表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

学園生活

 昼は学園に通い、夜はそれぞれに設けられた個室で寝泊まりをする。


 そんな日々がしばらく続いて、ユズキはVR世界に少しずつ慣れて来た。

 動かすのが難しかったアバターも、かなり思い通りにできるようになった。五感も使いこなせるので意識しなければ現実とそう大差ない。

 最近の科学技術は本当にすごいものだと感心してしまう。


 そして学園生活の要、勉強と友達関係もうまくいっていた。


 勉強は常に『優秀』のB評価。『最優秀』のAには達せていないが、点数はすでに300を超えている。

 友達は、サヤ、アカネ、ユカ、サクラコ……。気の弱い女子たちが集まり、クラスの中である三大派閥のうちの一つになった。

 クラス内第二派閥のスズカ組ともすでに親しくなっている。スズカというのは、ちょっと傲慢であるが成績優秀な女子である。


 スズカとは最初、点数の観点から対立関係にあったのだが、ユズキの方からアクションを起こし、同一の趣味やら話題を見つけて、仲良くなったのだ。

 正直自分の傘下に置いている子たちより、スズカの方が気が合う。


「スズカさん。今日、『期間限定シュークリーム』食べに行かない?」


「え、シュークリーム? もちろん行くに決まってるじゃないの」


 スズカの派閥の子たちともそれなりに関係を作り、そこでもまた点数を上げていた。


 バーチャル学園での日常生活は、すごく順調に行っている。

 しかしユズキは、少し物足りないと思っていた。


 せっかくの青春だ。どうせなら、もっと楽しんで生きたい。

 すでに状況はある程度安定している。そう急ぐことはないのではないだろうか。


 今度の目標は、すでに定まっていた。

 バーチャル学園で許されている行為の一つ、『部活』を自ら立ち上げること。


 しかしそれは現実世界の学校と違ってそう簡単な話ではない。

 クラス全員が部活の案を提案し、そのうち選ばれるのがたった一つだけなのだ。そしてそれに参加できる人数も限られているから、その案に乗じていない限り参加はできない。


 つまり『部活選挙』のようなことを行うのである。

 ユズキはそれと無関係でいようと最初は考えていたが、それを変更して自ら部活案を出す方向で決めた。


 ここには様々な生徒たちの思惑が絡む。

 生徒たちの多くは、何かしら自分のしたい部活があるはずだ。一番多いのは運動部、次に美術部。

 でもユズキには、どうしてもやってみたい部活があった。それは……、


「料理部を作りたい!」


 マイナーな部活で決定した。

 あとは派閥の子たちへの根回し、スズカへの協力要請。


 スズカが乗ってくれるかどうかは怪しいところだが、これは賭けるしかない。

 とにかく意向を伝えなくちゃ、と、NPC先生(あだ名)の元へ走っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ