ワールドクエスト
少し短めです。
≪ワールドクエスト『西の主を撃破せよ』が開始されました。参加される方は1時間以内に始まりの街の西門に集合してください≫
1時間か、全力で行ってギリギリ間に合うかな。
「ジーク、出たばかりで悪いんだけど一度戻ってくれる?」
「ぴぃ…」
「そんなに悲しい顔しないで、また後で出してあげるから。ね?」
「ぴぃー!」
「うん、ありがと」
ふぅぅ、今日はもうひと頑張りしないとだね。
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「はぁ…はぁ…」
ギリギリ間に合った。あれ?他の人みんなPT組んでる?そ、ソロでも大丈夫かな?
「お、やっと見つけた。やっぱ困ってるな、俺たちのPT入るか?ツクヨも一緒だ」
「モミジ、装備間に合ったのね。似合ってるわよ」
「ケイ、ツクヨありがと。お願い」
よかった。どうにかなった。
「ねぇ、なんでみんなPT組んでるの?」
「今回のワールドクエストどうもレイド戦みたいなんだよ」
「雑魚敵を処理しながらボス戦するタイプなのよ」
「だからPTなんだ」
「そ、で俺らは雑魚処理担当だ」
「そうなんだ。あれ、そういえば他のみんなは?」
「他のPTと打ち合わせしてるぞ。俺らはモミジを迎えにきたんだよ」
「そっか、ありがと」
「?モミジ、少し疲れてる?」
「あー、うん。色々あって。でも大丈夫だよ」
「そう、無理はしないでね」
「俺たちもそろそ行くか」
≪1時間経過しました。現時点で西門周辺にいるプレイヤーでクエストが開始されます。このクエストは結果が街に影響します。準備が完了しました。クエストを開始します≫
『この街は我々のてに託された!だが、何も心配はいらない!勝つのは我々だ!行くぞ、全軍突撃!!』
「「「「おおー!!」」」」
あの人がこのレイドのリーダーかぁ。何かイラッとした。暴れてこようかな
「ケイ」
「ん、なんだ?」
「ちょっと暴れてくるね」
「あ、おい!たっく、ちゃんと戻って来いよ!」
「うん、もちろん」
「大丈夫なんすか?一人で行かせて」
「多分、大丈夫だろ」
先ずは、先頭の集団をやらないとね。大切なのはタイミング、回転をかけた方がやりやすいのは分かってるからこのまま突っ込む!
「〘抜刀・飛剣〙!〘納刀〙…〘抜刀・飛剣〙!!」
―なんだ、あの子!?
―おい、ぼーっとしてないでいくぞ
―あの子に続け!!
雑音ばかり拾っちゃう。少し集中しないと。このまま右側から行くのが一番よさそうだね。
「ヤァァッ!〘エア・バースト〙!!」
後ろの生き残りは他の人たちがやるから放置。納刀、左上からくる!
「シッ!!」
納刀。飛剣はあと110秒、魔法も連発はできない。なら、抜刀!からの
「〘斬り下ろし〙!」
納刀。この数だと脚切って放置はできないよね。やっぱり首切らないとダメ。〈刀剣〉のアビリティが使えるか。なら、姿勢を低く体制は崩さずに走る!
「抜刀!〘三連撃〙!〘スラッシュ〙!〘回転切り〙!!」
納刀。今のうちに詠唱。飛剣はあと30秒。左右から来たッ!抜刀して右、返して納刀前に斬る!…できた!よし、詠唱終わった!
「〘エア・バースト〙!」
一体何匹いるの!?多過ぎ!もう50匹は斬ったよ!?……何?あの赤いウルフ。
レッドウルフ Lv,E
ウルフの上位種。速さを捨て、防御力を手に入れた種族。
防御力が高いとか最悪だよ。ウルフもまだ周りにいるし一人じゃキツイかも
「――〘暴風の砲撃〙!」
「やっと追いついた…。たっく、戻って来いって言っておいたの全然こねぇから心配してみれば、一人で突っ込み過ぎだ」
「私は大丈夫って言ったんだけどね。これは来て正解だったわ」
「ありがと。正直助かったよ。周りの相手をしながらあれと戦うのは流石に厳しかったから」
「上位種っすか。どうします?」
「俺が奴を引き付ける。ミューは奴に攻撃、ツクヨさんは周りを倒しつつ隙を見てミューと攻撃するのがいいだろう」
「私はいつも通り支援するわぁ」
「なら、俺たちは上位種を攻撃しつつ雑魚狩りだな」
「了解っす」
「うん、それでいいよ」
「では、行くぞ。〘アピール〙!」
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―くっ!?ボスがこんなに強いなんて聞いてないぞ!
ボクの名前はアーサー。βのころからの仲間たちと作ったクラン『円卓の騎士』のリーダーだ。今回のワールドクエストでリーダーになるのは出来てるクランがボクたちの所だけだったから簡単だった。そして他の奴らを誘導してボスと戦うのがボクたちだけになるようにもできたのに、クソッ!
「アーサー!大丈夫か!?」
「ああ、問題ない」
「しかし、このままだと不味いな。そろそろポーションも底をつくぞ。どうする?」
『円卓の騎士』は生産職以外のメンバーでフルパーティー3つ出来る。これだけいればボスなんて簡単に倒せると思ってたのになんで倒せないんだよッ!
「どうするも何もやるしかないだろ。じゃないと街が大変なことになる」
「だが、他の人にも手伝って貰うとか…」
「周りを見ろ、ヴェイン。他も手が離せる状況じゃない。我々がやるしかないんだ。例え刺し違えたとしても、覚悟を決めろ」
「すまない、弱気になってたみたいだ」
チッ!本当に他の奴らは何やってんだ、雑魚相手に時間を掛けやがって!こんな状況じゃ逃げれないし、本当に計算外だ。ここで勝ってボクの知名度をもっと上げるつもりだったのにッ!
「くッ!一撃が重いなッ、ハァァァ!!」
「皆、アーサー王に続けぇ!!」
「「「おおー!!」」」
クソッ!やっぱりこのままじゃ不味いッ!
「――〘抜刀・飛剣〙!!ツクヨッ!」
「ええ、任せて!――〘暴風の砲撃〙!」
「私も…行き、ます!」
な、何だ!?増援?三人だけか…まあいい。少しは楽になるだろう。
「増援感謝する!」
チッ!返答ぐらいしろよ。まあ、最悪負けても邪魔されたと言い訳出来そうだ。