津守様へのお説教(アドバイス)
少々、官能的な内容のお話です。
不愉快に思われる方は読み飛ばして下さい。
特殊な環境にいたため、肋骨が浮きでるほど痩せ細っていた刀自さん。
3か月にわたる食生活の改善と運動のお陰でスラっとスリムな女性へと変貌しました。
結果に彗星、かぐザップ!
更に現代知識を動員して磨きぬき、反則技をも駆使して酷かったヤケドの痕すらも跡形もなく無くしてツルピカお肌になりました。
更に更に額田様のお化粧係さんによる飛鳥時代の最先端メイクを施した刀自様を見てしまった旦那の津守様は、これまでずっと放置していた奥さんに一目惚れするという面食いぶりを発揮し、ほぼ毎日刀自さんの元に通う様になりました。
最近の刀自さんは津守様が夜這いにくるので、日があるうちに屋敷へと戻ります。
なので食事とか美容、運動を昼間に行います。
◇◇◇◇◇
「刀自様、最近は津守様の通いが毎晩続いておりますが、お身体は大丈夫ですか?」
「ええ、我慢していればそのうち終わりますから。
ここで身体を清潔にするのが当たり前になってますので、ベトベトして寝苦しいです」
「我慢、という事は痛いのですか?」
「はい、津守様が気持ち良さそうなので我慢しております。
以前はすごく痛かったのですが、最近はだいぶ痛みが減りました。
慣れてきたのでしょうか」
「気持ち良いというのはありますか?」
「はい?
乳を吸われている時にむず痒い感じがしたり、最中にお腹の奥がきぅんとする事ですか?」
「本当はもっと気持ちが良いのですが……
刀自様は津守様をどの様にお思いですか?」
「津守様を? ですか。
旦那様ですよね。
私を養って頂ける方で……。
津守様が私の旦那様、ですよね?」
うーん、恋愛感情がまるっきり存在しておりませんね。
ほとんど動物園の中の珍獣の繁殖みたいな感じです。
お節介かも知れませんが、少し手助けした方が良さそうな気がしてきました。
「刀自様、もし可能でしたら津守様にここへおいでになられないかお聞きできませんか?」
「ええ、今夜も来られるでしょうから伝えておきます」
「お願いします。
子づくりにつきまして、津守様のご協力を頂きたいので少しお話しさせて頂きたいと思います。
ついでと言っては何ですが、刀自様にも子供がどの様にして出来て、どの様に産まれるのかご説明致します」
「分かりました」
まずは津守様に釘を刺しておきましょう。
◇◇◇◇◇
翌日、津守様と刀自さんが一緒にやって来ました。
「ようこそおいで下さいました。
どうぞお上り下さい」
「かぐや殿、刀自が世話になっている。
改めて礼を言う」
「恐れ入ります。
本日お越し頂きました目的は、三つ御座います。
一つはここで刀自様がどの様な事をされているのかをご覧になって頂きたい事。
一つは津守様にご相談頂きたい事。
そして最後に子づくりにつきまして刀自様にご理解頂く事。
以上に御座います」
「かぐや殿よ。
俺は刀自がやっている事を見たいとは思わんぞ」
全くもー。
「最後にお化粧をしたいのですが必要ありませんか?」
「いや、それだったらお願いしたい」
津守様、単純。
「では、早速始めます」
まずは運動です。
津守様はそちらの方でご見学下さい。
8畳ほどのお部屋に私と刀自さんがラジオ体操からストレッチ、体幹運動といつもの様にメニューをこなしていきます。
その間、退屈そうな津守様は刀自さんより飲み物を運んできた八十女さんの爆乳の方に興味シンシンでした。
全くもー。
そして次は浴室でエステです。
サイトウの奥さんの憂髪さんが担当です。
この3ヶ月間でかなり上達しました。
その間の時間を利用して、津守様に説教ですっ!
「津守様、わざわざお越し頂きありがとう御座います」
「礼を言いたいのは俺の方だ。
構わんよ」
「一つ気になることが御座いましたので、そのご報告とご相談をお願いしたく存じます」
「何だ? 言ってみろ」
「津守様と津守様の夜の営みなのですが、上手くいっていないみたいです」
(ブッ!!)
「こ、子供のお前が何を言っているのだ!」
「私は子供ではありますが、刀自様に子を成させるために派遣された者でもあるのです。
知識はそれなりに……いえ、当代一を自負しております」
少しハッタリをかまします。
ニンニン。
「まあ、皇子様の妃のお付きの者だと聞いている。
刀自も元気を取り戻したし、良くやってくれたと俺も思っている」
「ええ、最初はどうなるか心配でしたが、刀自様が前向きにお取り組みになったおかげです」
「俺も心を入れ替え、毎晩通っているのだ。
もう其方の役目も終わるだろう」
「ええ、それにつきまして懸念が御座いましたので津守様にご相談が御座います」
「何だ? 懸念とは?」
「申し上げ難いのですが、刀自様は津守様に傾想されておりません」
「傾想? 何だ、それは?」
「つまり刀自様は津守様を好いている訳では御座いません」
「そんなハズはないだろ!
俺達は毎晩ヤっているんだぞ!」
「ええ、存じております。
ですが養い主へのお礼代わりにしか考えていないみたいです。
刀自様は痛いのを我慢しているのですよ」
「そ、そんなはずは……」
「今のまま放っておいて子供が産まれれば、私はお役御免となります。
しかしその後も津守様と刀自様はお一緒でいるつもりですよね?」
「当たり前だろ!」
「しかし私にはそうならないという懸念が御座います」
「それはお前の思い込みではないのか?」
「よくお考えになって下さい。
刀自様は天涯孤独の身の上ですよ」
「ああ、だが私が夫となった。
もはや天涯孤独ではない」
「残念ながら、元を辿れば夫と妻は赤の他人です。
まして好いていない相手ならば尚のことです。
しかし生まれてくる子供は紛う事なき身内、唯一の肉親です。
その子が成長してそれなりの地位を得れば、津守様の入り込む余地は無くなるかも知れませんよ?」
「そんな事があるはずが……」
「以前、津守様に刀自様のお話をお聞き下さいます様お願いしましたが、その後しましたか?」
「あ、いや……その、いつか聞くつもりでな」
「繰り返し申し上げますが、刀自様のご信頼を得られなければその様な将来がやって来ないとは限りません。
目合うにしてももう少し刀自様を気持ち良くさせて下さい。
自分一人気持ちが良ければそれで良いと言うのは、女性にとって最悪なんですよ。
他の男に寝取られる一番の理由です」
「そこまで刀自は言っておるのか?」
「具体的には申しておりませんでしたが、夜の営みで気持ちが良くなった事は無いため、目合いの快感を知らずにおります。
従いまして、刀自様から津守様をお求めになる事はあり得ないという事です。
それで宜しいのですか?」
「いや、それは……嫌だ」
「具体的に何をして欲しいとは私からは言えません。
(現代の私も経験が少なかったし)
ですが、女子とは好いている相手なら手を取るだけで気持ちが良くなるものです。
その様な相手ならどの様な事でも尽くしたいと思うのです。
これまで津守様をお慕いする女子は居られなかったのですか?」
「俺はガキの時から女に不自由した事がないから、女子とは皆俺の事を好いているはずだ」
「実際にそう告白されたのですか?」
「告白なぞしなくても股を開くのは違うのか?」
全くもー。
「女子が津守様に近づく理由が、情を得られれば食べる物に困らないからだと思いませんか?」
「それは……」
「私は津守様の事を刀自様にとって好ましい方だと思っております。
この時代の男性にしては、少なくとも女子の話に耳を傾ける度量が御座います」
「この時代?」
「あ、いえ。
何でも御座いません。
もし刀自様のご信頼を得て、心から津守様をお慕いする刀自様をどう思いますか?」
「ああ、そうだな。
確かに刀自が俺の事を慕っているかと聞かれれば、違う様な気がする。
だが、嫌われてはいないだろう?」
「ええ、今のところその様な様子は御座いません。
でも今のところです」
「そうだな。
考えを改めないと捨てられるのが俺だという事は分かった。
俺はあんなに綺麗な女子を娶ったのだ。
刀自に惚れられる男になる!」
「是非お願いします。
私としても刀自様は人を好くという感情を取り戻して欲しいと願っております」
こうして津守様へのお説教が終わる頃、刀自さんはエステを終わって部屋へと戻ってきました。
引き続き保健体育の授業です。
でもその前にお食事かな。
お腹が空きました。
(次話につづく)
もうすぐアマ◯ンでセールが始まります。
愛用のiPad(第5世代)のバッテリーがだいぶ弱ってきましたので、執筆用に新しいタブレットを物色したいと思っております。
もしくはショップへ行ってバッテリーを交換するか?
何故かパソコンよりもタブレットの方が筆が進むのです。




