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Todo es una historia―全ては一つの物語―  作者: 海麟
4章 原点の出会い 撃雷side
12/15

異形達の日常

 年長組がスウの話していた頃。


「いよっし!!」


 秋から指示をもらい、野菜を濯ぐために台所に来たスウは、まず大瓶に入っている水を、手で掬った。


「とぅ!!」


そしてその水を宙に放った。

いささか気の抜けた声とは裏腹に、手つきは心成し丁寧に。

すると驚いたことに、落ちるはずの水が、その場に留まった。さらに何度か水を宙に放つと、さらに驚くべきことに、スウの手の動きにあわせて遊ぶように水が宙を泳ぎ、野菜の元へ向かって行った。

それらは、各野菜に分散し、纏わり付いて表面をなぞり、野菜の汚れを吸収し、開いていた窓から飛び出して行った。


「よしっ!」


 スウには生まれつき水を感覚で操る能力がある。誰に教わるでもなく様々な方法でいろんなことができる。例えば、空中の水分を集めたり、水の粘度を増加し、その粘着力で汚れを取ったりなど。


「ひとつ、ふたつ、」


シュンッシュンッ


「みっつ、よっつ・・・」


シュンッシュン・・・


 その応用で今度は、残った水を圧縮した鋭い刃で、野菜をそれぞれ器用に切っている。

 この刃は、鉄すらも貫通するほど切れ味が鋭い。年長組が話をしていたのは、この能力のことだ。


 ここは特殊な子供達の家だ。

 そのため、家事の仕方も特殊なのだ。




「このくらい?!」


「うーん・・・もう少し弱く・・・」


 一方、囲炉裏では、火を起こそうと、火華とコウが張り切っていた。


「じゃあこのくらい??!!」


「・・・もっと弱く」


「ええ?!?!もっと??!!じゃあこのくらいっ???!!!」


「うん」


 火華には火を操る能力がある。ただ、能力が強すぎるため、様々なことを見透かす「眼」を持つコウが火華の体内の力の“タメ”を視てそこからどれくらいの火が出るか検討をつけ、細かい力調節を手伝っているのだ。


「じゃあつけるよおっ!!!!」


「まって」


「?!?!」


「また強くなった。下げて」


「えええええええええええ!!!?」



 逞しく支えあって生きている5人に、今日も夜の帳が舞い降りる。

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