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[四章]最初の神殿

クオーリアにいるユンは、ショップが休みなので、南下層のビーチに出かけていた。今日は日差しが強い真夏日で、空を見上げると目がくらんでしまいそうなほどだった。


「うーん、今日は海で泳ぐのにいい日ね!」


ユンが浜辺で海を眺めていると、波打ち際で人が倒れているのを見つけた。ユンが慌てて倒れている人のもとへ駆けつけると、その人は黄緑色のおかっぱヘアー、15歳くらいの女の子で、クオーリアでも陸の国でも見ないような独特な服を着ていた。


「もしもし?大丈夫?」


「う、うーん・・・・・。水、水をください・・・・・。」


ユンが女の子の意識を確認するために声をかけると、女の子は目を覚まして、ユンに水を欲しがった。ユンはすぐに女の子の体を起こしてあらかじめ持っていた水を与えた。すると女の子は少し顔色がよくなったようで、女の子はユンに感謝した。


「あ、ありがとう。お姉さん優しいね。」


「人を助けるのは当たり前よ。」


女の子が安心したような表情を見せると、商品の整理を終わらせたショップのオーナーがやってきた。自分も久しぶりに海で泳ぐつもりであったが、それどころではない状況であることをすぐに理解した。


「遅くなってすまんかったな。その子、体調が悪いようだな。病院に連れて行こう。」


「わかりました。君、歩けそう?」


「ちょっと無理かも・・・・・。ごめんね・・・・・?」


「わしがおぶってやろう。」


オーナーが女の子を背中に背負って、病院へ駆けつけると、すぐに診察が始まった。ユンとオーナーはロビーで待っていたが、診断結果はすぐに出た。どうやら空腹と軽い疲労とのことなので、食べ物を与えてしばらく3人で病院の庭で休ませることになった。病室のベッドも使えたのだが、女の子が大丈夫だからと遠慮したのだ。


「ここなら、日が出ても涼しくていいわよね。」


「そうだな、わしも以前足のけがで来たことがあったが、すぐに此処が好きになったよ。」


病院の庭は日陰になる木が多く、海風が当たって涼しいのだ。女の子は芝生に布のシートをかけた上に寝転び、ユンとオーナーはその隣に座って女の子の様子を見ることにした。寝転びながらも、女の子がユンとオーナーに改めてお礼をした。


「あ、あの、助けてくれて、本当にありがとうございます。」


「ううん、私たちは当然のことをしただけだよ。あなたを助けられてよかった。」


「ハッハッハ!ま、そういうことだ。」


「そうだ、あなたの名前はなんて言うの?」


「あ、はい。リルカと言います。」


「いい名前だね。よろしくね、リルカちゃん。」


女の子の名前はリルカ。彼女は、親が居なく、これから行くあてもないのだという。そこでユンが、リルカを自分の家に住まわせることにした。ある程度休んだところで、次はユンの家でリルカを休ませようとユンが立ち上がると、ジュンが庭の広場でリハビリをしているのが見えた。ジュンの傍には白衣で初老の男、ギーレがジュンを見守っている。ユンはジュンとギーレのもとに来て話しかけた。


「こんにちは、ジュンさん。」


「やぁ、ユンちゃん。レオンのことは、残念だったね・・・・・。」


「ううん、たしかにお兄ちゃんが居なくなったのは悲しいけど、今は自分にできることをやらなきゃっておもったの。お兄ちゃんだって、きっとそうするはずだから。」


「そっか。ユンちゃんは強いんだね。」


「そんなことないよ。ところで、隣のおじいさんは?」


そう言ってユンが男に目を向けると、ギーレは丁寧な口調で自己紹介を始めた。


「はじめましてお嬢さん。私は陸の国で薬学を研究しているギーレというものです。以後お見知りおきを。」


ギーレが自己紹介をした後、ジュンが付け足すようにユンに言った。


「ギーレさんは俺に特別な薬をくれたんだ。これで俺もみんなと同じように走って遊べるようになる。」


「そうなんだ、早く元気になるといいね!」


ユンは、話を聞いて少し不安を感じながらも、ジュンが言うのだから大丈夫であろうと思い、特に深く問い詰めることはせずにジュンとギーレと別れた。その後、ジュンは笑顔でギーレに話しかけた。


「ギーレさん、本当にありがとうございます。ここまで元気になれるなんて思ってませんでしたから。」


「いやいや、いいんじゃよ。ワシの薬が役に立ってよかったよ。・・・・・本当に。」


ジュンが背を向けてリハビリに戻ったとき、ギーレは不敵な笑みを浮かべた。



ユンがリルカを自分の家に入れると、ユンはリルカをテーブルに座らせて、リルカにジュースを出した。リルカは出されたジュースをおいしそうに飲んでいると、ユンがリルカのことを深く知ろうと話しかけた。


「ジュース、おいしい?」


「はい、ありがとうございます!助けてくれただけでなく、家にまで招待してくれるなんて。」


「いいのいいの。ところで、リルカちゃんは、どこから来たの?」


「え?うーん、よく覚えてないんです。怖いところから逃げてきたんですけど、逃げてるうちに右も左もわからなくなってしまって・・・。」


「そうなんだ、とっても大変だったんだね。」


「えへへ、お気遣いありがとうございます。あの、安心したら、少し眠くなってきました。」


「それなら私のベッドを使っていいよ。案内するね?」


「いいんですか?何から何までありがとうございます!」


ユンは、リルカを自分の寝室に案内すると、ベッドに寝かしつけた。そしてリルカが眠ったのを確認すると、ユンは家を出て公園の展望台へ向かった。外はもう夕方で、きれいなオレンジ色の夕日がクオーリアを染め上げていた。ユンが展望台に到着し、そこから見える海を眺めると、海もオレンジ色に染まっていた。ユンはその景色を眺めながら、兄であるレオンのことを考えていた。


「お兄ちゃんは、この海の中に沈んで行ってしまったのね・・・。でも、なんでだろう?お兄ちゃんはまだ生きてる気がするの。」


ユンは大昔の海の伝承を思い出していた。はるか昔に、戦火を逃れるために魔法を使い海の中に王国ごと移動し、海の中に世界を作りだしたという物語。ユンはそれは、ただの夢物語だと思っていたが、今だけは信じられるような気がしていた。


「あの伝説が本当なら、お兄ちゃんはこの海の中にある世界で生きてるの?」


ユンは兄のことを考えながら、海を眺め続けた。



一方、海の世界にいるレオンは、ククルの町からコラルの町へ向かうべく、その道中にある洞窟の中を進んでいた。洞窟の中は水のマナの輝きで明るかったが、とても肌寒く、まるで氷の中にいるようであった。そしてもっとも危険なのは、洞窟の中を住処にしている巨大なヤドカリのモンスターの存在である。


「くっ、ここはあのヤドカリのなわばりなのか!?」


「レオンさん、次が来ないうちにいきましょう!」


レオンたちが洞窟に入ってから、何度も2,3体がセットになって襲ってきたのだ。それでもレオンたちは順調に洞窟を進んできていたが、次第に一同に疲れが見えてきていた。レオンたちは、ひとまず巨大ヤドカリたちに気付かれないように岩陰に隠れて休むことにした。まず最初にレオンが皆に話しかけた。


「みんな、大丈夫か?この洞窟、思ったよりも道が長いみたいだ。」


レオンの言葉に、それぞれが答える。


「そうですね、ここも安心できるとは言えませんし、かなり過酷な道のりになると思います。」


「アタシだって辛いって思っちまうんだから今でも十分過酷だね。」


「うー・・・・・お菓子食べたら、ヤドカリにココがばれちゃうよね~。」


それぞれが思い思いの心情を話し合った。皆がある程度休んで、再び進もうと立ち上がった時、アリサが皆に話しかけた。


「なんだか、自然ってすごいですよね。私たちの知らないところで、進化し続けているんですから。この洞窟だって、ほとんど人が手を付けてないんですよ。」


その言葉にレオンが答えた。


「そうだな、僕たちには考えられないような進化をしてきたんだな。でも人間だって驚くくらいの進化をしてきただろ?なら僕たちも越えられるはずだ!」


その言葉に、ルナとミーナが続くように話す。


「そうさ!アタシたちもまだまだ行けるよ!」


「あたしもがんばるのー!」


レオン、ルナ、ミーナの3人が気合を入れなおすと、アリサも笑顔で3人に答えた。


「はい!がんばりましょう!」


そうして一同は洞窟をさらに進んでいくのだった。その道中、巨大ヤドカリの妨害を受けながらもそれを全て払いのけ、ついに洞窟の出口へとたどり着いた。


「わーい!やっと出口!」


ミーナが喜んで洞窟を出ようとすると、レオンたちの後ろから突然男が走ってきて、レオンやアリサ、ルナ、ミーナを追い抜かして一目散に洞窟をでていった。


「どいたどいた!」


「うわ!なになに!?」


ミーナは危うく男に突き飛ばされそうになった。レオンが男を呼び止めようとしたが、すでに男は遠くへ行ってしまっていた。


「なんだったんだ?」


レオンが不思議そうに言った後ミーナに目を向けると、ミーナはいかにも怒った様子であった。


「もー!せっかくの一番乗りがー!」


どうやら一番に洞窟を抜けるつもりが、先ほどの男にその一番乗りを奪われたことに怒っているようだ。ルナがミーナの元に行き、なだめながら2人で洞窟を出て行ったので、レオンとアリサも、一緒に洞窟を抜けることにした。洞窟を抜けると、そこには広大な草原が広がっていた。その光景にアリサは感動したように言った。


「すごい・・・!こんな場所があったんですね!」


その言葉にレオンが笑顔で返すと、洞窟からまっすぐ伸びている道があることに気付いた。そしてこの道の先に、コラルの町があった。ルナとミーナがすでに先に行くところを、レオンとアリサは追いかけるようにして向かっていった。



コラルの町に到着したレオンたちがまず初めに見たものは、階段状の地形に家やショップが立ち並ぶ光景と、その奥にある大きな城がそびえたっている様だった。レオンたちは、ここは実は王国であるということに驚いた様子でその光景を見渡していた。


「すごいですね。ここは王国で、コラルの町はその王国の一部だったんですよ。」


アリサがレオンに話しかける。レオンも驚いていたが、同時に懐かしさも感じていたようだ。


「ここ、僕の住んでた所に似てる気がする。」


「そうなんですか?」


「僕の住んでたクオーリアはここより小さいけど、階段みたいになってるところが似てたよ。」


レオンとアリサが話していると、ルナとミーナが、神殿の情報を探すべく聞き込みをしようと提案する。レオンとアリサもそれの同意し、それぞれが分かれて聞き込みを開始した。まずアリサは、町の一番手前のショップが立ち並ぶエリアで聞き込みをすることにした。アリサは、ふと目に入ったきれいな花がたくさん売られている花屋に入ることにした。


「綺麗なお店、入ってみようかな?」


店内に入るとそこは様々な種類のきれいな花が所狭しと並べられていた。店の奥には、この花屋のオーナーと思われる女性がいたので、アリサはその女性に話しかけた。


「こんにちは。」


「いらっしゃいませ!旅のお方ですか?」


「はい、そうです!どうしてわかったのですか?」


「なんとなくそんな感じがしたので。本日はどんな花をお探しですか?」


「すみません、お花を買いに来たのではないんです。この町の近くにあるといわれる、神殿のことについて聞きたいのですが、なにかご存知ですか?」


アリサが神殿のことを聞くと、女性は申し訳なさそうな表情で答えた。


「すみません。私も噂では聞いているのですが、詳しくは私も知らないんです。」


「そうですか・・・・・。答えていただきありがとうございました。」


アリサが女性に頭を下げてから店を出ようとすると、女性が思い出したようにアリサを呼び止めてこういった。


「あの、最近町のなかで魔物が出るという噂を何度も聞いています。私は実際には見ていないのですが、気を付けてくださいね?」


「は、はい。ありがとうございます!」


アリサは思わぬ忠告に少し驚いたが、そのことを教えてくれた女性に再び頭を下げて、店を出た。店を出たアリサは、近くのベンチに座り考え込んだ。


「こんなに平和な町の中に魔物が現れるなんて思えないけど、もし本当なら町の中に魔物の巣があるってこと?」


アリサがうつむいて考え込んでいると、突然どこからか怪しい視線を感じ周囲を見回した。しかし特に怪しいものもおらず、アリサは不思議そうにしながらも、立ち上がって聞き込みを再開した。



一方、ミーナはというと、町の中段にある広場に人を集めて曲芸を始めようとしていた。


「さぁさぁみなさーん!今からあたしがすごいことするからあつまってー!今しか見れないマジックショーだよー!」


ミーナがぴょんぴょんと飛び跳ねながら大きな声で呼びかけると、周囲にいた人たちが次第に集まってきた。広場にいた人たちがミーナに注目すると、ミーナは自らのマジックショーを始めた。


「まずはこれをご覧あれー!」


まず最初に、ミーナは魔法でこぶしほどの大きさの水の球を5つ宙に浮かべると、その場に杖を置いて、その水の球をジャグリングし始めた。一見すると普通のジャグリングだが、実は水の球の形を維持し続けるのは1つでも並みの魔導師では難しく、それを同時に5つ維持し続けたまま、さらにジャグリングを始めたので、観客は驚きの声を上げたりしながらミーナを見ていた。


「まだまだ行くよ!!」


そう言ってミーナは、今度は5つの水の球を1つに収束させて、さらに水の球を大きくすると、地面に落ちた水の球の上に乗って玉乗りを始めた。高等な技術を使う子供であるミーナを見て、観客は歓声を上げた。こんなに魔法を使いこなす子供は見たことがない、と周囲がミーナに釘づけになった。


「フフーン!それじゃ、とっておきを見せちゃおうかな~!」


調子を良くしたミーナは、最後に大きな水の球の中に大量のシャボン玉を出した。そしてシャボン玉でいっぱいになった水の球を、ミーナが最初に置いた杖を持って、その杖で水の球を思い切り叩くと、水の球は割れて中身のシャボン玉が周囲に飛び出して広場を彩った。観客はこれを見て、広場の外にまで響く歓声と拍手をミーナに送った。すると観客の人たちが、ミーナの足元にコインを投げつけた。ミーナは投げつけられたコインを魔法で拾いあつけると、観客たちにお礼をして、神殿のことについて聞き込みを始めた。


「ありがとうございまーす!!そうだ、あたしこの近くの神殿のことについて聞きたいんだけど何か知ってる人いる?」


しかし、観客のほとんどが知らないと言ってその場を去ってしまった。ミーナが困ったようにしていると、一人の老人がミーナの前に来て話しかけた。


「お嬢ちゃん、神殿のことについて調べてるのかい?」


「うん!あたし全部の神殿を鎮めるために旅をしてるの!」


「ほう?お嬢ちゃん一人でかい?」


「ううん?あたしとあと3人!」


「ほうほう、そうかね。ではワシが神殿のことについて教えてあげようかの。」


「え!ほんと!?じゃあみんなを呼んでくるね!」


ミーナはそう言って、レオンたちに老人から神殿の話を聞けることを知らせるため走ってレオンたちを探しに行った。老人は広場のベンチでミーナが来るのを待つことにした。



その頃ルナは、町の上段の聞き込みを終えたレオンとともに城の前の大きな噴水の目立つ公園で城の城門の前にいる衛兵に神殿のことについて聞くことにした。ルナが衛兵の前に行き話しかける。


「こんにちは。アタシたち聞きたいことがあるんだけど。」


「なんだ?城の中へは立ち入り禁止だぞ。」


「いや、アタシたちは神殿のことについて聞きたいだけなんだよ。」


衛兵がそれを聞くと、少し怒ったように眉にしわを寄せ答えた。


「そんなこと知らん。さっさと立ち去れ。」


それを聞いてルナはそうかい、とだけ言ってレオンとともにその場を去った。噴水の前に来たとき、レオンがルナに、先ほどの衛兵の反応が怪しかったことを話した。


「ルナ、さっきの衛兵さ、絶対なにか知ってるよね。」


「それアタシも思ったよ。やけに怒った感じだったよな。」


そんなことを話していると、2人は噴水の中から怪しい視線を感じた。その視線は人間のものではなく、むしろ獣に近い感じがした。その視線に向かってルナが呼びかけた。


「隠れてないで出てきなよ。」


そういうと、突然噴水の中からオオカミのような姿の水の魔物がルナめがけて飛び出してきた。その魔物をレオンが横から剣で一刀両断すると、魔物は水に戻って地面に落ちていった。


「危なかったな、ルナ。」


「ありがと。それにしてもなんだったんだろうね。」


レオンとルナは、今の魔物はなんだったのかも調べる必要があると思った。その時、通行人の男がレオンとルナに話しかけてきた。


「中央広場でショーをやっていた小さい女の子が君たちのことを呼んでたよ。」


2人はその小さい女の子にもしやと思い、中央広場へ向かった。



レオンとルナが中央広場に着くと、隅のベンチにアリサとミーナ、そしてミーナに神殿のことを教えると言った老人が座っていた。レオンとルナが合流すると、老人は全員が揃ったことを確認して、コラルの神殿の秘密について話し始めた。


「それはワシがまだ城のの兵士長として働いていたころじゃ。当時の国王からこんなことを言われたのじゃ。「この城の地下にある神殿には誰も近づけるな」とな。」


そこまで聞いてレオンたちは驚いた。なんと神殿はこのコラルの王国の地下にあったのだ。老人はさらに話を続けた。


「ワシはその話を聞いて、神殿への入り口を国王に見つからぬよう探すことにした。国王がなぜそこまで神殿を守りたいのか知りたかったからじゃ。国王に聞いてもなにも答えてはくれなくての。それでワシはついに神殿の入り口と思われるものを見つけたのじゃ。その入り口とは国王の書斎の隠し扉だったのじゃよ。偶然書斎のドアがわずかに空いているところから、国王が隠し扉を使っているのを見てしまってな。今はどうなっているかわからなかったが、そこが神殿の入り口に違いないじゃろう。」


老人がそこまで話し終えると、アリサが老人に聞いた。


「では、神殿に入るには国王に話を通さないといけないのですね?」


すると老人は、それに意外なことを答えた。


「いや、当時聞いた話によればどうやらその神殿の入り口はそこだけではないらしいのじゃ。その別の入り口の場所は分からなかったがの。結局、ワシは国王が神殿を守る理由もわからずじまいであった。」


一通り話を聞き終えたレオンたちは、老人と別れて、これからの計画を話し合った。


「話を聞いたところ、神殿の入り口は城の中にあることで間違いないでしょう。でもどうやって城に入りましょうか?」


「そうだね、やっぱりあの衛兵に吐いてもらうしかないね?レオンもそれでいいだろ?」


「そうだな。あいつ、なにか知ってる感じだったし、僕もそれでいいと思う。」


「そいつをたこなぐりだー!!」


ミーナが勢いよく飛び跳ねて勢いづくと、レオン、ルナ、アリサの3人もそれに乗るように城門に向かおうとした。その時、なにやら城に続く階段の付近で2人の男が話していた。


「見たか?突然城門を破って入って行った3人組!?」


「ああ、女3人に破られるなんて、この国の兵士もダメだなぁ。にしても、あいつら何が狙いなんだ?」


それを聞いたレオンたちは急いで城門へ向かった。城門に到着すると、城門は無防備に開かれており、城門を守っていた衛兵はその付近に倒れていた。レオンとアリサがすぐに倒れている衛兵の元に向かい状況を聞いた。


「おい!何があったんだ!?」


「海賊だ・・・・・。3人組の女の海賊がいきなり襲ってきて・・・・・。」


どうやら隙を突かれ頭を打たれた様子の衛兵に、アリサが回復魔法で応急処置をすると、衛兵は城のなかを見てきてくれとレオンたちにたのんだ。衛兵の応急処置が終わると、レオンたちはすぐに城の中へ入っていった。城内に入ると、床にはわかりやすくその3人組の海賊のものと思われる足跡が残っていた。城内には、すでに避難したのかすでに人がいなかった。アリサは入り口から場内を見渡して、すぐに状況を把握した。


「城内はさほど荒らされている様子はないですね。」


「じゃあこの足跡をたどった先がやつらの目的か?」


レオンがそういって、た足跡を頼りに城内を進んでいくと、地下へつながっていると思われる階段の周りに、戦闘でけがをしたたくさんの兵士が倒れていた。その光景にアリサはとても驚いたが、ルナは兵士たちの惨状に少し呆れたような表情を見せた。


「こんな多くの兵を3人であしらうなんて・・・・・!」


「だらしないねぇ。でも、相手もそれだけできるってことなのかね?」


レオンが一人の兵士に話しかけると、やはり3人組の女海賊に襲撃されたのだと言った。アリサがほかの兵士の治療をしようとすると、そこに救助部隊を連れたコラル国の国王が現れた。


「わが王国の兵士がこうも倒されるとは・・・・・。君たちが噂の神殿を鎮めるために旅をしている者たちだね?」


自分たちのことを知っている国王に少し驚きながらもレオンは答えた。


「はい。僕たちがそうです。なぜご存知なのですか?」


「なに、町の広場でショーをやっている子供がそういっていたという話を聞いてな。」


国王が町でミーナがやったショーの話をすると、すかさずミーナが名乗り出た。


「それあたしがやったんだよ!」


「ほう、君がかね?ふむ、君たちなら大丈夫だろう。君たちにお願いしたいことがある。この階段の先が神殿へとつながっている。祭壇を鎮めるついでに海賊を何とかしてもらいたいのだ。このままでは神殿にある大切なものが奪われてしまう。厳しい戦いになるが、頼めるかな?」


国王から頼まれて、アリサはすぐに答えた。


「もちろんです!海賊を捕まえて、祭壇を鎮めていきます!」


アリサがそういうと、レオンもそれに答えるように言った。


「よし!それじゃすぐに行こう!」


ルナとミーナもうなずいて、一行は神殿へつながる階段を駆け下りて行った。

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