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新しい王たち2

「んで、議長さんよ。その話を出したと言うことは何か案があるのか?」


ニゲルの言葉を待ってましたと言わんばかりにフィリが言う。


「各家から七剣徒(セプトレア)と同等の人間を下人どもの元へ派遣するんだ」


「!!」「!?」


嫌な提案だ。


七剣徒(セプトレア)と同等の人間。


これは七剣徒(セプトレア)と同じくらい戦力になる人間を眷属、

つまり身内から派遣すると言うことだ。


この眷属と呼ばれる存在は各家ごとに大きな差がある。


スプニールのネリウムの眷属は麗王(れいおう)の中では一番少ない。


さらにそこから七剣徒(セプトレア)と同等となるとゼロに等しい。


だからと言って派遣しなければ守ることに協力しない人間、

つまりキョウ側の人間であると嫌疑をかけられかねない。


それにネリウムは首謀者の身内ということもあり断ることは許されない。


フィリの狙いは……


「おい、リヤナ!聞こえてるんだろ?うちからはお前を出す。せいぜい頑張ってこい」


「フィリ!」


「……前任者が口を挿むのは止めてもらえますか?これじゃあ交代した意味がありませんよ」


バリエガータも狙いを理解した。


フィリは局の防衛という名目の元、邪魔な存在を最前線へ送り込もうとしている。


成功したら提案者である自身の評価、失敗したら邪魔者はそのまま消える。


どちらの結果になろうとフィリに得しかない提案だ。


そしてフィリにとっての邪魔者は、最近身内で評価が上がっているリヤナと……


「ひゃっひゃっひゃっ、なかなか良い提案じゃな。そうは思わぬか?リコリスよ?」


「は、はい……私はその意見に賛同します」


ドミニクに言われるがままにリコリスは意見に賛同した。


「おお、ありがたい。じゃあそちらさんは誰を出すんです?

自慢の息子さん?それとも第一位のおばさんですか~?」


フィリがすかさずドミニクに問いかける。


フィリにとってはどっちも脅威になるだろう。


だがドミニクから出たのは意外な人物だった。


「あの小娘がいいだろう。エクシアに懐いてる小娘だ」


「……あ……アコニス様――!?」


ドミニクは威圧してリコリスを黙らせた。


「あ……いえ……アコ……アコニスを出したいと思います……」


アコニス、ドミニクが毛嫌いして娘と認めない子。


過去、ドミニクの妃が亡くなった事に起因していると聞くが、真相は知られていない。


「あの子かぁ。大丈夫なんですか?まだ息子さんや第一位のおばさんの方が信用出来るんですがねぇ」


フィリの言う通り息子のエクシアや現七剣徒(セプトレア)第一位の眷属、サラバンドなら理解出来る。


二人とも戦力としては認められているし、エクシアは歴代最強に匹敵する、

つまり今回の相手、キョウに匹敵する存在として知られている。


この二人ならまだしも、娘と認めていないよくわからない子を出されても、

フィリの言う七剣徒(セプトレア)と同等の人間として認めづらい。


「安心しろ。あいつも気に入らないことにワシらと同じ異能を持っている。

かするだけでも十分な殺傷力を持つ異能を持っている時点で十分だろう」


なるほど、ドミニクもフィリと同じ考えのようだ。


これ以上言っても意味が無いと判断したフィリは他に話を振る。


「じゃあ二人揃ったし、他はどうしますか?」


ニタニタと笑いながらスプニールを見ている。


ネリウムの事情は知っているようだ。


「こちらは俺様が出よう」


不意にニゲルが提案した。


「んな!?バカを言うな!王になったお前が出るなんて――」


「王だからだよ」


姉の言葉を遮り、理由を説明した。


「俺様は昔あいつと勝負したことがあるが負けていない。勝ってもいないがな」


「へぇ~初耳ですね~」


「公式な勝負ではなく、あくまで訓練の一部としてだが、互いに全力は出したぜ」


全力で引き分けた。


スプニールも初めて知った。


「お前らも知っている通り、異能にも相性がある。俺様はあいつの異能と相性がいいようだ」


キョウの異能は見切りの眼、対してニゲルを始めとするヘレボルスの異能は

身体強化型の異能と言われている。


キョウに有効な攻撃がないと言うことか。


実際に七剣徒(セプトレア)の訓練でもほぼ無傷で終わる場面が多い。


「そして俺様とあいつはまだ決着がついていない。

このままでは王に相応しくないと思うが、姉上はどう思う?」


「そんな私的な理由で許されるわけが――」


「いや!いいんじゃないっすか?」


フィリが割り込んでニゲルに賛同する。


「下手な七剣徒(セプトレア)よりよっぽどいいですよ!

その間は特別に前任者様に代わってもらいましょうよ」


「ほう、話が早くて助かるな」


何だかんだでニゲルが参加することになった。


「んじゃ次はそこで伸びてる人はどうしますかね?」


「お、起きてくれ~!」


ヒパコがナペルスを懸命に揺らし呼びかける。


そのかいあってか、ナペルスは気がついた。


「ほへ?」


「おい!お前の番だぞ!」


「へ?」


全員がナペルスに注目する。


「ひっ!たくさん見られブクブクブク……」


完全に気絶した。


「だああああ!こんな時にいぃぃぃ!」


ヒパコの絶叫が響く。


「う、うちからはカクタスを出す!これでいいだろ!」


結局また前任者であるヒパコが決めてしまった。


弟は気絶しただけで何もやってない。


大丈夫か?この人たち。


「んで、肝心のネリウムさんは誰を出すんですかい?」


フィリのもう一つの目的、犯罪者を出したネリウムの失脚。


眷属がいないネリウムはスプニールが出るという選択肢しか無い。


そしてスプニールにもしもの事があればネリウムは麗王(れいおう)の座から降ろされる。


勝てないであろう相手に邪魔者をぶつける狙いだ。


どちらが勝ってもフィリに害はない。


むしろ相手が相手なだけに邪魔者が消えると考えている。


(権力を手にしただけの外道が)


だがそう簡単に思い通りにはさせない。


「うちからは……」


フィリは私が出ますと言ってほしそうな顔をしている。


さあ!


さあ!


言え!


言うんだ!


フィリの考えていることがしっかりと顔に描かれている。


だがスプニールはフィリが考えなかった人物をさし出した。


「うちからは、キョウ・ネリウムの子供であるホシノ・トウヤを出します」


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