異形の手当て
暖かい囲炉裏の傍。そこで秋達は手当をすることにした。
スウもコウも火華と同じように、とりあえずは何も訊かなかった。
ただ、秋に運ばれていた少女を視たコウは、一瞬驚いた顔をした。
少女の正体が視えたのだろうが、何も言わなかったため、後回しにしてもいいくらいには危険性は低いのだろうと思い、秋も訊かなかった。
まずコウに、毒がどのくらい回り、他にも外から見えないところに何もないか視てもらう。
「深読みし過ぎないようにしろよ?」
コウは、ドライな雰囲気に反して、実は感受性が強い。そして他の子供達のように、チカラが強い。時に自分の意に反して、深く、それこそ記憶すら読んでしまう事があるほど。
「ん・・・」
秋の注意にこくりと頷いた。
そして、少女に目を向けた。
コウの目は、様々な色が混ざって、それが曇ったかのような色をしている。
しかし、能力を使うと、曇りが晴れ、鮮やかな色になる。
「っ!!」
「っどうした?!」
瞳の曇りが少し晴れた瞬間、息をのみ、ぽろぽろ泣き出したコウに、秋は焦った。
どうやらまた読み過ぎてしまったらしい。
「矢の傷と毒以外は大きなものはないっ、いいからはやく助けてあげてっ」
思わず手を止めてしまった秋に、コウは叱咤するように叫ぶと、唇を噛みしめ、何かをこらえるように座り、手当の手伝いをし始めた。