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オープニング

その海には、古き伝説があった。


その海の底には、今自分たちが居るこの世界とは別の世界が存在して


そこには自分たちのいる世界にはない魔法や財宝が存在している。


その世界は確かに存在するはずだが


それを証明するものは一人もいない。


その世界を夢見て旅立ち、帰ってきたものは一人もいない。


その世界を知る者はいない。


その世界を信じるものも、いつかいなくなってしまった。


しかし、その世界は確かに存在するのだ。


その世界には


人魚が存在しているのだ。


人々が人魚を見れば


人々はその世界の存在を確信するだろう。


人々はまた


夢を思い出すであろう。





ここは海の上の国、クオーリア。海の上にぽつんと立っている島国だ。島の中央には小さな山があり、その山を中心に東西南北のエリアに分かれて、600人ほどの島民が穏やかに暮らしている。その北東部に、噴水が目立つ小さな公園があった。時間は夜の10時くらいで、きれいな満月が見えている。その公園の横に、北の海を一望できる展望台がある。その展望台から海を眺めている一人の少年、レオンがいた。彼はこの時間に海を見るのが好きで、レオンはいつも夜にここへ来て、一時間ほど海を眺めているのだ。展望台から見えるのは、広い海と海の向こうの陸だ。レオンはいつも、この変わらぬ景色を眺めているのだ。


「そろそろかえらなきゃ。」


そう言って展望台を後にしようとしたとき、海面で何かがはねる音がした。レオンが海を見ると、なにもいなかった。そこで展望台の真下の方まで見ると、そこには人影らしきものがいた。しかしその人影は普通ではなかった。


「人・・・・・?ちがう、あれってもしかして!」


その人影の足元は魚のひれのようになっていたのだ。レオンは驚愕した。あの人影は紛れもなく、伝説の人魚の姿そのものだったのだ。人魚は本来伝説上の生き物のはずで、だれも存在を信じていなかった。しかし彼は、遠目ながらはっきりとこの目で人魚を見たのだ。レオンが夢中で人魚の姿を見ていると、人魚もレオンに気付いたのか、海へ飛び込んで消えてしまった。レオンはおもわずその場で座り込んでしまった。今でも自分の見ていたものが信じられなかった。


「夢、じゃないよね?人魚は本当にいたんだ!」


レオンは興奮して心臓が高鳴っていた。ふと公園の時計台を見ると、すでに針は12時を指していた。明日は9時に近所の店に行く予定があるので、寝坊すると大変なのだ。


「うわ!もう帰らなきゃだ。でも人魚を見た、なんて信じてもらえないよな。こ

の経験は僕の胸にとっておこう。」


レオンは高鳴る気持ちを胸に、自分の家に帰っていった。

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