第3話:スライム相手に漫才!
「よっしゃー!次はどんな冒険が待ってるんだ?」
俺は意気揚々と次の村に向かって歩いていた。そんな時、突然目の前に青いプルプルした物体が現れた。
「うわっ!な、なんだこれ!?」
目の前にいたのは、まさに異世界の代名詞とも言える存在。そう、スライムだ。
「おいおい、マジかよ...」俺は目を擦りながら呟いた。「本当にスライムなのか?それとも、俺の脳みそが異世界にやられて、プリンが勝手に動いて見えてるのか?」
スライムは相変わらずプルプルと揺れているだけだ。
「ちょっと待てよ...」俺は首を傾げた。「このスライム、なんか可愛くねぇか?まるでプルプルしたマスコットキャラみたいじゃん」
スライムは全然攻撃してこない。ただプルプルとその場で跳ねているだけだ。
「おい、お前!」俺はスライムに声をかけた。「お前、本当にモンスターか?それとも、どっかの遊園地のキャラクターが道に迷ったのか?」
当然、スライムからの返事はない。
「そうか、無視かぁ...」俺は大げさにため息をついた。「まあ、俺だって前の会社じゃ上司に無視されまくってたからな。お前の気持ちはよくわかるよ」
♢♢♢♢♢♢ネタ:「スライムの感情観察日記」♢♢♢♢♢♢
俺はスライムをじっくり観察することにした。
「えーっと、観察日記、スタート!」俺は空中に見えないノートを広げるジェスチャーをした。「被験者:謎のプルプル生物、通称スライムくん。現在の状態:激しくプルプル」
スライムは相変わらずプルプルしている。
「おいおい、これはもしかして...」俺は目を細めた。「ストレスで震えてるのか?異世界のモンスターにもノルマとかあんのか?」
スライムの震えが少し激しくなった気がする。
「マジか!?」俺は驚いたふりをした。「お前、ノルマ達成できなくて震えてんの?『今月の人間襲撃ノルマ、達成できませんでした...』みたいな?」
スライムはさらに激しく震え始めた。
「うわっ、まさか当たっちゃった?」俺は目を見開いた。「お前、本当にストレス溜まってんの?このままじゃ分裂しちゃうぞ!」
スライムは一瞬止まったかと思うと、さらに激しく震え始めた。
「おいおい、冗談で言ったのに...」俺は慌てて手を振った。「本当に分裂しそうな顔してんじゃねぇか!大丈夫か、お前!?」
スライムは震えながら、少しずつ俺に近づいてきた。
「え?なに?」俺は首を傾げた。「もしかして...俺に相談したいのか?」
♢♢♢♢♢♢スライムとの漫才開始♢♢♢♢♢♢
「よし、分かった!」俺は拳を握りしめた。「お前のストレス、笑いで吹っ飛ばしてやる!俺たちで漫才をやろう!」
スライムは相変わらず無言だが、なんとなく乗り気な感じがする。
「えー、これより佐藤・スライムコンビによる漫才を開始します!」俺は大げさに宣言した。「まずは自己紹介からだ。俺は佐藤、こっちが相方のスライムくん」
スライムはプルプルと跳ねた。
「おっと、スライムくんが何か言いたいそうです。どうぞ!」
当然、スライムは何も言わない。
「...」
「...」
「おい、何も言わねぇのかよ!」俺は大げさにツッコんだ。「お前、そこは『よろしくお願いします』って言うとこだろ!」
スライムは相変わらずプルプル。
「あ、そっか」俺は手のひらで頭を叩いた。「お前、口ないんだった。...ってか、目も鼻も耳もないけど、俺の言葉どうやって理解してんだ?」
スライムは大きくプルプルと跳ねた。
「おお!やっと反応したな!」俺は調子に乗って畳みかける。「で、スライムくん。普段は何してんの?跳ねてるだけ?それとも、何か特技でもあんの?」
スライムは無言のまま、ゆっくりと前後に揺れた。
「なるほど、なるほど」俺は深く頷いた。「つまり、お前の特技は...『敵を笑わせて油断させてる間に、プルプル震えて自分を増殖させる』...ってことか!まさに二段構えの攻撃だな!」
スライムは一瞬止まった後、激しく跳ね始めた。
「おっと!これは否定の激しい跳ね方だな!」俺は笑いながら言った。「じゃあ、どんな特技なんだよ!言ってみろよ!」
スライムは相変わらず跳ねているだけだ。
「また無視かよ!」俺は大げさに額に手を当てた。「お前、そこはツッコむとこだろ!『特技なんてねぇよ!』とか言えよ!」
♢♢♢♢♢♢笑いでスライムを退散させる♢♢♢♢♢♢
俺がツッコミを入れると、スライムは突然プルプルと大きく跳ね上がった。
「おお!やっと本気出したか!」俺は興奮気味に叫んだ。「これがお前の笑いの表現なのか?」
スライムはさらに激しく跳ね回り始めた。
「待て待て!」俺は慌てて手を振った。「そんなに跳ね回ったら、本当に分裂しちゃうぞ!ああ、もうすぐだ、分裂するぞ!そしたら二人目の相方ができるな!」
スライムはぷるんと一回大きく跳ねた後、少し落ち着いた様子になった。
「おっ、落ち着いたか?」俺はホッとした表情を浮かべた。「よかった。これ以上相方が増えたら、漫才のギャラ分配が大変になるところだったぜ」
スライムはゆっくりと揺れながら、少しずつ後退し始めた。
「あれ?もう帰っちゃうのか?」俺は少し寂しそうに言った。「でもさ、スライムくん。お前みたいなやつがいなかったら、この異世界は成り立たないんだぜ。お前は大切な存在なんだ...ただし!」
俺は人差し指を立てて、スライムに向けた。
「分裂だけはやめろよ!スライムが増えすぎると、こっちも大変なんだからさ!」
スライムは最後に大きくプルプルと震えた後、ゆっくりと森の中へ消えていった。
「よし、これで一件落着だな」俺は満足げに腕を組んだ。「笑いで世界を救うって、こういうことか!」
♢♢♢♢♢♢次なる挑戦へ♢♢♢♢♢♢
スライムとの予想外の漫才(?)を終えた俺は、改めて自分の力を実感した。
「まさか、本当にスライムと漫才できるとは...」俺は呟きながら、次の目的地に向かって歩き始めた。「これで確信したぜ。笑いの力は本物だ。モンスターだって笑わせて退散させられるんだから」
ふと、俺は立ち止まった。
「でも待てよ...」俺は首をかしげた。「さっきのスライム、本当に笑ってたのか?それとも、ただ俺のダジャレにイライラして逃げただけか?」
そう考えると、少し不安になってきた。でも、すぐにその不安を振り払った。
「いやいや、気にすることはない!」俺は自分に言い聞かせるように叫んだ。「たとえイライラだったとしても、何かしらの感情を引き出せたってことじゃないか。笑いの勇者として、これは大きな一歩だぜ!」
そう、まだまだ世界中に笑いを取り戻すべき人々やモンスターがいる。俺の笑いの力で、もっと多くの存在を救ってみせる。
「さあ、次はどんなモンスターが現れるかな?」俺は空を見上げながら呟いた。「ゴブリン?オーク?はたまた、ドラゴン?...まさか、魔王様とか?」
俺は思わず笑ってしまった。
「どんなやつが来ても、俺のギャグで笑わせてやるぜ!」
そう心に誓い、俺は次なる笑いの冒険へと歩み出した。果たして、この先にはどんな"笑い"が待っているのだろうか?
...to be continued.