聖女のこれから
「それでエルリラはこれからどうするつもりなの?」
「まずは王都にある教会本部に行って魔王を封印した事を報告しようと思ったんですけど……」
ですけど?
「今、王都に行くのは余り得策じゃ無いみたいです」
「何でわかるの?」
「王都のある方角から良くない気配を感じるんです。 命の危険を感じるような……」
そう言ってエルリラは困った様な顔をした。
「それだったらこの村にいれば良いと思うよ」
「えっ!? 良いんですか?」
「うちの村は見ての通りの寒村だし爺ちゃん婆ちゃんばっかりだから若者は大歓迎だよ」
「ありがとうございます」
「まずは村長の許可を取らないと」
僕はエルリラと共に村長の家に向かった。
「村長いますか?」
玄関で声をかけると奥から出てきたのがこの村の村長のレイルさん。
この村では僕の次に若い25歳だ。
「オリルか、どうしたんだ?てお前いつの間にそんな可愛い女の子と付き合ってるんだっ!?」
「付き合ってないし今日初めて会ったんですよっ!」
「あ、そうか、それもそうだな」
あっさりとそう言われるのもなんか腹立つ……。
「あ、あの私エルリラと申します……」
「へぇ、見た感じ教会に属しているけど……、ただのシスターじゃないみたいだな」
レイルさん、普段はいい加減だけど人を見る目だけはあるんだよなぁ。
僕はエルリラの事を説明した。
「なるほど聖女様か、納得した」
「信じていただけるんですか?」
「勿論だ、実はこの間親父と一緒に王都に呼ばれて勇者様の凱旋記念パーティーに出席したんだよ」
「えっ、レイルさんが」
「一応こう見えても貴族だぞ、俺は。 その席で勇者様と聖女様が結婚される、という発表がされたんだけどな、基本聖女て結婚は禁止されてるんだよ」
「という事はそのパーティーに出ていたのは偽物?」
「多分な、教会の細かいルールなんて普通の貴族は知らないからな、王族も高を括ったんじゃないか?」
「あの、その私の代わりに聖女を名乗った女性てわかりますか?」
「確か……、エミリアとか言ってたな」
「それ、私の妹です。 血はつながっていませんが」