表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Todo es una historia―全ては一つの物語―  作者: 海麟
3章 何かの始まり 海莉side
7/15

長年の疑問と見つけた答え

 授業が終わると、三人は無言で、近くの人気のない公園に行った。


 公園に着くと、三人はそれぞれ適当な場所にまとまって座った。なぜか珍しく妖怪はまとわりついて来なかった。


「さっきはごめんね、改めてよろしく、雨月さん。撃雷とは、昔馴染みなんだ。」


「・・・どーも」


 そんなことより、さっきのことが気になる。

 帰ってきたときの表情が。


「さっきは何の話だったんだ?」

 

 思い切って問いかけた。


「雨月さんにもかかわる話。」


―――なんだ?


「あのさ、地球の成り立ち、知ってるよね?」


 唐突に、菜果が切り出した。


「あぁ?・・・たしか、隕石が衝突して出来たってんだろ?それぐらいは知ってる。何でそんなこと訊くんだ?」


 いきなり話が変わった上、突然46億年も前のことについて訊かれたため、海莉はここに来た理由以前に不思議に思った。


「それ、本当は隕石じゃないの。」


「はぁ?!」


 いきなり突拍子も無い話に混乱した。


「長い話になるけど、一回、何も言わずに聞いてくれ。」


 撃雷が真剣な顔で言った。


「・・・ん」


「えっと・・・なんていうか、世界にはここの他にもいろいろ次元が存在するの。」


「はあ?!」


 開始早々、思わず海莉は声を上げた。


「うぅん、信じられないかもしれないけど本当なの。エルフとか小人とか、そういのの目撃談とかは、間違えてこっちに来ちゃったりした、違う次元の住人なの。その異次元の中に、魂の濃度が高くて、魂の力の強い、いろんな次元の住人がいろんな次元から集まってくる、秩序地レブェルトムンドって呼ばれてる次元があるの。そこの秩序守人フレチャスがいろんな次元の秩序を保っているの・・・・・・」

 そう、菜果は話し始めた。



 地球が誕生する遥か昔、地球のある次元と、瓜二つの次元があった。そこには、丁度今の地球より少し科学が進んだような、そこに住む生物も何もかも地球と瓜二つの星があった。地球は、その次元のなりたちや、生物の進化のなどを長い時間をかけて解明するための、実験用に選ばれた星だった。

 しかし、そこは争いや戦争が絶えない星だったため、その地球に似た星は、最後には核兵器合戦で滅んだ。

 滅んだ際、膨大な数の負の感情が実体化し、化け物の形を成し、暴走した。この化け物は、後に不浄ルマと呼ばれた。

 この不浄ルマは、その次元を壊しただけでなく、他の多数の次元にまで被害を及ぼした。

 地球には様々な次元への多数の道が繋がっており、そこを経由して被害が拡大していった。


 すぐに、この時代の秩序地レブェルトムンド秩序守人フレチャスは押さえにかかった。


 たくさんの秩序守人フレチャスが被害を受けている次元に赴き、これに対処した。

 さらに、拠点である地球には秩序守人フレチャスの中でも、トップレベルの腕を持ち、なおかつ特殊な力を持つ、7人の属性の違う各団の代表の秩序守人と、そのパートナーを派遣した。

 この派遣された秩序守人フレチャスは、Los Sietes Flechas、通称、ロスフ、と呼ばれた。

 何とか大半は滅却に成功したが、一部が地球に逃げようとし、衝突し、その頃の生物はほぼ全滅した。これを、後の地球の研究者は隕石の衝突とした。そのまま普通にいけば、全てのを滅せられた。

 しかしこのとき、秩序地レブェルトムンドから裏切り者が出た。

 その秩序守人フレチャスは残っていた不浄ルマを取り込み、次元への道が多数ある地球を拠点に、全次元、および秩序地レブェルトムンドの絶対的支配を図った。

 一応その直前に、ロスフにより、地球の奥底深くで強力な術で封印されたが、その裏切り者はもともと強力で優秀だったため、七人がかりでも滅却できないぐらい強くなっていた。

 しかも、負の感情はどんな生物にも存在し、それを吸い、強力になっていくため、本来は余程のことがない限り永久的に続く封印も、何億年か経つと外部からの援助があれば、破れてしまう。そこで、ロスフとそのパートナー達は、それを阻止するため、自分たちの魂を持つ者がまた生まれる時に、自分たちの記憶を引き継ぎ、行動できるように、命と引き換えに魂の記憶を残しておく禁術を組んだ。そしてそれは成功し、何代も続いている―――




「・・・ハッ。正義の味方と来た。悪を滅してこの世界を皆で仲良しこよしやりましょうってか?笑えんなそのお話。」


 菜果が話し終えると開口一番にそう言った。


「んー・・・世界を皆で仲良しこよし、っていう訳じゃなくて、こっちがやられるからやれ、みたいな?正義の味方だったらその人を改心させるなりするんだろうけど、あまりにもひどいことをして、各次元の人たちもそんなの許せなくてそんなことしたら余計収まらないからやるわけで・・・正義の味方ってわけじゃないんだよね?」


「・・・っつーか正義の味方以前に、いくらなんでもンなの今どき子供だましにもなんねーよ」


「まあ、信じられないかもしれないけど・・・。本当にあったことなんだよね。」


「はッ!ンなことあるわけねえだろ!」


「じゃあ、アルr・・・雨月さんの視えている世界もあるわけなくて、子供だまし?」


「・・・・は?」


「妖怪とか悪魔とか霊。普通は信じないし視えないし、その世界のことは知らない。でも雨月さんは知ってる。その証拠に、話は否定しても、そこは否定しなかったよね?」



「・・・・・・・・。」


――― こいつ・・・なんで視えることを知ってんだ?

 撃雷が話したか・・・いや、アイツはんなことはしねえ。

 やっぱレミのこと、こいつも視えてたってことか・・・っつーか、フレ何とかとか、地球は他の星に造られていたとか、負の感情が実体化したルマとか・・・ありえねぇだろ。

 そんな漫画とかアニメの王道じゃあるまいし・・・んなことあるわけねえだろ・・・!?

 ・・・でも現にあたしには視えてるし信じるも何も今更だし・・・てか、もしその話が本当なら、あたしにそんな話するってことは・・・

 あ?ちょっと待った・・・その流れでいくと・・・てことは・・・


 撃雷があたしといた理由は


 ・・・い、いや、それは無い!!

 だ、だって!

 あ、アイツは!

 あ、あたしが、ゆ、唯一、し、信用した人間のダチだし、そ、そんなわけはねえ。

 

 アイツはそんな奴じゃあ、ねえ。


 絶対に、無い!


 

 内心は、今、長年目を逸らし押し殺してきた、一番怖かったことに、いきなり目を向けさせられ、動揺しきっていた。

 しかし、


「ってことはアレか?そんなのあたしに話すってことはそのロスフにあたしが関わってるってことか?」


 そんなことはおくびにも出さず、平静を装い、軽く言った。十年近く感情を表に出さないようにしていた海莉にとって、そんなことは、簡単だった。


「ん。お前の魂はロスフの一人のだ。一番強いロスフ。今も、昔も。お前も自分の能力ちからが強いって知ってんだろ?で、俺がパートナー。よかった、信じてくれて。信じてくれなかったらどうしようかと思った。」

 

 いつもだったらそんな海莉を見抜ける撃雷は、このときはめずらしく見抜けていなかった。


 「うん、こんな話普通信じてもらえないしね。あ、ちなみに私もロスフ。」


 致命的なことに。


「ボンヤリたまに思い出す記憶をたよりにしてお前探すのに何回転校してどんだけ苦労したかっつーの。まあ、魂色コロールで分かったけどよ。あんま見た目も性格も変わってねえし。ま、力も変わってなくてよかった。」


 ―――うそ・・・だ。


 周りの温度が下がる。


「それは当たり前のことでしょ?」


 いや、自分の体温が下がっている。


 急速に嫌な予感が膨らむ。


 ―――やだ・・・やだよ・・・

 これいじょうききたくない!


「えー、でもそれだけじゃないんだぜ?なんか、こいつ、またいっつも絡まれたりしてたから一緒にいてすげー苦労した。


 もーまじ、正直限界だったよ。」


 目の前が黒く染まった。


 ―――!!

 ・・・そうか。

 ・・・そうだよな


「・・・ハッ、ようは、たんにあたしがそのロスフだから近づいたと・・・あたしじゃなくて、力を利用しかったから」


 どこか遠くで、自分の声がする。


「は?」


「だから今まで調子合わせてつるんでいたと・・・ね・・・んで、いつかその他のロスフ達とやらが集った時に、巧く引き入れられるように、都合のいい戦力になってくれるように・・・ってか・・・まあ、あたし単純だし、あつかいやすいだろうしな?」


 自分で何を言っているか、よく聞こえない、よくわからない。


「えっ?」


 ハタ・・・


「そのために、あたしでも、つるんでても面倒なだけのあたしでもわざわざついていてくれてた・・・と。」


「な、何言っt―」


 一粒だけ、うっかり零れた気持ちが重力に従う。


「ハッ・・・そりゃそうだよな。見た目通りあきらかにおかしいやつに普通にすんなり・・・いつもおかしいと思ってた・・・なんで一緒にいてくれるんだろうって」


 息が苦しい。

 心臓が苦しい。

 耳も腹も内臓も。

 全部苦しくて、

 自分でも何を言っているか、よくわかっていなくて。


 それでも最後に言ったことは


「でもな、でもなぁ、正直、あたし、スッゲーうれしかったんだ、あんたが、周り気にしないで、一緒にいてくれたこと・・・こんなバケモノでも、一緒にいてくれたこと・・・まぁ、普通、こんながバケモノは人と友達になれるわけない、かぁ・・・ッハ」


 不思議と、

 他人事のように、

 聞こえていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ