表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

村人オリル、シスター?を拾う

 魔王が倒された、という話は王都から離れたこの小さな村にも拡がっていた。


 王都は勇者様の凱旋でお祭り騒ぎらしい。


 まぁ、こんな小さな田舎の村には影響なんてないし、魔物が田畑を荒らす被害が減るぐらいなもんだ。


 子供の頃はそういう勇者譚に憧れてはいた。


 でも成長すれば現実が嫌というほどわかってしまう。


 そりゃあ街に出稼ぎに行く、という選択肢もあった。


 だけど、稼ぎ頭だった父親が倒れてしまい嫌でも実家の畑を守らなければならなくなりこの村に居残る事になった。


 年々村人達は減っていき今では僕を含めて両手で数えるぐらいしかいない。


 両親も1年前に亡くなり天涯孤独になった。


「おーい、オリル。 悪いけど焚き木を拾いに行ってくれないか」


「わかった、準備をしたらすぐ行くよ」


 僕は籠を背負い近くの森へと入って行った。


 地面に落ちている大小の枝を拾っていく。


 こういう力仕事は若者の仕事だ、ただでさえ少ない村人なので助け合いは大切だ。


 籠いっぱいの枝を拾い集め村に帰ろうとした時、ガサッという音が聞こえた。


 もしかして魔物か?と思い身を護る為の小さな剣を構えながら物音がした所に恐る恐る近づいた。


「え……、なんでこんな所に女の子が?」


 そこにいたのは修道服を来た女の子だった。


 服は薄汚れていてボロボロになっていた。


「ちょっ…!? だ、大丈夫っ!?」


「う、う〜ん……」


 声をかけると返事はあった、意識はあるみたいだ。


「ここは……」


「デール王国のレンス地方ですよ」


「あぁ……、漸く戻ってこれた……」


 そう言って女の子は涙を流した。


「あの、とりあえず僕の家に来ませんか?」


「よろしいんですか?」


「はい、流石に放置する訳にはいかないんで」


 僕は籠を手に持って女の子を背中に背負いながら村へと戻った。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ