超絶エステシャン・かぐや(1)
やや願望が入ったお話です。
蚊との戦いに勝利した私。
レーザービームを発射出来るのなら新しい可能性がある、かも知れません。
オレ達の戦いはまだまだ続くのです。
【天の声】勝手に最終回にするんじゃありません!
レーザーを利用するとしたら……脱毛とかシミ取り?
脱毛はピッカリの光の玉で足りるから、やはりシミ取りかな?
それでは実験!と思ったのですが、今の私の身体にはシミが見当たりません。
若いからかな?
背中にはあるのかな?
シミ取りに興味がありそうなのはやはり女性です。
とは言え、
「躰の隅々まで調べるから衣を脱げ!
脱げ~~~!!」
と迫る訳にも参りません。
【天の声】何処のヘンタイさんだ?
となりますと、協力してくれそうな女性に心当たりがあるとしたら、八十女さん。
とりあえず新しく出来た蚊帳を持って、住み込みの家人さん達が暮らす離れへと行きました。
「姫様、ありがとうございます。
こんな綺麗な物を勿体なくて使えません。
大切に取っておきます」
「いえ、これは赤ちゃんが蚊に刺されたらかわいそうなので用意したものです。
是非、役に立てて頂戴」
「この子達が姫様にこんな心配して貰えるなんて幸せ者です」
「この子が産まれる時、私もお手伝いしましたからね」
「本当に姫様には施しばかり頂いて、ご恩を返せないのが申し訳ないです」
何か良い流れ?
「そんな事はありません。
私は八十女さんにお世話になっていると思っているから、大切にしたいと思っているのよ」
「そんな!
恐れ多いです。
私に出来る事なんて大したこと無いですから。
本当に姫様には感謝しても仕切れないですっ!」
「そんな事はないよ。
でも、それじゃひとつお願いしていいかな?」
「はい、何でしょう!」
「衣を脱いでお肌を見せて欲しいのだけど……」
「はい、お安いご用です」
と言うや否やダンッと立ち上がって、ガバッと身につけて居るものを脱ぎました。
「姫様から頂いた乳当ては取った方が良いですか?」
「いえ、先ずは肌を見たいだけだから、そのままで……」
「そうなんですか……⤵」
なぜガッカリするの?!
「じゃ、じゃあ見せて頂きますね」
さすがティーンエイジャー(※満年齢)。
ピチピチのお肌をしていますが、あちこちに痣の様なシミがあります。
腕、脇腹、……特に足が多いかな?
「少し治療しますから、痛かったら言ってね」
「え? 私何処か悪いのですか?」
「違うよ。このシミを消すの」
「そんな事が出来るのですか?」
「やってみるね」
(※出来るとは言ってない)
「はい!」
指先からレーザーポインターの光を出して、シミの部分に当てていきます。
シミよー、消えろー、シミよー、消えろー、………
念じながら当てていくと、当てた部分が白くなっていきました。
おぉ!出来たかも?
シミ全体をレーザーを当て終わって、濡れ布巾でコシコシと拭き上げました。
すると……レーザーの当たった部分だけ白く、日焼けした肌に浮き上がってしまいました。
美白のしすぎ?
マ、マ、マズ、不味いです。
こうなったら!
エイッ!
ターンオーバーの促進をイメージした美白の光の玉を八十女さんに当てました。
すると八十女さんが仄かに光りました。
でもさほど変化がありません。
試しに濡れ布巾で日焼けした肌をコシコシコシコシと拭いてみたら、拭いた部分から垢がボロッと取れて、下から眩しい白い肌が出てきました。
先ほどのシミの部分もどこにあったのか分かりません。
ついでに先程確認したシミも見えなくなっていました。
もしかして、レーザーやらなくてもシミは消えるかも知れません。
能力のムダ?
「姫様〜、私病気ですか?
真っ白になってしまいました」
「大丈夫よ。
生まれたての赤ん坊のお肌に近くなっただけ(汗)。
それよりも足の痣はどう?」
まさか失敗して、失敗を取り繕うため美白したなんて言えませんから。
「姫様、凄いです!
怪我して消えなかった痣が薄くてほとんど見えません」
「ちょっと見せて」
……確かに完全には消えていないみたいです。
それではもう一回、レーザーポインターを当てていきます。
シミよー、消えろー、シミよー、消えろー、………
シミ全体にレーザーを当て終わると、もう何処に痣があったのか分からなくなっていました。
「八十女さん、見える?」
「全然分かりません。
全く見えなくなってしまいました」
とりあえず実験は成功ですね。
それでは他のシミを取り除きましょう。
根気よくレーザーポインターを当てていきます。
シミよー、消えろー、シミよー、消えろー、………
頑張った甲斐あって、八十女さんのお肌は私とローティーンの私と比べても遜色のない美肌になりました。
「うん、上手くいったみたい。
ちょっとじっくり見せて」
「はい、どうぞ!(ばぁ〜ん)」
ホントに破壊力のあるぼでえです。
……あれ?
「八十女さん、これは?」
八十女さんの左胸の肩寄りの部分に痣が残っていました。
殆どが手ぬぐいブラに隠れていて見落としていたみたい。
「この痣は生まれつきのものです」
「じゃあそれもやってみるね」
「お願いします」
手ぬぐいブラを取って、(でっかい)胸の上の痣にレーザーポインタを当てていきます。
シミよー、消えろー、シミよー、消えろー、………
「どう?」
「うわぁぁぁぁ、消えています!
綺麗に無くなっています!
姫様はやっぱり凄いです!
私、この痣が子供の時から嫌いだったんですぅ〜」
きっとこの痣は八十女さんにとってコンプレックスだったのでしょう。
先ほどとは比べ物にならないくらい喜んでいます。
「いいの、八十女さん。
こちらこそありがとう。
綺麗になれるかやってみたのだけど、上手くいきました」
「いえ、姫様。
こんな事でよければいつでもお手伝いします。
むしろこんなに綺麗にしてもらって、源蔵さんも大喜びします」
最後に惚気ですか?
「源蔵さんを驚かせてやってね」
大人な私はグッと堪えて、八十女さんに優しい言葉を掛けるのでした。
後で源蔵さんに生え際を1センチ後退させる光の玉をお見舞いしてあげよう。
◇◇◇◇◇
八十女さんの施術で分かった事は、光の玉でターンオーバーを促進して美白効果とシミを薄くする事はできるけど、完全に消したり生まれつきの痣はレーザーで消せるという事かな?
でもレーザーだけスポットでやると日焼けも一緒に治してしまうから、セットでやらないとダメっぽい。
それじゃ、次行ってみましょう♪
「母様、一緒にお風呂入りましょう」
「かぐやや。
一人では寂しいのかい?」
「それもあるけど、母様に孝行がしたいの」
「おや、何だろうねぇ」
「楽しみにして♪」
***** 入浴後 ******
「何じゃこりゃーーーー!
婆さんが若くなっておる。
一体どうしたんじゃーーーー!
(じゃーーー)
(じゃーー)
(じゃー)」
お爺さんの絶叫が家中にこだましました。
【天の声】普通、レーザーと言ったら破壊兵器的なのを思い浮かべんか?
お爺さんとお婆さんの設定年齢ですが、御伽草子だと腰の曲がったお年寄りのイメージがあります。
しかし『竹取物語』ではかぐや姫が月へ帰ると知ったお爺さんの様子を
『翁、今年は五十ばかりなりけれども、物思ひには、片時になむ、老いになりけると見ゆ』
とあり、意外と若いです。
しかしやってきた月からの使者に
『かぐや姫を養ひ奉ること、二十余年になりぬ』と言っています。
竹の中から見つけたかぐやが3ヶ月で妙齢の女性に成長して、それから20年経って帰る時のかぐやはアラフォーということになってしまいます。
お爺さん、自分は70歳でいつ死ぬか分からないから早く結婚して安心させてくれと言ったりして、サバ読みすぎ!