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光差す方へ

キラキラ光る物体の正体はアダムの魔力だった。


輝く魔力は視界の悪い場所でも目立っていた。


「遅ぇよ」


「悪ぃ、迷子になっていた」


「イブは何かに頭をぶつけたようで気を失っている」


変形(トランス)”で腕を紐状にしイブをグルグル巻きにしている。


そして硬質化して飛んでくる物から守っていたのだ。


アダムが捕まえてなければイブは絶望的だっただろう。


それに……


「綺麗な魔力に救われた。これをやってなかったら局の反応も無く追えなかった」


イブが見せた闇属性の魔力の狂暴化。


アダムは同じことをしたが、光属性だったので闇を照らしだしたのだ。


大量の魔力を使うことで環境の悪い場所でも位置が解かったのだ。


「ああ、ギリギリだった」


シュルシュルと紐が縮んでいく。


魔力のほとんどを使って居場所を知らせてくれたようだ。


今度こそ逃さないようにイブを引き受ける。


が、“(かけ)”の性質上、一度解除する必要がある。


トウヤは一度“(かけ)”を解除してイブに触れようとした。


その時、雲のような(もや)が一気に消えた。


「!?」


何かを通り越して激痛が走った。


身を引こうと反射的に手を引いた時、たまたまイブの体があったため一緒に引き寄せ、魔法で守った。


だが運悪く、アダムは入れなかった。


トウヤは明るくなった先を確認する。


明るくなったと言っても赤黒い。


そして光の元はとてつもなく大きかった。


(太陽!?)


地球でも見たことがある太陽よりはるかに大きい。


それだけ近づいていると言うことだ。


そしてそれだけ近づけば熱量もとてつもない。


今までは分厚い雲に遮られて熱を感じにくかったが、雲が消えたら直接降りかかる。


「っは!?……っは!」


あまりの激痛に気を失っていたイブも目覚めた。


「イh!?」


声をかけようとしたが息が上手く出来ない。


雲が途切れた先は薄い大気しか残っていないようだ。


さらに


「――!?」


体の中で何がか激しく這い蠢くような感覚に襲われる。


薄い大気のすぐ向こうは宇宙空間。そして真空。


体中の血液が沸騰しようと蠢いているのだ。


そんなところに出てしまったら一瞬で命が消える。


辛うじてまだはっきりしている意識で魔法を使い雲の方へ飛ぶ。


「トウヤ!」


念話でポーラの声が聞こえた。


「もう限界よ!」


「まだだ!まだアダムが!」


緊急脱出を使おうとするポーラをトウヤは止めた。


運良く視界の端に見えるアダムを回収するために“(かけ)”で飛ぶ。


片手でイブを掴み、もう片方の手をアダムの方に伸ばす。


イブもその行動の意味を理解したようでイブも手を伸ばした。


だが掴む前にアダムは黒い雲の中に沈んでいった。


(絶対に、絶対にアダムを!)


諦めずに視界の悪い雲の中を探す。


飛んで近づいたからそんなに離れていないはずだ。


(かけ)”で飛んでいてはアダムに気付かず、通り過ぎてしまうかもしれない。


なのでトウヤは“(かけ)”を解除し、アダムが飛ばされたであろう風に乗った。


しかしこれは賭けだ。


的外れの風に乗ってるかもしれない。


近くに居ることを願うばかりだ。


雲の中に入ることで、大気の量が増え呼吸がしやすくなった。


それはイブも同じで意識がハッキリとし、目で合図を送ってくれた。


状況をしっかり理解し、アダムを救出するつもりだ。


しっかり息を整えアダムを探す。


だが視界が悪い。


雲が出来るということは、ここは大気がある。


そして十分に湿気がある。


そして雲が直接太陽の光を遮る。


この雲が生命線だ。


上空へ飛ばされたら太陽からの灼熱の熱波、さらにほぼ宇宙空間に近い環境。


奇跡的に雲が残っているおかげで生き延びているこの場で、見つけ出すしかない。


イブは両手を巨大な網に変形させあたりを振り回す。


ここにアダムが入れば即座に転移出来る。


トウヤはイブをしっかり抱き寄せ、離れないようにする。


それと同時に自分の魔法、“創造する神(クリエイター)”でアダムを探す魔法を創ろうとする。


音はこの暴風の音で判断できない。


同じ理由で超音波センサーも使えない。


視界は雲で非常に悪いので使えない。


魔力はアダムが発してなければ感知できない。


確か地球で災害とかで使われるレスキューレーダーなんてものがあった。


確か仕組みは電磁波などを利用して人体の動きや呼吸を検知するはず。


だが近づいた太陽の影響でさまざまな電磁波が流れてきている。


これも使えない……


いや、これの魔力版ならどうだ?


この生死を分ける環境で魔力を持つのは限られている。


検知できればそれがアダムである可能性が高い。


仕組みは局が持っているセンサーと同じ。


そこに局所的な制限を設ければ・・・・・・


大雑把な創りだがイメージして魔力を放った。


ピンとなんとなくの感覚でアダムがいる気がした。


「見つけた!」


(かけ)”でそのまま上に向かうと人がいた。


「いた!」


「アダム!」


あとは捕まえれば脱出できる。


だがその時、雲が晴れていった。


いや辛うじて雲となっていた物が限界を迎えた。


「うがああああ!」


魔法で守られていないアダムの体は、近づいた太陽からの強烈な熱波で焼かれ始めた。


「イブ!一度魔法を解かなければアダムに触れない!覚悟しろ!」


イブは素早く頷くと、アダムに手を伸ばした。


そしてトウヤも手を伸ばし、魔法を解く。


「ああああああ!」


全身に焼ける熱波が襲う。


反射的に小さく丸めようとする体の動きを無理矢理動かしアダムへ手を伸ばす。


強烈な痛みも、身を守ろうとする動きも全てを無視してアダムを捕まえようと動かす。


絶対に救い出す。


その強力な気持ちだけがトウヤとイブを動かし続けた。


そして、目の前が暗くなった。


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