かぐや先生の保健体育講座(2)
前話に続き官能的な会話が続きます。
不快に感じる方は読み飛ばして下さい。
刀自さんが美人さんだと分かった途端に態度を変えた津守様に今のままだと見捨てられるよとガツンと言って、刀自さんの気持ちをガッチリゲットする様、嗾けるのに成功しました。
刀自さんを気持ち良くさせて、是非ともメロメロにしてあげて下さい。
さて、お昼を回りましたので食事をする事にします。
古代では一日二食が常識ですが、刀自さんの体重増加のため一日三食を勧めております。
私自身が朝夕の食事だけですと夕方近くには力が出なくてシオシオヘナヘナになってしまう事も理由の一つです。
「うめっ! 旨ぇなこれ。
刀自はいつもこんな物をご馳走になっているのか?」
食事作法が今ひとつな津守様が食事をガツガツと食べております。
讃岐の宴で出された食事を漁っていた彼ら(※)を思い出します。
ほぼお猿さんだった彼らは少しは成長しているのでしょうか?
(※第23話『チート舞をご披露(1)』に出てくるガキンチョ達)
「本日は津守様がお越しになるという事で特別な献立をご用意致しました。
男性向けの精のつく食事です。
普段は刀自様のお腹に優しい粥をお召し上がり頂いておりますが、白いご飯に合うおかずを用意しました」
「この白くて柔らかいのは何だ?」
「これは豆腐に御座います。
刀自様に必要な滋養を多く含んだ食べ物すので、必ずお出ししております。
大豆から作られております」
「これも旨いが、食べ難い」
「お箸の使い方の練習だと思えば宜しいかと。
現に刀自様は上手に召し上がっておりますよ」
「魚が多いが、刀自は魚が好みなのか?」
「いえ、これは私の好物です。
山育ちの私にとってはこれが1番の贅沢ですのよ」
「だが俺はどちらかと言えば煮魚より焼き魚が好きだな」
「ええ、好みが別れるところですね。
此度は魚の臭みを消す事で刀自様にも食べやすいだろうとお出ししております。
骨も取り除いてあります」
「至れり尽せりの食事だな。
何故そこまでするのだ?」
「刀自様だけでなく、今後お越しになるお客様にお出ししても恥ずかしくない食事を取り揃える予定でおります。
多治比様より魚料理の得意な方を派遣して頂きましたので、相談しながら調理しております」
「来客? 何の事だ?」
「まだ正式には決まっておりませんが、難波宮におられる尊き方をお招きするつもりでおります。
そのための屋敷ももうすぐ完成します」
「その尊いお方と同じ飯が食えるなんてありがてぇな」
「皇子様のお妃様の命により、私は刀自様のご支援をしたのです。
それくらいは当然の事です。
むしろ準備不足のため刀自様にご負担を強いてしまい、申し訳なく思っております」
「いえ、そんな!
かぐやさん、そんな事はありませんわ
こんなにも親身になってくれて、感謝の言葉も見つかりません」
刀自さんが私の言葉を一生懸命に否定します。
だけど刀自さんを実験台にしたのも事実です。
その結果をフィードバックして、新しい屋敷に様々な工夫を凝らす事ができたので、本当に申し訳なく思っているし、感謝しています。
「そう言って頂けますと私もやり甲斐を感じます。
そろそろ食事も終わりましたので、休憩してからお話をしましょう」
「ええ、宜しくお願いします」
結局、津守様が爆睡してしまって、話が出来たのは2時間くらい後でした。
◇◇◇◇◇
「ふぁぁ〜〜あ、よく寝た」
「御ゆるりと寛がれて、私共も接待した甲斐がございます」
「ああ、ここは何だか安らぐな」
「ええ、それを目的にした施設ですので。
心の安寧は疲れた身体を癒し、活力となります。
刀自様にとって最適な環境をご用意した結果です」
「お妃様の命とはいえ、刀自のために有難い。
俺に何か礼ができる事があれば言ってくれ」
「そうですね……。
お言葉に甘えましてひとつお願いしたいのですが、確か津守様は石作氏の流れを汲む氏族と伺いましたが、そうですか?」
「おう、よく知っているな。
俺はどちらかと言えば石細工が得意だ」
「それでは瑪瑙の加工も出来ますの?」
「ああ、出来ない事はないが瑪瑙は硬てぇんだ」
「でしたらお願いしたい物が御座います。
金一両(約37.7グラム)を用意しますので、作って頂けないでしょうか?
手のひらに乗るくらいのものです」
「そりゃあ良いが、一両とは貰いすぎじゃねぇか?」
「出来合いに妥協出来ませんので、それに見合う品質を求めます。
後で後悔するくらい大変な仕事になると思います」
「ああ、分かった。
やってみる」
「後ほど、絵に描いて説明します。
それではお話を始めましょうか。
津守様、刀自様、どうぞ此方にお座り下さい」
「はい」
「おう」
「それじゃ、始めます。
どの様にして赤子が産まれるのか?
知っている様で実は全く知られておりません。
正しい知識を得て、確実に子を成す方法をお教えします」
「子供は子種を中に出せば、女子の腹ん中にある卵にくっついて赤ん坊になるんだろ?
何を知らねぇって言うんだ?」
「津守様は女子が月に一度、月経がある事はご存知ですか?」
「ああ、知っている。
アソコが血まみれになって汚ねぇよな」
「そこに誤解があるのです」
「何がだ?」
「月経が始まっていない幼子は妊娠しません。
また月経がこなくなった老婆が子供を産む事は出来ません。
つまり月経とは、女子の身体の中で子供をお腹の中で育てる準備をしているのです。
津守様は何処から産まれたのですか?
その汚いと仰っている所で生を受け、そこから産まれたのです」
私の険しい言い方に津守様がタジタジになっています。
「ご自身が生まれた処を汚いと思う事にまず誤解があります。
もうすぐ完成するお屋敷の目的の一つは、女子にとって子供を産むのに最適な場所を提供する事なのです」
「それは素晴らしい事です」
刀自さんは出産の立ち会い以来、出産に対して前向きです。
「そしてもう一つ。
津守様は女子の腹の中に卵がある、と仰ってましたが半分以上違います」
「何だ? 半分ってのは?」
「女子のお腹の中には子供が育つ部屋(子宮)のようなものがあります。
しかしそこには卵はありません。
卵は部屋の外にあり、そこへ向かって子種が泳いでいくのです。
しかも卵がそこにあるのは数日だけです。
なので卵がない時に子種を注いでも、子を成す事は出来ないのです」
「そうだったのか!?」
「ですから、卵がある時、子種が生き長らえている間、卵と子種がくっついてそれが子を成す部屋に定着する(着床)するまで、それらが次の月経までの間に終わらなければ妊娠できないのです。
妊娠は短い期間にしか起こらないという訳です」
「はー、その短い期間ってのは何時なんだ?」
「良い質問ですね。
月経から次の月経までの期間は大体ひと月と言われています。
このちょうど真ん中あたり、この前後が妊娠するために適した日です」
「なるほど。
確かにかぐや殿は当代一の知識を持っていると豪語するだけの事はあるな。
そんな事、考えた事すら無かった」
「有難う御座います。
しかし、その日に毎日なさるのも宜しいですが、一日おきにするのも宜しいかと思います」
「何でだ?」
「男の睾丸にある子種を出した後、元に戻るのに三日掛かります。
津守様はお若いですから毎日でも宜しいでしょうが、子種を作る臓器が疲れてしまいますよ。
心当たりがありませんか?」
「ああ、確かに毎日してばっかだと、下っ腹に痛みが出るな」
「それと津守様はもう少し清潔に気を使った方が宜しいかと思います」
「おれの体が汚いってか?」
「刀自様をお抱きになって気がつきませんか?
刀自様はほぼ毎日ここで入浴されているのですべすべのお肌ですよ。
それに比べたら津守様は少し臭います」
「うっ……」
「女子の身体は繊細です。
清潔にすれば皮膚の病も防ぐ事が出来ます。
お互いに清潔な肌で触れ合う事はとても気持ちがいい事なのです。
先も言いましたが、津守様は刀自様を思い遣って下さいまし」
「お……おぅ。分かった」
「この3ヶ月間、刀自様の月経周期を調べておりましたが、明後日辺りから妊娠に適した日となると思われます。
是非、お励み下さい」
「はい……」
「わ、分かった」
子供に性交せよろ言われて戸惑いながらもやる気満々なお二人。
頑張って下さい。
津守さんの性格は基本的に善人です。
ですが石工の仕事で荒っぽい現場にいるため言葉が荒く、短慮な性格と思われがちです。
しかし人の話には耳を傾けくれるので、現場では部下に慕われる親分肌……という設定です。
知能は……あまり深く突っ込まないで下さいね。