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光を探して

真っ暗な世界にポツンと一人立っていた。


(ここは?)


記憶が曖昧で、なぜ自分がここに居るか解からなかった。


ただ、なんとなく、このままでいい。


そう思っている。


だんだん、考えるのも面倒になってきた。


そう感じると、体も重くなってきた。


(眠い)


そう感じ、ゆっくり横になった。


何も無い。


だけど、ここで寝るのがすごく気持ちよかった。


(ああ、このまま寝たい)


ゆっくりと目を閉じようとすると、わずかな光が見えた気がした。


この光が気になってしまい、閉じようとしていた瞼を一生懸命止めた。


(なに?)


なんだか起こされてる気がする。


(もう、寝させてよ)


そう思ったが、どうやらこの光は寝ることを拒んでいるようだ。


(仕方ない)


あまりのしつこさに諦めて、体を起こした。


不快に思った光だが、こうして目の前で見るとなんだか温かい。


なぜだろう?


どこか嬉しく思えた。


そう思っていると光は何処かを指していた。


(どうしたの?)


不思議に思っているとその光の言いたいことが解かった気がした。


(こっちへ行けばいいの?)


言葉は無い。


だが明確な意思があるように思えた。


(……わかった。行ってみるよ)


ふと気になることがあった。


(ねぇ、名前を……)


気がつくと光が消えていた。


たぶん人だった気がする。


だから名前があるものと思ったが……


考えがまとまらないが、光の意思に従って光が指した方向に進む。


(誰だったんだろう?)


たぶん優しい人だと思う。


自分に優しくしてくれる人。


一人心当たりがあった。


(……アダム?)


そう思うと眩い光に包まれた。







ゆっくりと目を開けると知らない光景があった。


体が思うように動かない。


なので目だけを動かして周りを見た。


「……うん……むにゃむにゃ……」


寝ている場所より少し低いところで寝ている女がいる。


(この人……あの時の……)


確かミイナと呼ばれていた女だ。


徐々に戦闘の記憶を思い出すと、ある事を思い出した。


「……ア……ダ……」


たった一人の家族である弟が死んだことを思い出した。


そして自然と涙が溢れてきた。


「目覚めたのね」


ふと反対側から声がした。


その方向に目を向けると女が一人いた。


この人も戦闘の時にいた。


確かリヤナと呼ばれていた。


「まだ体が思うように動かないでしょ?」


リヤナの言う通り、手足は全然動かず、首も動かせない。


「それと……アダムのことは……残念だったと思うわ」


全くと言っていいほど面識の無いこの人も、死んだことを悔やんでいる。


よくわからないことだが、嫌な感じはしなかった。


「ひと……りに……して……」


「それは出来ないわ。あなたにこのまま死なれたら、トウヤが悲しむもの」


トウヤ、そう言われて思い出した。


最後まで諦めずにアダムを救おうとしてくれた人。


呪われたような悲惨な運命から救い出してくれた人。


そして……


「だい……じょう……ぶ……アダム……約束……した……」


「約束?」


リヤナには意味が解からないので悩んだ。


だが一人になって気持ちの整理をするというのは理解出来る。


「私はあなたが死のうとするのを止めるために、ここに居る。

だからせめて、部屋の前でもいいかしら?」


「……うん……」


「ありがとう、あとついでにそれも持っていくから」


リヤナが顎で指した先にはミイナがいた。


寝てるなら構わなかったが、せっかくなので連れ出してもらうことにした。


なるべく静かに部屋を出たリヤナを見届けると、天井をただ見つめた。


記憶が鮮明になっていく。


あの時、アダムは笑っていた。


イブが助かるなら、自分は助からなくてもいい。


あの夢で見た光もアダムだったのだろう。


このまま死を受け入れようとしていたイブに、生きる道筋を照らし出していた。


そしてこう言っていた気がする。


トウヤを信じてもいいんじゃないか?


見ず知らずの私達の為に、命懸けで動いてくれた。


そんな彼なら……


(でも、やっぱり隣に居てほしかった)


双子という姉弟よりも、もっと特別な関係。


半身とも言えるものを失ったのは耐えがたい。


(アダム……私は……私は……)


耐えられるかも、生きていけるかもわからない。


こんな未来が来るなんて……


それでも生きろと微笑む顔に、進むべき道はこっちじゃないという光に、

簡単に死を選べなかった。


(辛い……辛い……嫌だよ、アダム……)


あまりの結果に、全て投げ出そうとさえ思える。


そう思っていたら、部屋の扉が開いた。


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