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光に導かれて

真っ暗な世界にポツンと一人立っていた。


(ここは?)


記憶が曖昧で、なぜ自分がここに居るか解からなかった。


あたりを見回しても何も無い。


(どうしてここに居る?)


自分の記憶を辿るが思い出せない。


とりあえず、辺りを探ってみることにした。


だが行けども行けども代わり映えの無い景色。


だんだん進んでいるのか、終わりは見えるのか不安になってきた。


するとフワフワと光る小さな玉が漂ってきた。


近くまで漂ってくると急に素早く動き始めた。


(なんだ?)


円を描くように横、縦と動いている。


よくわからないので無視して他へ行こうとすると目の前に立ち塞がり左右に動く。


(……ダメと言うことか?)


光が円を描いた方向に向くと横に円を描き、今度は縦に円を描いた。


(正解?進め?)


何となくその方向に進むと縦に円を描くような動きだけに変わった。


まるで道案内しているようだ。


一向に変わらない景色だが光の動きは変わらない。


ふと先に別の光が見えた気がした。


歩みを進めると、その光が大きくなってる気がする。


なんだか嬉しくなってきた。


そう思うと足取りも軽く感じる。


(おっと、忘れちゃいけない)


道案内してくれた光を捕まえようとする。


だがその光を掴むことは出来なかった。


何度か試したが結果は変わらない。


仕方なく歩みを進めると、光が動かなくなった。


一緒に連れ出したい。


そう思いもう一度掴もうとするが、やはり掴めなかった。


(せっかく案内してくれたのに……)


すると、誰かに呼ばれた気がした。


(……行け?)


何となくそう言われた気がした。


(いや、一緒に行こうぜ)


首は無いのに、首を横に振っている気がした。


(なぜ?)


光に問いかけると、答えてくれた気がした。


(行けない?どうして?)


すると体が吸い込まれそうに動いた。


(ちょっと、まだあいつが……)


あいつ?光に対して人のような扱いに不思議に思った。


いや、知っている。


俺はあいつを知っている。


あの光は……


ふと名前が浮かんだ。


「アダム!」


大きな光に吸い込まれ、小さな光のアダムに近づけなかった。


魔法は使えてるのか?


アダムの元へ行こうとしても進めている気がしない。


「イブと一緒に生きるんだ!」


むしろ離れていっている気がした。


なので必死に藻掻いた。


「アダム!アダム!!」


ふと、光の玉なのに首を振っているように見えた。


「俺のことはもういい。イブのことを頼んだよ」


何となくそう言っている気がした。


「もういいって、どういうことだ!?」


吸い込む力が一気に強くなった。


「アダム!アダム!!」


あたりが白い光に包まれ、暗闇も、光の玉も何も見えなくなった。


そして急に睡魔に襲われた。


「アダム……」


その睡魔に誘われるよう瞼が重くなり目を閉じていった。




ふと目を覚ますと、見慣れた光景だった。


病院だ。


体がだるく、動くのも億劫だが、頭は冴えてきた。


そしてある事を思い出す。


「アダ――!?」


勢いよく起き上がると体に痛みが走った。


「ちょっと!いきなり飛び起きないでよ!」


部屋には金髪ロングの子と茶髪ショートの子がいた。


「ルー……ミナ……」


よく知る二人の顔を見て、なんだかホッとした。


「あれだけの手術を受けて三日で目覚めるとか、やっぱり回復が早いね」


「この分なら、イブの方もすぐに目覚めそうね」


名前を聞いてもう一人思い出した。


「イブは!?大丈夫なのか?」


「ええ、手術は成功していると聞いてるわ」


「今も目覚めていない……目覚めようとしているかもわからないけど……」


「イブは何処にいる?」


トウヤはベッドから降りようとしたが、ルーが止めた。


「ちょっと!病み上がりなんだから大人しくしなさいよ!」


「イブを……起こして止めないと……」


ルーが止めるのも構わずに歩き出そうとした。


パン!


トウヤは頬に何かが当たると、そのまま力無くへたり込んだ。


ルーが頬を平手で叩いたのだ。


「イブ、イブって!……ちょっとは自分のことを考えなさいよ!」


涙目になりながら訴える声にトウヤは気づかされた。


「ご、ごめん……看病してくれたのに……」


はぁ……


大きなため息が聞こえるとトウヤの腕が引きあげられ、そのまま担がれた。


「ほら、行くよ。キミの言いたいことは解かる。だけど、もう一人じゃない、

キミを心配してくれる人が何人も居ることを忘れないでくれ」


「ああ……ごめん、ミナ、ルー」


「ん」


ルーは目元を拭うと、ミナを手伝うように、もう片方のトウヤの腕を担いだ。


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