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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

綿の内蔵

作者: カカカビ


僕と君は親友だった。

小さい時は毎日のように遊んでくれた君

お風呂にまで僕を連れ込んでお母さんに叱られていたっけな。そんな君も可愛くて大好きなんだけどね。


だけど突然、君は僕と遊んでくれなくなった。

そして他の子達と一緒に押入れに連れて行かれちゃった。

遊んでくれなくなったのは寂しく感じるけれどそれは仕方ない。

だけどやっぱり寂しいな。

悲しくて寂しくて仕方がないのに涙なんて溢れるわけもない。

君の部屋の押し入れの奥底でずっと遊んでくれるのを待っていた。


そんなある日少し大人っぽくなった君が僕を押し入れから出してくれた。

嬉しかった

ひさしぶりに何をしようか。

おままごと?それとも一緒に散歩かな?

ドキドキしながら待っていると机に横にされて突然包丁でお腹を刺され、中にあった物を全部出されてしまった。なんだか落ち着かない気持ちでいると今度は白いつぶつぶした物を中に入れ始める。

入れながらこれであってるかな?とか明日は友達に自慢できるとかをブツブツ呟いていた。



僕が一体何をしたって言うの?


大好きだったあの子の笑顔は今は不気味に見える。

何か嫌なことがあったにしてもこれは酷すぎるよ。

ぽたりぽたりと僕から白い粒が漏れている。

それを赤い糸で綺麗に縫い付けられる。

お裁縫上手になったんだね。昔僕の腕が取れた時一生懸命してくれたけど結局上手くできなくてお母さんに頼っていたっけな。

あの頃を懐かしく感じているとどうやらすべて終わったみたいだった。

そして君は僕を浴室まで連れていった。

一緒に入ったお風呂。大好きだったそこはどこか怖い場所のように感じる。


「最初の鬼は私だから」


君はその言葉を3回も繰り返し言うと水のはった浴槽に僕を置いた。

つぶつぶのせいで身体が重くて、僕は浴槽に沈む。

そして君はどこか楽しげに去っていった。

そして何秒かたった後、君は僕のお腹を裂いた包丁を持っていた。


「くまちゃんみーーつけた。」


そう言うと君は突然僕を突き刺した。


何度も何度も何度も何度も


痛い、


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


どうしてこんな事するの?

それにおかしいな。前は痛みなんて感じなかったのに痛いって思うなんて。


悲しくてたまらなくて、ずっと君の顔を見続ける。

刺してる時もずっと笑顔だった君。

昔と変わってしまったように感じる。


「次はくまちゃんの番ね」


君はそう言って僕をまた浴槽に放ると、その場から立ち去った。


僕の番?

それってこれは遊んでいただけだったの?

もしかして嫌われたんじゃと思っていたけど、そんな事はなかったんだ。

これも遊びの一つなんだね。

とても過激だけど君が楽しんでくれるなら嬉しいな。

僕の番ということは僕が君を見つけて包丁で何度も君を突き刺す番って事か。

いつもは思っても動かないのに何故だろう。

体が動く。重いのは変わらないけど一歩一歩手足を使って浴槽から這い出た。

ベチャッと

床に叩きつけられる音がする。

ふと、風呂場にある鏡を見た。そこには昔の僕とは全く違う姿の物が立っている。

目玉のボタンは片方は取れかかり、もう片方が浴槽に沈んでいる。口元はバックリと空いて今でも何か食らいつきそうな顔立ちだった。お腹は何箇所も刺された場所から白い粒ががぽたりぽたりと落ちている。

こんな姿を見たらきっと君は怖がってしまうかな。

それでも君を見つけないと。


ずりずり


ずりずりずりずり


君を探して台所に行ってみた。

いないなぁ…

不思議に思っていると突然浴槽から足音がする。


あぁ、君から来てくれたのかぁ





ずりずりずりずりずりずりずり


上手く歩けない。お腹を引きずりながら動いているからかずっと床をする音が響く。ゆっくりと浴槽に近づいたら君は涙をためてうずくまり震えていた。

浴室へ入ると目があった。


「ふっ………うっ……………」


口に何かを含んでいるようで声が出ないみたい。

カランッと彼女の腕から包丁が落ちた。

見つけたからこれで突き刺せって事なんだね。

僕は落ちた包丁を掴むと彼女に向かって動いた。


「きゃああああああああああああああ」


よっぽど怖かったのか。君は口からボタボタと水を吐き散らかし叫んだ。






ブスっ


「痛っなにこれ!?なにこれなにこれ意味分かんない。人形が動くとか聞いてないし。こないで!こっち来ないでよ!」


泣き叫ぶ君に僕はお決まりのセリフを呟いた。




「…………ャン…ミ…………タ…」



「やだ…」



「…リ……ヂャン………ミ……ゲタ…………」




「こないで!これ以上こないで」



ザク

ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク





何度も何度も指していると君は動かなくなっちゃった。


「コンド…ハ………リボヂャ……ノ…バン…………ネ」


今度は僕が隠れる番だね。

さっきな上手く動けなくて見つかったけど今は不思議と身体が軽い。動き過ぎて中の粒が殆ど出てきちゃったからかもね。

さあどこに隠れようかな。

ドキドキした気持ちで僕はずっと入れられていた押し入れに隠れる。

まだまだ遊び足りない。

君が見つけてくれるのを待ってる。

まだかな、まだかな

僕達の遊びを邪魔する奴は絶対に許さない。

包丁を抱きしめながら暗い押し入れの中、ケタケタと僕の笑い声がこだました。


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