Prologue 1
ドスッドカッドッ!
「うっ、ぐっ、ごふっ」
「死ねよ!!おまえなんてこの世に必要ねーんだよっ!!人様の迷惑なんだよっ!てめーの存在は!」
「うぅ・・・」
―――あれ?
「っるせーなあ!」
ゴッバンダンゴスッ!
「くっ、ぎっ、あぁ!ぐっ・・・ウェロォ」
ドロッ
「キッメー!!!吐いたぁ!!」
―――ここは・・・どこだ?
「なあ、こいつどんな怪我しても病院に行かないし普通じゃねえ早さで治んだってよ!」
「マジで?!」
「んじゃマジモンのバケモノだべ」
「誰かバット持ってねーかー?」
「ッ!」
―――やめろっ
「試すの?ひひっ」
「ったりめーだろ?こいつはチクレねーし化け物だからいーんだよ!粛清粛清!」
―――やめ・・・て・・・くれッ!
―――だれかっ・・・!
「『おい』!!」
「あぁ?だr」
―――あ・・・れ?
―――手が、温ったけぇ・・・・・・え?
「あれ・・・?」
「『大丈夫かよ』?!」
「な、なんだあ?!」
「一瞬で?!」
「瞬間移動ッ?!」
「おい!!」
「!!」
誰かに激しく揺さぶられ、目を開けると、
「大丈夫かよ?」
少年の薄い色の瞳が覗き込んできた。そいつにしてはいつになく心配そうに。
息は弾み、体中嫌な汗でグチョグチョだった。
心なしか、目も濡れているような気もした。
「・・・・・・あ・・・うん・・・わりーな。起こしちまって。」
寝起きだったため、ここが昔ではなく、孤児院の自分の寝室だと気づき、答えるまでに数秒かかった。
ちょっとした音でも響く薄い壁を挟んだ隣の部屋で寝ているため、眠りの浅いこいつは、うなされると様子を見に来てくれる。
「かなりうなされてたぞ?」
「・・・ただの悪夢。」
そういってなんとなく手がまだ温かいことに気づき、目をやると、
「手・・・そっか。」
―――そーいや、あん時も、こいつの手ぇ温かかったな。ほんと、いい親友
に会えて運いいな、あたしは。
温かさに安心し、呼吸も次第に落ち着いた。
「ワリーな。うるさかったか?」
「まあ、しゃーねーだろ。悪夢は。」
軽く言いながら握っていた手を離し、そいつは自分の部屋に帰った。
大体うわ言か何かでどんな夢かは察しているのか、普通に寝言がうるさいと怒るが、こういう夢の時は怒らない。
―――フッ
「おやすみ。」
「おやすみ。」