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Todo es una historia―全ては一つの物語―  作者: 海麟
4章 原点の出会い 撃雷side
13/15

異形の来訪

雨の、日だった。


いつものように変装をして街に降りた。

なるべく他の人間と接触しないよう、自給自足の生活を心がけてはいるが、紙や筆、靴や服、さらにそれを繕うための針や糸などの消耗品は流石にどうしようもなく、山でとった獲物と物々交換している。


「兄者」


逞しい老人に変装した逢魔が声をかけ、歩き出した。

見た目も声も老人にしか見えないのは、年長組二人の能力の応用だ。



見かけの変装は、光の屈折をうまく操って視覚に作用している、光の屈折を操る秋の能力だ。

神経を使うため、些細なことで不自然さがでないよう、交渉は逢魔に任せている。


そして声を変えているのは、天才的な呪符の扱いをする逢魔のアレンジした呪符だ。一時的にのどの形や質を変え、老人独特の嗄れた声を出せるようにしている。


ほぼ毎月どこからかやってきて、揉め事を起こすでもなく、良質な獲物と日用雑貨を交換して行く、腕の立つ猟師の老人兄弟。

それが周囲の認識だ。


「いつものを頼む」


「あいよ」


最後に裁縫の道具屋へ行き、いつものようにおかみさんに頼むと、すぐに渡してくれた。


「どうも」


こちらも良質の新鮮な肉を渡し、雨音が際立ってきた薄暗い帰り道を急いだ。



しばらくして、完全に人の気配のない猟師でも知らない獣道で、追跡者がいないことをよく確認し、変装用の術を解いた。


「「ふぅ」」


一息つくと、揃ってまた歩き出した。


「あの綺麗な布、火華、喜ぶといいな。」


「ね!!あれは絶対に喜ぶよ!秋兄もよく見つけたね!あんなにあった中で!」


「いや、たまたま捲った時に真紅が見えたんだ。誕生日に間に合わせないとな、着物。」


「そうだnーー」


突然目を見開いた逢魔に、秋兄は追ってが来たのかと思い、全身に緊張感を漲らせた。

しかし、逢魔の視線を見た途端、別の意味で、ハッとした。

そしてすぐにそちらに駆け寄った。


そこには少女が倒れていたのだ。


それだけであれば、そんなに驚かなかっただろうが、その少女は尋常ではない様子だった。


「うっ・・・」


そばに駆け寄ると、なぜか分かった。肩や背中に合計2本の矢が刺さっていたのだ。しかも、さらに驚いたことに傷口が傍目から分かるくらいの早さで再生しようとしているようだった。しかし、矢が毒矢だったのか、矢と、矢から噴き出す薄紫の液体に再生を阻まれていた。


「ひどい・・・」


逢魔が呟いた。

その時、すぐ隣でしゃがみ込んでいた秋は、わずかに漏れ出る

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