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【閑話】かぐや姫の結婚観

少し煮詰まってしまったので、気分転換に間話を差し込みました。

 只今、不破道(※関ヶ原)です。

 難波での救出作戦を終えて、御行クンと共に美濃へ戻る道中です。

 テクテクと歩きながら、私は考えました。


 難波での救出作戦の結果、真人クンにはフラれて、麻呂クンには逃げられました。

 そして大きくなったら私を娶ると言った建クンは1400年後の世界(げんだい)へと旅立ちました。

 御主人(みうし)君は衣通ちゃんとラブラブで、子供も生まれて幸せ家族(ファミリー)そのものです。

 つまり『竹取物語』に出てくる五人の求婚者は残る一人。

 横にいる御行クンなのですが……。


 ないわー。


 この残念なイケメン君は、私の恋愛の対象にはなる気配をミジンコも感じません。

 第一印象が悪かったというのもありますが、あまりに暑苦しくて夫婦としてやっていける自信がありません。

 もっとも古代基準の結婚観というのは恋愛は二の次です。

 例えば大海人皇子様や鸕野皇女様に、

『大伴御行よ、そこな貧相な喪女が気の毒でならん。

 どうか娶ってくれぬかや?』

 と命令されれば断るのは難しいかも知れません。

 高貴な方々は家柄重視で、政略結婚が当たり前(デフォ)ですから。

 しかも御行クンは未来の大伴氏の氏上です。

 本来ならば玉の輿(有料物件)です。


 改心した御行クンは悪い子ではありません。

 ただ私の好みでは無いだけです。

 もし御行クンが私に求婚しようモノなら、

『どうしても私を娶りたいのなら、龍の首の玉を持ってきて』

 と無理難題を押し付けるかも知れません。

 ポチ属性の御行クンのことだから、本当に玉を探しに行って『竹取物語(げんさく)』と通りの筋書きをなぞるかも知れません。


 一応いっておきますが、私とて恋愛はしたいですよ。

 とはいえ、現代で恋人、高志との死別を乗り越えてまで一緒になりたい男性なんて、一生出会えないような気がします。

 高志が建クンの転生だと知ってからはますますその気持ちは強くなっています。

 そう考えると、今回のミッションが終わったら月読尊様にお願いして、高志の転生先に送って貰うのが一番じゃないかな?

 少なくとも御行クン(残りモノ)じゃ無い様な気がします。


 飛鳥時代は高貴な人も平民も一夫多妻制なので、女性は甲斐性のある男性に集中します。

 大海人皇子なんか奥さんが十人くらいいるそうです。

 平民の場合でも、大抵は財力のある人に女性が囲われます。

 まるでサル山のボス猿か、海馬(トド)の群れみたいです。

 しかし、財力という面で考えてみると、私以上のお金持ちはそうは居ません。

 何せ竹藪に入れば不労働収入が得られるご身分です。

 そう考えますと、私がボス猿(♀)になるという物語(ストーリー)だってあり得るはずです。

竹取物語(げんさく)』だって日本最古の逆ハーレムストーリーですから。

 現代でしたら、リアル婚活サバイバル番組としてネット配信されるかも知れません。

 でなければ、畿内かんさいのテレビ局で五人の若い男性がかぐや姫を巡ってラブをアタックするとか?


【天の声】超難問!!


 それにしてもこの世界にきて二十年以上経っているというのに、未だに求婚がゼロ。

 もしかして私自身に何か問題があるの……?

 よくよく考えてみれば……。

 私自身はかぐや姫ですが、中身と外見は令和のアラサーOLです。

 悲しいことに私の年齢が現代に居た時の年齢に近づけば近づくほど、姿形が現代の私に似通ってきています。

 令和で喪女だった私が、古代に来ても喪女なのはむしろ当たり前なのかも知れません。

 きんがあって、そこそこの身分であるのに求婚すらされないなんて、何か欠陥があるの?


 以前、中臣様からは醜女(しこめ)では無いとお褒めの言葉を頂きました(※)から、古代基準で醜女では無いはず。

 (※第112話『トネリトナレ?』)

 もしかしたらリップサービスかも知れませんが……。

 古代基準の美意識からすると、ふくよか系がモテるみたいです。

 斉明帝もふくよか系で、昔はモテていたと仰ってました。

 ……太るか?


 胸の大きさは、この時代では平均だと思います。

 光の玉(チート)を使って、クーパー靭帯をリフレッシュしているおかげで十代のお胸をキープしております。

 AAカップの萬田様ですら、おっぱい星人(死語)の秋田様をゲット出来たのだから、これが原因では無いと思います。

 ……多分、いや……もしかして?


「ねえねえ、御行クン。

 一つ聞いていいかな?」


「はい、何でしょう?」


「私の胸って変?」


「む、む、む、胸とは、胸の事でしょうか?」


「そう、胸。おっぱいの事です」


「ち、ち、ち、乳!

 か、か、かぐや様のは大変宜しいかと思います」


「本当に?」


「嘘は申しておりません。

 一度見た事がありますが、大変良いモノでした」


 そう言えば、玄界灘で助けられた時、気を失ってびしょ濡れだった私を着替えてさせてくれたのは御行クンでした。

 古代基準でも、私のお胸は悪くは無いさそうです。

 でも八十女(やおめ)さんの様なダイナマイトボデーじゃ無いからなぁ。

 ……やっぱ太るか?


 他に心当たりと言えば……御行クンなら知っているかな?


「ねえねえ、御行クン。

 一つ聞いていいかな?」


「はい、何でしょう?」


「私って寝ている時、イビキをかいている?」


「い、いえ! かぐや様の寝息はとても麗しい寝息です。

 うっとりしてしまいそうになるくらいです」


 うっとりって……一体どんな寝息なの?

 他人の寝息にうっとりする人っているの?

 芸能人(アイドル)じゃあるまいし、何か嘘臭いですね。

 イビキについては要検証ですね。

 あと、御行クンのそばで寝るのは今後控えましょう。


 私がモテない理由……何だろう?

 もしかして。


「ねえねえ、御行クン。

 一つ聞いていいかな?」


「はい、何でしょう?」


「私って臭う?」


「か、かぐや様からは良い香りしか致しません。

 そばにいる時もいつまでも嗅いでいたいくらいです!」


 そーかなー。

 この前も堆肥作りのため牛のウンコを拾い集めていたはずだけど……まさか?


「ねえねえ、御行クン。

 一つ聞いていいかな?」


「はい、何でしょう?」


「私のオナラって臭い?」


「お、お、お、オナラなんて、かぐや様がするはずがありません。

 もししたとしても花の様な香しい香りに違いありません!」


「御行クンってば……、ひょっとして変態さん(スカトロマニア)?」


「へ、変態!?

 私は正常(ノーマル)です!

 ごく普通に女子(おなご)が好きで、

 ごく普通に女子の乳が好きで、

 ごく普通に女子とお付き合いしたいごく普通の男子(おのこ)です!」


「御行クン、好みは人それぞれだから、隠さなくても良いからね。

 正直に言っても、私は引かないから」


 距離はおくけど……。


「私は正直に申しております!」


 そうなのかなぁ?

 かのモーツァルトもそっち系の人だったのは有名だし、御行クンがそうゆう性癖であっても驚くべきでは無いかも知れませんね。

 次からは堆肥作りは御行クンに任せる事にしましょう。


 あまり根掘り葉掘り聞くのも気の毒なのでやめておくけど、もし糞尿愛好家のケがある御行クンが正常(ノーマル)という事は、私が古代基準で異常(マブノーマル)って事?

 もしかして古代人には私の薄い書マニア(二次元が好き)なのは理解されないのかな?

 そう言えば、大量の薄い書を後宮に置いたままだけど、どうなったのかな?

 蛮書として燃やされていたら悲しいわ。


 どうやら今の私に飛鳥時代の人との結婚は無理っぽそうだし、平和になったらまたオタ活を再開しようっと。


【天の声】御行クンに幸在らん事を。



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