u 34u --- ---
17日: 09u 11u 14u 11u 11u 14u 23u ---
18日: 04u 06u 05u 03u 04u 05u 15u ---
19日: 07u 05u 04u 04u 03u 03u 08u 25u
20日: 08u 08u 09u 09u 08u 09u 08u 30u
※数字末尾の「u」は、ユニークアクセスであることを表す単位。表中の整字の都合もあって付与している。
※14日は朝と夜(7時と19時)に二度更新している。
※18日は更新していない。
※19日の深夜(23時手前)に最終話(8話)を投稿して、同時に完結している。
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アクセス解析を読み慣れていない方というのは、おそらく更新時に末尾側、更新した最新話がどれだけ読まれているかという点に注目しやすいのではないかと存じます。(なにせ私も慣れない内はそうでした。)
この例でも、最新話の推移に注目した場合「読者は順調に増えている」ように見えます。なので、ついその都合のよさに食いつきたくなります。
でも、それではダメなんですよ。
真に注目するべきは、一話目の着地量です。
推移を見てください。「更新するほど減っていって」いますよね? これがダメなパターンです。
一話目のユニーク着地量というものは、まだ本文を読み込む前の、「とりあえずページを開いた」ユーザー(読者)の数です。
つまり、ここの数字自体には作品の中身、その出来不出来は関係していないんです。
入口です。
すべては入口の問題です。新規の読者が入ってこない状態に陥っています。
「小説家になろう」に投稿されている小説作品は、ウェブページのテキスト情報として存在しています。
すなわちウェブコンテンツの一端です。ウェブコンテンツであるということは、まずアクセスしてもらい「そのページを開いて」もらえないことには存在していないも同じなのです。
なぜなら、機能できないからです。これが実在の書籍であれば書店の本棚に並んでいるだけでも訴求力・露出宣伝性が多少はありますが、ウェブコンテンツは一箇所に数万、数十万と巨大に集積された中に埋もれてゆくものなので、「黙って突っ立っている」だけでは「いないも同じ」です。
また、「なろう」のシステム構造上、作品の露出宣伝量は、ランキングに乗れるかどうかが大きく左右します。
このランキングの基準に「日間/総合ランキング」を見据えた場合、日々の変動幅を乗り越えて安定してランクインしたいと考えるなら、集計の単位時間あたり(すなわち一日間たる24時間あたり)に六十ポイントほどが必要になります。
それが達成できないような作品は、いつまでも埋もれた位置から這い上がれない、となります。(もちろん例外はあります。そちらに関しては後述します。)
ランキングに入るためには一日にまとまって六十ポイントは欲しい。
けれど、既存の読者さんが都合よく一斉に動いてくれるわけではない。
ユニークユーザー量に対するブックマーク登録率が十人~二十人に一人として、評価者がその中からさらに五人~十人に一人とした場合に、評価点の平均が少し高めの「4:4」で計8点であると仮定するならば(わざわざ評価点を入れる方の動機と実情を鑑みると高めに寄っていることが多いため)、その期待値の揺れ幅は、
・高いほうの数値として、167人が必要(一人あたりの得点期待値が0.3600点)
・低いほうの数値として、429人が必要(一人あたりの得点期待値が0.1400点)
・平均した数値として、294人が必要(一人あたりの得点期待値が0.20444...点)
(端数切り上げ/実在する人物の行動を表している数値であるため)
となります。
この数字は「まだ評価前の」かつ「これからの評価行動が期待できる」読者層の必要人数です。
実際の動向判断が難しい点としては、「作品は既に読んでいるが評価を投じていない人」が果たして「もう考えが決まっていて評価が期待できない人」であるのか「いずれ機会が巡れば改めて評価を行おうとする人」なのか見分けがつかないというところですね。
しかし、そうした「あやふや」な動向に期待しないとして数字の判断から除外するならば、安定してランキング入りを狙おうとした場合、新規読者を約300人ペースで呼び込み続けられていなくてはならない(もしかなうなら、約430人以上のペースが望ましい)、となります。
新規の読者を、です。
すなわちこの部分が、「一話目の話別ユニーク」着地量に相当するわけです。
〔2〕
作品がランキング等の露出ギミックに「波乗り」できて「伸びてゆく」ためには、少なくとも三桁の「一話目ユニーク」が“安定して”出ていなくてはお話にならないのです。
それはつまり、毎日更新ではなく数日程度の間が空いたとして、その間の非更新日であっても半量程度(80~160)は引っ張っていられる地力が必要ということでもあります。
一話目のユニーク量は「中身が関係ない」のですから、入口の集客力・訴求力こそが最重要であるとなります。
では、入口とは何か。
それは、作品タイトルです。タイトルがほぼすべて、タイトルが作品存在の八割です。
各種の通知、表示部分。すなわち更新通知にしろランキングにしろ検索結果一覧にしろ、そのすべてにおいて第一に表示され閲覧者の目に映るものは、作品タイトルです。
あらすじ欄やキーワード(検索タグ)などは、あくまでその次にチェックされる補助的な情報要素に過ぎません。
タイトルのキャッチーさです。
思わず作品を開きたくなるタイトルです。
新規の浮動的な読者層を呼び込みたければ、ここにパワーが溢れていなくてはなりません。
上述した「ダメな例」は、タイトルが訴求できているのは初日だけで、二日目~三日目を見れば既に「擦り切れて」しまっています。
しかもその最もよかった初日ですら50人も呼び込めていません。圧倒的にパワー不足です。
インターネット上のアクセス傾向には、長年の統計データの分析によってある程度のパターンが割り出されているのですが、その中に「チャレンジングなアクセス者」という表現があります。(提言元によっては「先鋭的な」といった表現を施している場合もあります。)
目新しいものはとりあえず試してみる、積極的に調べて(発掘して)、面白かったら周囲に発信する、という能動的な人たちで、流行の本当の意味での発火元である場合が多いです。(ただし、多勢が追いついてくる頃には既にもっと新しいところへ去っている人たちでもあります。)
この「チャレンジングな」人たちはとても少数で、小数点以下のパーセンテージから多くて2%~3%ほどと言われている……と記憶しています。(資料等手元に残っておらずうろ覚えです、すみません。この数字自体には正確性はあまりないものとしてください。割合が全体に比べて僅少であるということが重要です。)
能動的である「チャレンジングな」アクセス層は、いわば作品評価の初動を出してくれる人たちで、価値が高く、その発火が拡大すれば勢いでランキングを駆け上がれることも運よくあるかもしれないと始めに期待できるチャンスでもあるのですが、ただし数量が少ないため長くは続きません。たいていはそこまで上手く波乗りできないでしょうから、すぐに尻すぼみしてしまうことでしょう。
「チャレンジングな」人たちは情報の感度が高いため反応が早いわけですが、同時に一旦見飽きたものには見向きもしない傾向をあわせ持っているため、「初めて目にしてもらった」時に作品を読み込むところまで引き込めなかったらもう敗北です。以降は相手にしてもらえませんので、諦めるしかありません。
その上で、「チャレンジングな」人たちに続く、次のよりメジャー寄りの層の人たちを呼び込めていないと、上述の「ダメなパターン」のように典型的な尻すぼみ、「一話目の着地ユニークがすり減ってゆく」状態に陥ってしまいます。
〔3〕
では結論です。
読まれていない作品をいくら頑張っても意味がない、ということです。だって読まれていないんですから。
“中身”を頑張る意味がないんです。だって読まれていないんですから。
その段階では、意味がないんです。
まず入口を改善できなくては、中身の効果を問いようがないのです。
すなわちタイトルです。
タイトルを何度でも練り直してください。
ここに必勝の成功法など謳えません。
もしそんな方法論を技術的論理的に確立できているのなら、プロのコピーライターとして売れっ子になれます。そんな真似はこのサイトを使っているような素人には無理です。
狙って必中必勝はできません。ならば、数を撃ちながら経験を培ってゆくしかありません。
場合によっては、「ダメな作品」には見切りをつける姿勢も必要でしょう。
あくまでランキング対策と露出集客の向上を主眼に据えた場合の考え方ですから、誰にも読まれなくともこの大好きな作品を全力でやり続けるのだという方にとっては関係しない話ですが。
でも……本当に、ポイントいりませんか?
一話目の話別ユニーク、これが最低でも80以上安定、更新日には300以上出ている作品であれば、中身(本文)を改善することの効果が問えます。
こちらの場合であれば、手の及ぶ限り全力で作品の質を高めてみてください。きっと頑張っただけの手応えを得て行くことがかなうはずです。
〔4〕
最後に、ちょっとした補足です。
長く連載を続けてゆく内、やがてたまったブックマークユーザーが、物語の佳境に際してその盛り上がりに反応し、一挙に評価を入れてくれて結果ランキングを駆け上がる。こうした事態もたしかにあります。軽視するべきではありませんし、これこそ本道とも言えます。
しかし、アクセスが少ない作品ということは、そのブックマークが増えていくことの期待できる量からしてとても小さいので、「一話目ユニーク」がせいぜい10~20しか出ていなければ一回の更新でブックマークが一つ増えてくれるどうか、となってきます。
その反応率の中で、いつか物語が佳境を迎えた時に「十分な潜在力を備えた」ブックマーク量を溜めておくには、果たして二百話更新すればいいのか、三百話更新すればいいのか。
一話五千文字だとしたら、百万文字書けばいいのか。百五十万文字書けばいいのか。
一話三千文字だとしても、六十万文字書けばいいのか。九十万文字書けばいいのか。
そういうお話になってしまいます。
その状態を楽しめて書き続けられるなら何の問題もありません。素晴らしいことです。
けれどもし、辛さや、我慢といったものが生じてしまっているのなら。
時には「見切り」が必要かもしれません。また、数字は正直ですので改めて客観視する上の役にも立つでしょう。事態を冷静に眺め直した上で、ご自身が「どうしたいか」を判断できたなら、その先の行動に対する動機や報酬獲得(内心的な意味の)に対しても一種の割りきりが持てるかもしれません。
割りきりが持てれば、辛さや我慢といったことに関しては、心を軽くしていられるかもしれません。
そういった……ちょっとした考え方の転換にでも、当稿のお話が踏み台になれましたら、勝手ながら望外なる喜びの至りであると存じ申し上げます。
以上、乱文乱筆にて失礼いたしました。ご理解ご容赦賜れましたら幸いに存じます。
【あ・と・が・き☆】
今回「ダメな例」に呈した拙作ですが、当該の推移を見極めるために意図して作品内構造を偏らせています。
実際に目を通していただければお分かりでしょうが、タイトル・あらすじ・キーワードそして一話目までは読みやすいライト調、ギャグテイストに徹しています。しかし二話目以降はどんどん細かい話が出てきて話が重たくなっていきます。これは読者の期待を裏切る構造で、半ば以上意図して施しています。(もちろんですがそういった話が著者個人としても好きで、やりたかったからやったという理由と動機もあってのことです。)
そのため、作品全体として伸びてゆかないことは、予想通りでした。まあ後から言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえないでしょうが(苦笑)。
ここで問題にするべきは一話目の話別ユニーク推移なんですよ。一話目はタイトルからのライト調を裏切らない、しょーもないギャグばかりですが読みやすさには徹底して労を払っています。しかし、そうした一話目であるにもかかわらず、話別ユニークは上述したように「あっという間に擦り切れて」いるわけです。
この状態から述べられる結論、それはつまり――
「おまえ(私)にゃ、タイトルセンスがねーんだよっ!」
に、ござるます。ござるますますます……(残響音含む)
ぐふう、切腹。そろそろ切腹せざるを得ませぬか。どなたか介錯お頼み申す(´・ω・`)