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かぐや@岐阜

岐阜の皆さん、ごめんなさい。

ディするつもりは無いのですが……。


参考までに岐阜データです。

面積の広い都道府県ランキング第7位、隣の愛知県の約2倍。

県別平均所得ランキングは20位前後で真ん中よりやや上。

しかし岐阜の代名詞とも言えるスーパーマーケット、バローのおかげで県民の生活満足度(※ 都道府県「幸福度」ランキング2024、第36位)は高い……かも知れない。

ちなみにバローHDは全国のスーパーマーケットランキングで第5位でありますが、別格のセブン&アイHDとイオングループを除いたランキングでは第3位。

関西を代表するイズミヤや、埼玉を中心に関東一円に根強い人気を誇るヤオコーを上回ります。

今一番勢いのある小売業者と言っても過言ではありません。


(前話のあらすじ)ようやく辿り着いた目的の地、美濃。そこで宇麻乃から預かった木簡に書かれた人物、村国男依(むらくにのおより)との接触に成功したのだった。



 暗闇の中、私は不意に目覚めました。

 イケナイ!!

 前後不覚に寝てしまいました。

 長く続く逃亡生活で、決して深く眠らないという習性が身についてしまいました。

 御行クンと合流してからはだいぶ緩和されましたが、まだまだ気の休まる睡眠というのは取れません。

 世に言う脱獄犯が皆こんな生活を送っていたら、危険認知が麻痺するかもしくは精神が擦り減ってしまい自首するかのどちらかでしょう。


 目が覚めると、寝ぼける暇もなく一気に意識を覚醒させます。

 そして就寝する直前の出来事を頭の中で復習(リピート)します。

 まず、私が目的地に着いたという事。

 そして、今いる場所がそこなのだと認識しました。


 ……ふぅ。

 ようやく緊張を緩めます。


 本当にここは美濃、現代でいう岐阜なのですね。

 岐阜……ぎふ……ギフ……ギフミーチョコレート。

 巨大チョコレートのモニュメントは高槻でしたっけ?


 何故か岐阜の情報が頭に浮かんできません。

 自分の足で歩いてみて分かった事はとても広い事。

 おそらくは美濃の西端から東端まで歩いたと思います。

 これに加えて北側には飛騨国があり、美濃と飛騨を合わせて出来たのが岐阜のはず。

 なのに足を踏み入れるまで、岐阜の広さに気が付きません。


 新幹線に乗っても、特別な用事がない限り岐阜羽島は素通りです。

 通り抜ける他県民にとって岐阜の存在感はもの凄く小さいのでしょう。

 岐阜羽島駅を通り抜ける時に、伊達政宗の兜の様なモニュメント(?)が気になるくらいです。


【天の声】あれはソーラーアーク。元々は旧・サンヨー社が建てた巨大建造物で、性能データを捏造したため回収した発電パネルを用いて造られた自戒の建物である。所有者が変わり、もうすぐ取り壊されるという噂だ。


 で、ここは岐阜、美濃国です。

 いよいよ本作も東海地方へ進出です。

 東海地方の皆さん、よろしくお願いします。


 それにしましても、宇麻乃様はどうして村国男依様をご紹介したのでしょう?

 見た感じでは、美濃において重要な地位(ポスト)(つい)ている様には見えません。

 しかしちょっとした会話から、頭の回転の速さが伺えます。

 となると村国様の能力を鑑みての事?

 とは言え、私自身が厄介ごとの塊の様なものです。

 受け入れられるのかどうか?

 正直に話して良いのか?

 とても悩んでいます。

 まさか皇兄が神から未来視の力を授かって憎っくき私を探している、何て言っても信じないでしょう。

 逆に信じてしまったら追い出すでしょう。


 そもそも私自身が1400年もの未来からやって来た異世界人みたいな者です。

 どうしても隠し事は出来てしまうのです。

 何処まで話し、何を話さないのか、キッチリ線引きをすべきですね。

 理想は全部話した上で、ご協力を得られる事なんですけど……。


 考えがまとまりません。

 多分、私の脳はまだ疲れているのでしょう。

 明日は本当の意味での闘いです。

 これに勝たなければ本戦には進めないのです。

 私は自分に向けて睡眠の質向上の光の玉(乳酸菌)を当てて深い眠りにつきました。


 ……ところで、本戦っ何?


 ◇◇◇◇◇


 薄明るい朝焼けの朝、再び私は目覚めました。

 何だか脳みそがジンジンするような感じがします。

 これまで血流が滞っていた脳みそに酸素が送り込まれてきた感じです。

 正座した後の足の痺れみたいなもの?


 交渉はすでに始まっております。

 客人が何時までも惰眠を貪るようでは信用はガタ落ちです。

 シャキッと起きて、シャキッとしましょう。

 後宮に居た時みたいに朝の支度を始めました。

 村国様が寝ていらしたら迷惑なので、静かに。


 身支度が終わり、顔を洗うため外へ出ましたら、村国様は既に外に居りました。


「あ、おはようございます。

 騒がしかったでしょうか?」


「いや、私も今起きたところだよ。

 かぐやさん……だったね。

 かぐやさんも朝は早いんだ」


「そうですね。

 長く後宮に居りましたし、子供の世話をしておりましたので、どうしても朝が早くなってしまいます。

 国許に居た時も周りが起きている中、眠っているのは居心地が悪かったですし」


「ほう、国は何処かな?」


「飛鳥京から歩いて一日ほど離れた讃岐評さぬきこおりです」


「ならば美濃は初めてかな?」


「はい、やはり飛鳥とは違いますね。

 家の造りとか、人の顔立ちも違って見えます」


「ふーん、よく見ているね。

 この辺りを治める各牟勝かがむすぐり殿は百済の流れをくむ渡来人なんだよ。

 この瘦せた土地に焼き物の技術を伝えた方だった」


 ※作者注:5世紀ころ朝鮮半島経由で須恵器の技術が伝えられ、西濃の美濃須衛窯を経由して、飛鳥時代に東濃地方へ伝わりました。これが美濃焼の始まり、という説があります。


「この辺りはあまり作物は採れないのですか?」


「ああ、水に困ることは少ないのだけど、土がね。

 この黒い土の上では稲の育ち方が良くないんだ」


 黒い土……富士山の火山灰みたいなものなのかな?


「おそらくですが、土の中にあるべき滋養が足りていないのかも知れません。

 讃岐ではたい肥を加えることで、実りを増やしておりました」


「へぇ、君は稲作にも詳しいのかな?」


「詳しいという訳では御座いませんが、讃岐では領民の生活を少しでも良くしようと色々と試しておりました。

 周辺に比べて2倍以上の収穫がありましたから、効果はあったと思います」


「それは面白いね。

 是非、たい肥……とやらを教えてくれないか?」


「ええ、それは構いません。

 しかしそれぞれの土地に適した量や種類などもありますので、万能という訳ではありません。

 数年、もしくは十数年を費やす覚悟をもって取り組む必要が御座います」


「それは面白すぎるね。

 是非、試してみよう」


「ええ、それは構いませんが……私はここに居ても良いのですか?」


「ん? 君はここに来るためにここへ来たのだろう?

 ならば問題あるまい」


「ええ、おかしな言い回しですがその通りです」


「まあ、事情とかいろいろあるだろうけど、まずは君の人となりを見極めてから話を聞こうと思う。

 今はまだ私も君も全くの赤の他人、見知らぬ同士だ。

 宇麻乃殿の言伝から察するに信頼すべき間柄でないと話せないことをしに来たのだろう?

 まずはそれからにしよう」


「ええ、その通りです。

 ただ一つだけお伺いしたいのですが……私がここに居てご迷惑ではないのですか?」


「何で?

 たった今、君は私の為になってくれたじゃないか。

 これからも期待しているから」


「ええ、精一杯ご信頼を得られますよう頑張ります」


「いやいや、頑張らなくていい。

 頑張らないありのままの君がどうであるかを知りたいから。

 それとも頑張って私に色仕掛けでもしてくれるのかな?」


「そんな滅相もありません。

 私のような貧相な女子に女子としての価値は御座いません。

 牛馬とお思い下さい」


「貧相? 牛馬?

 ……何となくだけど、君の考え方というものが見えてきた様な気がするよ」


「私の、ですか?」


 私の考えというのは……、何でしょう?

 面白みのない地味女で、実は食いしん坊で薄い書が好き?

 やらかし体質で、キレると何をするのか分からない?


 全然良い印象が思い浮かびません。


「とりあえず、朝餉にしよう。

 手伝ってくれるかな?」


「ええ、お任せ下されば私が作ります」


「それは助かるね。

 じゃあお願いするよ」


 何故か分かりませんが、済し崩しの内に村国様のお屋敷にご厄介になる運びになりました。

 何となく悪い人では無さそうですが、頼れる人であるかは今のところさっぱりです。


 とりあえず追い出されないくらいに美味しい朝ご飯を作りましょう♪


解説の方が長い……。( ^ω^)

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