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御心のままに、慈悲を祈れ  作者: 咲雲
第二章 黄昏の王国の勇者
27/38

1話

ご来訪ありがとうございます。

今回の章は一人称が変わります。


 工藤(くどう)竹流(たける)、十八歳。

 俺、ひょっとしたら何かの物語(オハナシ)の主人公になったかもしんね――と、恥ずかしい勘違いをしかけたのは今は昔だ。


「シラを切るでないッ!! きさまらが怪しいことなど判っておるのだッ!! どのような目的があって我が国に侵入しおったのか、とくと聞かせてもらおうではないかッ!!」


 いや、証拠はねえだろうよ?

 しかも目的わかってねえじゃん?

 なんで捕縛しろとか連れて行けとかそんな話にしてんだよ、言いがかりだろ。

 ――と、俺は自分の連れにジトーっとした目をさっきから向けているんだが、全然気付いてくれやしねえ。

 いかにも偉そうな貴族風のそいつは、バルトロ。代々が騎士の家系とかで、俺よりちょっと年上ぐらいなんだが、三十歳ぐらいに見える。

 まあ、ここの連中からすれば、俺のほうこそ十五~六歳ぐらいのガキにしか見えないんだそうだが。

 でもってバルトロは、いかにも都に着いたばかりですって雰囲気の旅人をつかまえて、いきなりいちゃもんをつけていた。


(帰りてえ……)


 なんでこんなのに付き合わされてんだろう。

 というか、こいつの仲間だと思われたくない。

 騒ぎを聞きつけて集まる人々の目が、そりゃあもう痛いこと……。


 一応、違うんじゃねえの? 人違いじゃねえの? って言うだけは言ってみたんだけどな、この野郎、まるで聞きやしねえで今に至るんだよ。

 ぽかんとしてる旅人の皆さんには悪いが、ここはひとまず同行してもらって、協力的な態度でいろいろお話に付き合ってくれれば、多分早めに解放できると思うんだよ。こいつ頭が残念なイノシシ野郎なのが欠点だけど、これで意外と悪人じゃあないし。いや、割とマジで。


 ――言いがかりだってわかってんなら、もっと強く止めてやれよって?

 できねえんだよ、それが。

 なんでかっていうとだな。




 氏名:バルトロ

 性別:男

 年齢:二十一歳

 種族:人族

 身分:子爵/第二騎士団所属/第一隊隊長

 HP:458/458  MP:186/186


 スキル:【剣術】B 【槍術】B 【体術】B




 この世界に来て最初にこれが()えた時、正直テンション上がりまくったぜ。

 氏名なのに姓が省略されてたり、学問関係のスキルがなかったりと、もちろん何でもかんでもわかるわけじゃあない。でも、たとえ相手が黙っていようと、これだけのことが俺にはバレバレなのだ。

 ステータスウィンドウがマジで開いただけでもテンション上がるっていうのに、鑑定ができるっていうのはちょっとした全能感があった。

 このバルトロって奴、短気でいかにもザコっぽいボンボンだけど、そこそこやるじゃん? なんて思ったりな。


 いやほんと、おまえこそ何様って感じよ。

 見てくれよこれ。




 氏名:タケル

 性別:男

 年齢:十八歳

 種族:渡り人

 天賦:勇者

 称号:黄昏の王国の勇者

 HP:136/158  MP:128/128


 スキル:【鑑定眼】B 【初級剣術】E

 固有スキル:【条件を満たさないため使用不可】




 ――しょぼッ!!


 これな、レベル1でこの数値じゃねえんだよ。多分いくつかレベル上がってこれなんだよ!

 レベルなんてどこにも出てないけど、鍛錬して身についたらちゃんと数値上がるのはもう確認済なんだよ。

 つまり、俺がこっちの世界に来た時点では、これよりもっと少なかったんだぜ……。

 しかも、こっち来てもう何ヶ月も経ってんのに、未だにこの数値。

 騎士団の訓練に放り込まれて、まあ俺も最初のうちはテンションだだ上がりだったし? それなりにいい気分で頑張ってみたわけさ。

 なのに、HPもMPも、どちらも10ぐらいしか上がってねえんだわ……ハハ。


 いやもうちょっと何とかなるだろって? ならなかったんだよ。

 スキル【初級剣術】だって、最近になってようやく生えた。しかも初級。最初はスキル自体なかったんだから、成長したと言えば聞こえはいいけど、そこらへんのチンピラが【剣術】CからDぐらいだからな、推して知るべしだろ。


 しかも俺、天賦と称号が〝勇者〟。

 勇者なのにこれ。

 勇者補整で成長率がずどーん、とかそういうのを期待してたのに、なかった。

 全然なかった。

 要するに俺は、この国の人から「勇者様」だなんだって呼ばれてる割に、こちらで怒鳴っていらっしゃるザコっぽさ満点のバルトロ様より、遥かに弱っちいんですよ。


 唯一役に立ちそうなのが【鑑定眼】Bだった。ところがここの人達には〝ステータス〟っていう概念がなかった。説明しても全然通じやしねーし、そもそもスキルって何ぞや? みたいな感じだった。

 能力が数値で見られるわけないだろ? って訊かれりゃ、そうだよな……って頷くしかない。つまりこの世界では、ステータスだのスキルだのが存在することを誰も知らないか、もしくは本当にそんなものはなくて、俺自身の脳が直感的に把握しやすい表示にしているだけなのかもしれなかった。

 どっちにしろ、ほかに【鑑定眼】を持っている奴がいないもんだから、正解なんてわかりゃしない。


 結局俺の【鑑定眼】Bは、ここの人達には〝相手の能力や嘘偽りを見抜く鋭い目の持ち主〟って感じに納まった。

 ……だから何? どこにでもいそう。感がすげえ。

 泣いていいでしょうか。


 唯一の希望は固有スキルなんだが、せめて条件が何かぐらい教えてくれよ!?

 わかんなきゃ満たしようがねえだろ!?

 もしその条件が〝百回怪我をすれば【絶対防御】を獲得する〟とかだったらどうするよ。百回も怪我なんぞ出来るか!

 見当違いの努力をしまくって、実は条件とまったく関係なかったりしたら泣くしな!!

 こんな藁スキルを今後の希望に縋ることなんかできねえし、やっぱ泣くしかない。俺の固有スキルのくせに何で使えねえんだよ……。


 で。

 俺はせっかく勇者になったらしいのに、やっていることはもっぱら不審者探し。それだけ。

 このバルトロに毎日連れ回されるだけで、もうゲッソリ。

 実際にこれが一番役に立ててるっつうか、俺の取り柄ってこれしかないから、最近ではもういいかと諦めの境地に入りかけているけどな。

 人助けだよ、人助け……。


(ま、あんたらも怪しい所がなんにも出てこなかったら、ちゃんと無罪放免になるからさ。悪いけどもうちょい付き合ってくれな)


 バルトロはそこんとこキッチリしているから、その点についてはあんまり心配しなくていい。

 さて、今回の犠牲者っつうか被害者だが――めちゃくちゃ美人な銀髪のお姉様に、メタルっぽい光沢の赤毛の美少女、ガタイのいいアッシュブラウンの短髪のイケメン三人連れだ。

 修道女二人に護衛の剣士ってとこだが、揃いも揃って顔のいい所が怪しいといえば怪しいな。特にイケメン剣士、やたら背ぇ高いし硬派な雰囲気が女にモテそうで気に食わん。

 代表者っぽい銀髪美女は最後にして、まずはむかつくイケメンから順番に【鑑定】していこう。



 氏名:レナート

 性別:男

 年齢:二十七歳

 種族:人族

 天賦:守り人

 身分:元近衛騎士/護衛従士

 HP:1008/1008  MP:356/356


 スキル:【剣術】S 【槍術】A 【体術】A 【投擲】A 【闘気法】A



 ――ぬあっ!?

 なんだよこの数値、上限って三桁じゃなかったのか!?

 しかも元近衛騎士だぁ!?

 スキルもハンパねえぞ!? 【闘気法】ってナニ!? そしてレベルSやっぱり出ました!! 最高はAじゃねえと思ってたんだよな!!

 やべえよどうすんだバルトロ、おまえなんざプチッと殺られてまうぞ!?


 つ、次だ……。



 氏名:アマリア

 性別:女

 年齢:十六歳

 種族:人族

 身分:元公爵令嬢/修道女見習い

 HP:88/107  MP:178/195


 スキル:【神聖魔法】D



 あ、なんか普通――じゃねえよ、よく見ろよ俺。なんだ元公爵令嬢って?

 没落とか追放とか? 修道女は世を忍ぶ仮の姿で逃亡中とか? なんか身分社会の闇ってやつを見ちまった気がする。

 まさかのバルトロが正解かよ……。

 さてさて、ラストのお姉様は?





 氏名:レテ?シ?

 性別:女

 年齢:二?三歳(?????)

 種族:??????

 天賦:??者

 身分:修道?教

 称号:氷?女王/?????

 HP:???????/???????

 MP:???????/???????


 スキル:【神?魔法】B 【調?】? 【?術】S 【?気法】S 【?耐性】?

 固有スキル:【???】 【???】 【???】




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