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【幕間】定期便でのやり取り

飛鳥時代版LINEのやり取りです。

マルハラ禁止?

(※今回の話は、難波のかぐや⇄摂津の馬来田、難波のかぐや⇄飛鳥の吹負、の毎日の定期便のやり取りをLINE風(?)にまとめました)


 吹負

『かぐや殿、宮に近い高級宮人向けの用地は押さえた

 中級宮人向けには二区画を全て押さえたが数が三つ余る

 全て押さえるか?

 下級宮人向けは虫食い状態でしか抑えられないがそれで良いか?

 屋敷の詳細は別の木簡にそれぞれ記載したので、確認されたし』


 かぐや

『吹負様、ありがとう御座います

 中級宮人区画は全て押さえて下さい

 下級宮人向けは虫食いで構いません

 屋敷の状態はあまり芳しくない様子なので、かなり手直しが必要と思われます

 明後日、飛鳥へと参りまして修繕の方向性を取り決めます

 馬来田様への建材の手配依頼は然る後に始めます

 それまでに人足10人、二ヶ月分の食料のご手配をお願いします

 仮住まいは別途ご用意願います』


 かぐや

『馬来田様、建材の確保の状況は如何でしょうか?

 建材の確保の後の加工につきましては暫しお待ち下さい

 修繕の方針を決めた後に、加工の仕様(フォーマット)を送ります』


 馬来田

『かぐや殿、建材の確保はあまり芳しく無い

 今の所、上級宮人の屋敷一件で尽きてしまう

 丹波に木材の備蓄(ストック)があると聞いたので、交渉に向かわせる

 加工の仕様については決定した物から出来るだけ早めに知らせて欲しい』


 吹負

『かぐや殿、明日来るとの事なので詳細はその時に話そう

 部民は相当数押さえた

 食料はまずは10日分を確保した

 十日後までに追加分が入る予定だ

 (みやこ)の外れに部民らの仮住まいとなる屋敷を用意できた

 当面、ここが前線基地となるだろう

 待っている』


 かぐや

『吹負様、ありがとうございます

 詳細は明日

 畳と障子という建材の見本と共に参ります

 畳の大きさを統一して、畳の大きさを基準にした間取りに統一する予定なので、それが可能であるかご確認下さい』


 かぐや

『馬来田様、交渉宜しくお願いします

 柱の太さ、板の幅、長さを全て尺数を統一するつもりでおります

 四分の一歩(いちぶ)(※半畳)の広さの畳を基準として、部屋の縦横を全て畳の倍数に揃えます

 詳細は飛鳥にて吹負様を交えて担当者と話し合います

 明日は飛鳥に向かうので連絡は二日間途絶えますが、急ぎの場合は吹負様にご連絡下さい」


 ……二日後


 吹負

『かぐや殿、この便りが着く頃には難波に戻っているであろう

 非常に有意義な話し合いであった

 取り決めた方針に従い、準備を進めていく

 改めて礼を言う』


 かぐや

『馬来田様、ご連絡が途絶えて申し訳御座いません

 吹負様と屋敷の改修のご担当者と話し合い以下の様に取り決めました

 記

 ・改修する屋敷は全て外観、間取りを同じにする

 ・区画全てを同じ仕様の建物にする事で街並みの外観に統一感を与えて、入居者の満足度を上げたい

 ・土地に付随した上物(ちゅうこ)は天井、屋根、外壁を取り外し骨組みだけにする

 ・取り外した木材は再加工して貼り直す

 ・外壁は全て杉板の表面を炎で焦がした焼杉板にする

 ・室内の建具は障子を基調とし、全て幅三尺一寸、高さ六尺とする

 ・全ての家屋に畳敷きの間を用意するが、高級官人で三部屋、中級官人で二部屋、下級官人で人部屋が用意できる畳は尽きる

 ・畳の増産が可能か問い合わせる(かぐや担当)

 ・屋根は全て板葺とし、柿渋で防水加工を施す

 ・屋根板の加工は全て馬来田様の元でお願いします

 以上』


 馬来田

『かぐや殿、了解した

 屋根板の件、承った

 数が相当数になるが出来上がり次第随時飛鳥へと搬入する

 丹波からはある程度纏まった数の木材が調達出来そうだと連絡が来た

 数が分かったら知らせる』


 吹負

『まずは高級官人の二棟の解体が終わった

 今の所、天候に恵まれており遅延はない

 しかし、二棟の内の一棟で柱が数本腐っていたのが分かったため、改修に時間が掛かりそうだ

 人足が不足しそうなので、追加で補充した

 現在15名、じきに20名を超えるだろう

 追伸.金須の手配、(かたじけな)かった』


 かぐや

『吹負様、本日使いが来て準備する屋敷の数が増えるとの連絡がありました

 中級官人向け住宅が二棟追加、下級官人向け住宅が五棟追加です

 この先下級官人向けに押さえる屋敷が増える可能性があります

 宜しくお願いします』


 かぐや

『馬来田様、建材の確保は如何でしょう?

 丹比の者に別途頼んでいた荷車が十台出来ましたので、其方へ持って行かせます

 三日後までには届くと思われます

 飛鳥への運送にお役立て下さい

 屋根板の数が三棟分追加となりました

 宜しくお願いします』


 ……更に五日後


 吹負

『かぐや殿、修繕について建材の補充体制が整ってきた故、中級官人向け住宅に取り掛かかり始めた

 予想通り人足が不足し始めた

 食料の減りも早いので、兵站担当の者に近江へ飛んで貰った

 かぐや殿の故郷である讃岐にも協力頂けないだろうか?

 宜しく頼む』


 馬来田

『かぐや殿、済まない

 荷車が届いた

 有り難く使わせて頂く

 丹波からは予想したほどの建材が集まらなかった

 よく聞けば、乾燥が進んでいない生木の様な木材ばかりだった様だ

 どうやら難波宮の建設で建材を消費したため、今すぐ使える木材が少ない様だ

 吉備、出雲にも人を遣って交渉してみる

 屋根板の加工は順当なので安心されたし』


 かぐや

『吹負様、早速讃岐へ人を使いに出しました

 追って食料を運び入れます

 その者に今後必要となる食料をお伝え下さい

 同時に井戸掘りを生業とする泥部ひじべを送ります

 人足につきましては馬来田様に手配をお願いする事にします

 ひとまず十名、食料持参で行って貰います

 また少ないですが金須を持たせますので非常時にはお役立て下さい』


 かぐや

『馬来田様、建材の調達に御苦労されてます事をご慰労致します

 調達出来る建材の数に変動がありましたらお早めにご連絡下さい

 限られた建材の中でどうにかします

 飛鳥の方の人足が不足し始めた様なので応援をお願いします

 まずは10名、食料持参でお願いします』


 ……十日後


 馬来田

『かぐや殿、建材について吉備で調達出来る目処がたった

 ただし運送に手間取りそうだ

 船で送るので到着は早くて十五日後となる

 出来るだけ急がせる』


 吹負

『かぐや殿、高級官人向け住宅の修繕は順当だ

 屋根板を貼ってみたが出来栄えは上々だった

 屋根が出来たので畳の搬送を宜しく頼む

 讃岐からの援助のおかげで食糧不足はほぼ解消した

 特に井戸掘りは助かった

 人足は現在五十名だが、有れば有るほど助かる』


 かぐや

『馬来田様、ご手配、疲れ様でした

 吉備から船で運ぶのなら、そのまま難波津を抜けて大和川を遡り、飛鳥へ持っていく事は可能でしょうか?

 飛鳥の人足が充実してきましたので、来月から飛鳥で合流して加工する事をご検討下さい

 人足につきましてもあと五十人ほど受け入れる余地がありそうです

 随時人足の補充をお願いします』


 吹負

『かぐや殿、本日建材が崩れて数名が大怪我を負った

 計画を急ぎすぎた反動が出ている様だ

 人数が揃うまで少し休養を与える事にした」


 馬来田

『木材の搬送の件、飛鳥の近くまで運ぶ事は可能だ

 石材の搬送に慣れている播磨の者に搬送を頼む事にした

 人足は三十名を飛鳥へと送り出した

 屋根板の加工分の建材の確保は別途出来たので、期日中に終わらせる

 終わり次第、私も人足を連れて飛鳥へと参ろう』


 かぐや

『吹負様、痛ましい事故をお見舞いします

 人の体力も精神力も無尽蔵ではありません故、十日に一日は休みを与え回復に努めて下さい

 また吹負様もそのお一人である事お忘れなく様、伏してお願い致します

 馬来田様より三十名の人足を送ったとのご連絡が入りました

 吉備にて調達した木材を船にて飛鳥まで運ぶとの連絡がありました

 日程が決まり次第ご連絡致します』


 吹負

『かぐや殿、私の身まで心配頂き(かたじけな)

 只今、中級官人向け住宅の修繕の真っ只中であるが、異なる建物を統一した建材で修繕するための調整に苦労している

 少し期日が超過しそうだ

 高級官人向け住宅の修繕が終わり次第、下級官人向け住宅の修繕に取り掛かる予定だ』


 ……一ヶ月後


 かぐや

『馬来田様、吹負様

 本日皇子様からご連絡があり、明後日、皇太子様が帝に遷都のご進言をなさるとの事です

 いよいよ移転が始まります

 残りあと僅かです

 無理に間に合わせるのではなく、間に合うことだけに注力しましょう

 くれぐれも事故にはお気をつけ下さい』



 こうして私達は決行日を迎えたのでした。


かなり安易なイメージで住宅を建設の様子を描いており、住宅関係の方が見ましたら突っ込みどころ満載かと思います。

もし許しがたいエラー等がありましたらご指摘の程、宜しくお願い致します。

m(_ _)m

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