剣道風景
おいーっす、俺だ、北川だ。
ん?俺視点の話はそういえば初めてだな。
主役級の登場率の高さを持つというのに。
さて、本日俺と高野は剣道をしに剣道場に来ております。
立てつけの悪い部室のドアを開ける。
鈍い音と共にドアが開かれる。
「こんちわー」
俺は大声で挨拶をする。
高野も俺に倣って少し小さめの声で挨拶をした。
「おっす」
と、短く挨拶をしたのは剣道部の1つ上の先輩、小山先輩だ。
「まだ他の面子は揃ってないみたいですね」
「まあな。しかし、お前らがこんなに早く来るとは珍しいな」
「気まぐれですよ」
俺と高野はその場に座り込む。
椅子なんて上等な物は無い。
地べたに座り込む。
と、言うより部室に唯一ある椅子は小山先輩が座っちゃってるし。
暫く俺と高野はその場にボーッとしていた。
何気なく高野が小山先輩に尋ねる。
「そういえば今日は部活は何時から?」
「どうしような・・・・・・まあ、あと20分もすれば皆集まるだろうしそしたら始めるとしよう」
「分かりましたー」
そこからまた3人とも黙り込んでしまった。
暇だ。
何かしてないと俺は死ぬ!
てか、喋ったり動いたりしてないと死ぬ!
「先輩、この前のテストどうでした?」
「あー、1学期末のテスト?まあまあじゃね?」
「全く・・・・・・いつまで夏の話やってんだよ。世間はクリスマス終わって年末へって流れなのに」
高野がまた変な事言ってる。
世間も何もこれから夏休みだってのに。
「てか、お前らこそどうなんだよ。赤点取ったら夏休みも補習だぞ」
「俺は大丈夫だけど、高野はどうなんだ?」
実は高野の方が俺より頭悪いです。
「・・・・・・ぴゅーっぴゅー」
「口笛で誤魔化す奴初めて見た」
あいつ本当に馬鹿だな。
塾行ってるのに。
「小山先輩、今度勉強教えてくださいよ」
高野の切な願い。
「お前も塾なんてやめて進〇ゼミ始めろよ。今始めれればポイントが30ポイント付くし、このポイントを200ポイント集めれば何と素敵なプレゼントが」
「典型的な信者だな、こりゃ」
「先輩どうせこの問題ゼミで出た所だ!!とかやってるんでしょ?」
「あ、何でその話知ってんだよ。お陰で赤っ恥かいたぜ」
「ガチでそれやったんすか!?」
「ああ。
この問題、ゼミで出た所だ!!って叫んで立ち上がったらな」
小山先輩は少し哀愁を漂わせた顔で言った。
どうやらその事をネタにされてかなりひどい目に遭ったみたいだな。
「そういや去年は合宿みたいなのしたらしいですけど、今年はするんっすか?」
「あれか・・・・・・まあ、気が向いたらな」
「何かあったんすか?」
「話したくもない」
この人って比較的不幸体質だよな。
しかし、何があったのだろうか。
その時、再び部室のドアを開ける者が。
部員の誰かかなー、と目を向けてみると顧問の森本先生だった。
「先生ー、今日道着忘れてきたんで貸してください」
「誰が貸すか!!」
ちなみに森本先生は女だ。
「それよりあんた達、こんな所で何してんの?」
「何って部活ですよ」
「今日部活休みなんだけど」
「・・・・・・え?」
高野を見る。
だらしなく口を開けて驚いている。
小山先輩を見る。
口笛を吹いて誤魔化してる。
あんたもじゃないか。
「・・・・・・じゃ、そう言う訳だから」
森本先生はそう言って帰って行った。
「・・・・・・何してるんだろうな、俺達」
小山先輩がやはり哀愁を漂わせた声で言った。
さて、帰るか。
「本当に俺達何しに来たんだろうか?」
高野に尋ねてみたが答えはなかった。