第4話:魔法使いとの漫才コンビ結成!
♢♢♢♢♢♢お調子者の魔法使いとの出会い♢♢♢♢♢♢
「ふぅ...」俺は長い道のりを歩き続け、ため息をついた。「笑いの勇者って、意外と体力勝負なんだな...」
その時、突然背後から声が聞こえた。
「へっへっへ...こんなところで一人旅かい?ちょいと寂しそうじゃねぇか?」
振り返ると、そこには派手な虹色のローブを着た男が立っていた。帽子からはキノコが生えており、杖の先端にはディスコボールが付いている。見た目は完全に「お笑い芸人扮する魔法使い」だ。
「お前さんよぅ」男は指をピストルの形にして俺に向けた。「ただの腰抜け冒険者かと思ったら...なんだか只者じゃねぇオーラを感じるぜ?」
「いや、俺は...」
「待て待て!」男は俺の言葉を遮った。「当ててやろう。お前さん...実は伝説の勇者様なのか?」
「まぁ...そんなところだけど」
「やっぱりな!」男は大げさに驚いた表情を作った。「さては、お前が噂の『剣を持たない勇者』か!」
「いや、正確には...」
「分かってるって!」男は俺の肩を叩いた。「お前、きっと『魔法を使う勇者』だろ?」
「違う」俺はため息をついた。「俺は『笑いの勇者』だ」
「...はぁ?」男は一瞬固まった。「笑い...の...勇者?」
「そう」
「プッ...あはははは!」男は腹を抱えて笑い出した。「なんだそりゃ!笑いで魔王倒すつもりか?『だじゃれ・パンチ』とか『ギャグ・キック』でも繰り出すのかよ!」
「うるせぇな!」俺は思わずツッコんだ。「お前こそ何者だよ。その派手な格好は何なんだ?」
「おっと、失礼」男は涙を拭きながら立ち直った。「俺は一流の魔法使い、その名もフィル・ザ・マジシャン!」
「フィル...ザ...マジシャン?」
「そう!」フィルは誇らしげに胸を張った。「この異世界で最強、最高、最イケメンの魔法使いさ!」
「へぇ...」俺は半信半疑で彼を見た。「で、その最強の魔法使いさんは、何をしてるんだ?」
「へっへっへ...」フィルはニヤリと笑った。「実はな、俺も旅の途中でね。そこでお前と出会ったってわけさ」
「ふーん」俺は腕を組んだ。「じゃあ、お前の魔法ってのを見せてもらおうか」
「おう!見てな!」フィルは杖を振り上げた。「俺の魔法は、ただの攻撃魔法じゃねぇ。なんでもできる万能魔法なんだぜ!」
「なんでもできる...?」
「そうさ!」フィルは自信満々に言った。「例えば...これ!『スーパー・ウルトラ・メガ・ファイアボール』!」
フィルが杖を振ると...
ポン!
小さな火の玉が現れ、すぐに消えた。
「...」
「...」
「おい」俺は呆れた顔でフィルを見た。「それのどこが『スーパー』で『ウルトラ』で『メガ』なんだよ」
「あれ?」フィルは首を傾げた。「おかしいな...ちょっと待てよ」
フィルは杖を叩いたり振ったりし始めた。
「このバカ野郎が!」フィルは杖に向かって怒鳴った。「また電池切れか!?」
「電池!?」俺は目を丸くした。「魔法の杖に電池なんて使うのか!?」
「当たり前だろ!」フィルは当然のように言い返した。「最新型の魔法杖は全部電池式さ。エコだしね」
「エコって...」俺は頭を抱えた。「お前、本当に魔法使いか?」
♢♢♢♢♢♢漫才コンビ結成!♢♢♢♢♢♢
フィルは新しい電池を入れた杖を構えた。「よし!これで完璧だ。お前、俺と組まないか?」
「は?」
「いいだろ?」フィルはニヤリと笑った。「お前が笑いの勇者で、俺が魔法使い。この最強コンビで世界を笑わせながら救おうぜ!」
「いや、でも...」
「決まりだな!」フィルは俺の返事を待たずに宣言した。「これより我々は『爆笑魔法コンビ』として活動開始だ!」
「おい、勝手に決めるな!」
「いいじゃねぇか」フィルは俺の肩を叩いた。「お前一人で笑わせるより、二人でやった方が絶対面白いって!」
俺は諦めのため息をついた。「はぁ...まぁいいか。お前、本当に使える魔法あんのか?」
「任せとけって!」フィルは自信満々に言った。「俺の魔法は超多機能なんだぜ。例えば...」
フィルが杖を振ると、突然俺の足元から花が咲き始めた。
「わっ!」俺は驚いて飛び上がった。「なんだこれ!」
「へへっ」フィルは得意げに言った。「『フラワー・パワー』の魔法さ。どこでも春にできるんだぜ」
「いや、それ便利か?」俺は首を傾げた。「戦闘中に花咲かせて何すんだよ」
「決まってるだろ」フィルは真顔で言った。「敵の足元に咲かせて、花粉症で戦闘不能にするんだよ」
「そんな策略使うな!」
フィルは笑いながら次の魔法を唱えた。「じゃあ、これはどうだ?『ビッグ・バン・バーガー』!」
突然、空から巨大なハンバーガーが降ってきた。
「うわっ!」俺は慌てて避けた。「危ねぇよ!なんでハンバーガーなんだよ!」
「へへっ」フィルは得意げに言った。「敵を一瞬で押しつぶせるだろ?」
「押しつぶす前に腹減った敵が食っちまうだろ!」
フィルは考え込んだ。「そっか...じゃあ、これはどうだ?『スーパー・ソニック・サウンド』!」
フィルが杖を振ると、突然辺りに大音量の音楽が鳴り響いた。
「うわっ!うるせぇ!」俺は耳を塞いだ。「なんだこの音楽!?」
「最新のヒップホップさ!」フィルは叫んだ。「敵の耳をやられば、戦闘能力が落ちるだろ?」
「お前の魔法のセンスが音楽と同じくらいダサいぞ!」
♢♢♢♢♢♢漫才スタート♢♢♢♢♢♢
こうして俺たちは、図らずも漫才コンビを結成することになった。そして、その日のうちに近くの村で初舞台を踏むことになった。
村の広場に立つと、フィルが宣言した。
「さぁ、皆の衆!お待たせした!これより『爆笑魔法コンビ』の漫才をお楽しみください!」
村人たちは興味津々で我々を見つめていた。
「じゃあ俺から行くぜ」フィルは杖を構えた。「『マジカル・ミラクル・ミックス』!」
フィルが杖を振ると、突然空から様々な物が降ってきた。野菜に果物、そして...
「うわっ!」俺は慌てて避けた。「なんで包丁まで降ってくるんだよ!危ねぇだろ!」
「へへっ」フィルは得意げに言った。「これで材料も道具も揃ったぜ。さぁ、サラダでも作るか!」
「いや、漫才の最中にサラダ作るなよ!」俺はツッコんだ。「てか、包丁降らせるな!観客に当たったらどうすんだ!」
観客から笑い声が聞こえ始めた。
「じゃあ、次はこれだ!」フィルは再び杖を振った。「『タイム・ワープ・ワンダー』!」
突然、俺たちの周りの景色が変わり始めた。
「おい、何が起こってる!?」俺は慌てて辺りを見回した。
「へへっ」フィルは得意げに言った。「時間旅行さ。さぁ、どの時代に行きたい?」
「いや、漫才中に時間旅行すんな!」俺は頭を抱えた。「観客置いてっちまうだろ!」
観客の笑い声がさらに大きくなった。
「じゃあ、これはどうだ?」フィルは再び杖を振った。「『アニマル・トランスフォーム』!」
突然、俺の体が変形し始めた。
「うわっ!」俺は驚いて叫んだ。「なんで俺が変身するんだよ!」
俺の体は徐々にアヒルの姿に変わっていった。
「ガーガー!...じゃねぇよ!」俺はアヒルの姿でツッコんだ。「俺を元に戻せ!」
フィルは大笑いしながら言った。「いやぁ、アヒル姿で怒る奴初めて見たわ!」
観客は腹を抱えて笑っていた。
♢♢♢♢♢♢魔法使いのスキルが無駄に多機能♢♢♢♢♢♢
「おい、フィル」俺は何とか人間の姿に戻って言った。「お前の魔法、使えそうで全然使えねぇな」
「なんだと!」フィルは怒ったふりをした。「俺の魔法は最新のアップデートが入ってるんだぞ!」
「アップデート!?」俺は目を丸くした。「魔法にアップデートなんてあんのかよ!」
「当たり前だろ!」フィルは得意げに言った。「例えば、これを見ろ!『スマート・マジック・アシスタント』!」
フィルが杖を振ると、突然空中に半透明のスクリーンが現れた。
「これは...」俺は驚いて言った。「スマートフォン!?」
「そうさ!」フィルは誇らしげに言った。「最新の魔法は全部AIアシスト付きなんだ。さぁ、何か命令してみろよ」
「えーと...」俺は戸惑いながら言った。「じゃあ、天気予報」
すると、スクリーンに天気予報が表示された。しかし...
「おい」俺は呆れた顔でフィルを見た。「これ、俺たちの世界の天気じゃねぇか。東京の天気なんて知っても仕方ねぇだろ!」
「あれ?」フィルは首を傾げた。「設定がおかしいのかな...ちょっと待てよ」
フィルが設定を いじっていると、突然スクリーンが赤く点滅し始めた。
「警告:システムエラー」という文字が表示される。
「おいおい」俺は慌てて言った。「なんかヤバそうな警告出てるぞ!」
「大丈夫、大丈夫」フィルは焦りながら言った。「ちょっとリセットすれば...」
フィルが杖を振ると、突然周りの空間が歪み始めた。
「うわっ!」俺は驚いて叫んだ。「なんだこれ!?」
「やべっ」フィルは冷や汗を流しながら言った。「ちょっと魔法空間が不安定になっちゃったみたいだ」
「不安定って...」俺は不安そうに周りを見回した。「大丈夫なのか?」
「心配すんな!」フィルは強がりながら言った。「こんな時のために、緊急復旧魔法があるんだ!」
フィルが杖を振り上げ、大声で叫んだ。「『エマージェンシー・リカバリー・スーパーデラックス』!」
突然、強烈な光が辺りを包み込んだ。
「うおっ!」俺は目を覆った。「まぶし...」
光が収まると、俺たちの周りの景色が完全に変わっていた。
「あれ?」俺は驚いて辺りを見回した。「ここ...どこだ?」
周りを見渡すと、なんと俺たちは巨大なお菓子の城の中にいた。壁はチョコレート、屋根はクッキー、窓はキャンディでできている。
「おいフィル」俺は呆れた顔で言った。「お前...何やったんだ?」
フィルは困惑した表情で答えた。「さぁ...?ひょっとして、『お菓子の国』の魔法と間違えたかも...」
「間違えるなよ!」俺はツッコんだ。「緊急復旧とお菓子の国、どこが似てんだよ!」
そのとき、突然城の扉が開いた。
「誰だ!?」甲高い声が響いた。「我がお菓子王国に無断で入った者は...」
扉の向こうから現れたのは、なんとグミでできた小さな王様だった。
「...」
「...」
「ぷっ」俺は思わず吹き出した。「なんだよその姿!グミの王様かよ!」
グミ王は怒った顔で叫んだ。「無礼者!我は偉大なるお菓子王国の王だぞ!」
フィルは慌てて頭を下げた。「申し訳ございません、陛下。我々は魔法の事故で...」
「黙れ!」グミ王は叫んだ。「お前たちを厳重に処罰...」
その瞬間、グミ王の体が少しずつ溶け始めた。
「あっつぅ〜!」グミ王は悲鳴を上げた。「くそっ、また暑さで溶けちまう!」
俺とフィルは呆然とその光景を見つめていた。
「おい」俺はフィルに小声で言った。「グミの王様が溶けてるぞ。助けねぇとまずくね?」
フィルは慌てて杖を構えた。「よし、任せろ!『フリージング・ファンタジー』!」
フィルが杖を振ると、グミ王の周りに冷たい風が吹き始めた。
「お、おお...」グミ王は驚いた顔で言った。「体が...固まる...」
しかし、フィルの魔法は効きすぎてしまい、グミ王は完全に凍り付いてしまった。
「あ...」フィルは困った顔をした。「ちょっと効きすぎちゃったかな...」
「おいおい」俺は頭を抱えた。「お前、異世界の王様を冷凍庫行きにしちまったぞ!」
その瞬間、城中に警報が鳴り響いた。
「警報!警報!」甲高い声がアナウンスを始めた。「王様凍結事態発生!全軍出動せよ!」
「やべぇ」俺は焦った声で言った。「逃げるぞ、フィル!」
フィルは慌てて杖を振った。「分かった!『エスケープ・エクスプレス』!」
突然、俺たちの足元にロケットが現れ、二人を乗せたまま空高く飛び上がった。
「うわぁぁぁ!」俺は叫んだ。「こんなの聞いてねぇよ!」
お菓子の城が小さく見えるほど上昇したところで、ロケットは突然消えた。
「え?」
二人は空中で固まった。
「フィーーーーール!」俺は叫んだ。「落ちるぞォォォォ!」
フィルは慌てて杖を振った。「『ソフト・ランディング・スペシャル』!」
俺たちの体が急に軽くなり、ふわふわと地上に降り始めた。
「はぁ...」俺はホッとため息をついた。「危なかった...」
地上に着くと、俺たちは元の村の広場に戻っていた。村人たちは呆然と俺たちを見つめていた。
「あの...」村長らしき人物が恐る恐る近づいてきた。「一体何が...」
フィルは胸を張って答えた。「ご心配なく!只今お見せしたのは、我々『爆笑魔法コンビ』の最新ショーです!」
「はぁ!?」俺は目を丸くした。
しかし、突然村人たちから大きな拍手が沸き起こった。
「すごい!」「面白かった!」「まるで本当に異世界に行ったみたい!」
俺は呆気にとられた。「嘘だろ...これで喜んでるのか?」
フィルは得意げに言った。「ほらな!言った通りだろ?俺たちは最高のコンビなんだよ!」
俺はため息をつきながらも、少し笑みを浮かべた。「はぁ...まぁ、確かに退屈じゃなかったけどな」
こうして、俺とフィルの『爆笑魔法コンビ』は、予想外の大成功を収めた。しかし、これは始まりに過ぎない。果たして、この危なっかしいコンビは本当に世界を救えるのか?そして、グミの王様はどうなってしまうのか?
俺たちの笑いと魔法の大冒険は、まだまだ続く...
...to be continued.