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飛鳥時代の新スポーツ・・・(1)

セリフの殆どない解説回です。

次話は賑やかにしたい。


 猪騒動から三日後。

 ケガをしたはずの私がつるつるすべすべのお肌をしていたのでは不振がられると思ったので、麻の布で包帯みたく右腕をグルグルと巻きました。

 ケガをしていない右手に包帯ってまるで……


『夜のとばりが降りる時、狼の咆哮と供に漆黒の闇もまた目覚める。

 右腕に宿りし秘められた力が我を解放せよと声にならぬ声をあげる。

 都会の片隅に咲く花の様な小さな命を守るためオレは戦うのだ。

 罵詈雑言にも似た魑魅魍魎の雄叫びだけがオレを正気へと戻す。

 死して尚、この世に留まる怨霊共が叫んでいる。

 抵抗なんて無駄だ。

 意味など無い。

 命が惜しくば去れ。

 世の中の誰も知らぬまま、只独りオレは戦う』


 ……なんて痛い台詞ポエムのたまう厨二病患者っぽい感じです。

 かぐレンジャーメンバーの中では御主人みうしクンが年齢的に当てはまりそう。

 それはそうと御主人みうしクン元気かな?

 御主人みうしクンは石綿の鉱石を求めて筑紫の国(九州)へと行っているそうです。

 私が学校で習った印象では、地下資源は九州か北海道、東北地方に多いという感じです。

 現代でも、戦後の日本で黒いダイヤと呼ばれた石炭を掘って生活していた坑夫達が夕張とか筑豊とか軍艦島に沢山いたとテレビで見た覚えがあります。

 なので九州で見つかる可能性は低くないかと思います。

 早く見つかるといいね。でも『火鼠の衣』を見つけたからといって求婚に応じる訳ではないけど、


【天の声】まだ求婚されていないけどな。


 ◇◇◇◇◇


 今年も八十女やおめさんが二人目の子供を出産したり、皇子が突然やってきたり、秋田様せくはらまおうの何処が良かったのかわかりませんが萬田先生と夫婦となり、御主人みうしクンが九州のお星様になったり……と色々とあるうちに農業試験場では稲の収穫が始まりました。

 これまで収穫の時は中臣様も御主人みうしクンのお父様もお見えになってましたが、今年は来られないみたいです。

 中臣様は皇子と行動を共にしていて離れる事が出来ないからだと思いますが、倉梯様は何故なのか理由は分かりません。

 特段見るべきものがないと判断されたのか、政務がお忙しいからなのか、中臣様と同様に皇子様に付き添っているからなのか?

 多分二番目の様な気がしますが……。


 今では堆肥は当たり前となっていて、増産のための試みを始めた四年前に比べて約二倍の収穫量を達成しました。

 昨年こそ水害で大損害を受けましたが、農業技術は着実に進歩しています。

 このままもっと……といきたいところですが、もうそろそろ頭打ちになりそうです。

 堆肥にしても量も効果も限られていますし、虫や病気の被害は依然としてあります。

 農薬代わりに園芸用品でおなじみの竹炭液の希釈液をかけたりしましたが、焼石に水でした。


 という事で、いよいよ今年から治水対策に乗り出す事にしました。

 昨年大被害を受けた水害を教訓にして、巨大なため池の工事を開始しました。

 ため池は一歩間違えると決壊して水害をもたらすので、調整池としての役割を持たせる予定です。

 治水は現代でも重機を使って数年がかりで行う工事プロジェクトです。忌部氏の伝手を頼ってみやこ専門家スペシャリストを招いて、とりあえず年単位の計画で進める事にしました。

 ちなみにその専門家さんは古墳作りのスペシャリストでもあります。

 地域一体の有力者が集まって工事を進めています。出資者おサイフはお爺さん。

 後ろ盾に左大臣あべし内臣なかとみしがいますので、皆さん積極的に協力してくれます。


 そしてもう一つ。

 これまでは種籾の選別だけしかやっておりませんでしたが、やはり品種改良をしないとこれ以上の収穫は望めなくなってきたと考えています。

 これまでは私達と、中臣氏の舎人さんと、倉梯氏の舎人さんとで農業改革を進めてきました。

 新たな試みとしてそれぞれ地方のお米の種籾を集めて、特徴を見極めて交配実験をする事を提案してみました。

 しかし舎人さん達は植物の受粉すらも知らなかったらしく、何のことやらポッカーンです。

「稲に花なんてあるのか?」とか、

「稲が実をつけるのと、花と何の関係があるのだ?」とか、

「それが収穫を増やすのにどうつながるのだ?」とか、

 殆ど嘘つき扱いです。


 仕方がありませんので、私が(苦手な)理科の先生となって、

「オシベはこれです」

「メシベがこれです」

「オシベから出る花粉をメシベが受粉するとー」

 という感じで、数えで十一歳、現代ならば小学三年生の少女の私が大人の男性達に念入りに徹底的に教えました。

 いやん、まいっちんぐ♪


 収穫は米だけではなく、大豆、ナス、カブ、など様々です。

 しかし地域が発展すると招かれざる客がやって来ます。一つは猪などの害獣。

 こちらは罠とか仕掛けて捕まった猪は食糧となります。


 そしてもう一つが流民です。

 不法占拠するだけではなく、丹精込めて育てた農作物を盗んでいきます。

 もちろんこちらも黙っていません。実力行使でとっ捕まえます。

 おかげでピッカリ軍団の第一期生が刑期満了で軍団を卒業しているというのに、軍団は日に日に増えています。

 男は皆んなピッカリにして、ため池工事です。

 おかげで工事が捗っていますが、全員が全員、言う事を聞く訳ではありません。

 四年前に捕まえた元・山賊さん達には、刑期を短縮する約束で教育係をお願いしています。きっと優しく丁寧に力ずくで教育している事でしょう。


 ◇◇◇◇◇


 こうやって充実した農家生活ワークライフを送っているのですが、最近自分がブラック企業の親玉になっているのではないかと心配になってきました。

 現代の価値観で考えてみますと、領民の皆さんもピッカリ軍団も報酬の割に見合わない労働を強いられている様な環境です。

 自分達で食料を作らなければ生きていけないから仕方がありませんが、せめて娯楽くらいは提供してあげたいと思う様になりました。


 この時代の高貴な方の趣味は詩や音楽などの文化的な活動。

 そして中臣様が好きだと言われている蹴鞠などの運動スポーツです。

 蹴鞠を使ってサッカーをやるのも面白そうですが、鞠はとても高価です。

 ゴムがないこの時代に弾むボールは手に入らないから……羽。

 バトミントン、じゃなくて羽子板なら猪名部さんにお願いすれば板を用意して貰えそうな気がします。

 玉は無患子むくろじの実を使います。

 最近、無患子むくろじの実の皮を石鹸代わりに使っているので家には無患子むくろじの実が沢山あります。

 でも何か……盛り上がりに欠けそうな気がします。

 板もたくさん必要になりますし。

 うーん。


 ポクポクポクポク……チーン!


 そうだ! 羽根突きの柔らかいボールでサッカーをやりましょう!

 セパタクローみたいに羽付きボールを蹴って、ゴール目掛けてシュート!

 昔のアクション映画でそんな場面シーンを観た覚えがあります。架空のスポーツ(たぶん)と分かっていても面白かった記憶があります。

 (作者註:主人公が言っている映画とは若き日のジャッキー・チェン主演の「ドラゴンロード」。架空のスポーツと思ってますが、実は毽子ジェンズと言われる中国や台湾で人気の伝統的なスポーツです。映画ではサッカーの様に競っていますが、毽子ジェンズは足で行うバトミントンに近い競技です。蹴鞠の様に如何に羽を落とさずに蹴り合うか楽しむことが出来ます。)


 早速、縫部さんに布を使ったボールの作製の相談に行きました。

 アドバイザーとして麻呂クンについて来て貰いましょう。

 出来たボールを蹴る役ですね。

 真人クンも一緒です。君もたまには体を動かしなさい!


 しかし、この娯楽のない時代に民衆が楽しめる娯楽スポーツがどれだけ影響があるのかを、私は想像できていませんでした。



(つづきます)


作者渾身の厨二ポエムです。

3時間掛かりました。

今夜、作者の黒歴史に新たな1ページが加わりました。


ネットからそれらしいセリフをコピペすれば楽でしょうけど、ネットを一切見ずに全部自力で書き上げました。

その分、落ち込みも激しいです。

明日までに立ち直れるか………?

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