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エゴ6

「たくっ...なぁシィ、お前はどこまで覚えてんだ?」

「質問の意図が分からない。詳細を頼む」

「記憶だよ、記憶喪失なんだからどこまで覚えてるか聞きたいんだ」


ギースは冷たいミルクをシィの前に置きながら目を見た


「そもそも記憶は失っていない。カミと言う奴に謎の車両で轢かれて死んだと言われた。」

「何言ってんだお前」

「事実だ」


ありのままをギースに説明すると頭のおかしいやつを見る目になった

何故だ


「いや事実っつったって...ならなんで生きてんだよ」

「手違いで死んだからこちらに転生させたそうだ」


しーん──


一瞬、時計の針が動く音のみが部屋に響く


「手違いなら...いや、もうめんどくせぇ!お前は生まれ変わった瞬間にあそこに居た!だからエルランドの名前も知らなかった!そう言うことか?!」


どうやらギースは深く考えることが苦手なようだな


【仮名 エルランドっつー森 を エルランド へ決定】


「総合的にそういうことになる」


眉間にシワを寄せ、頭を掻くギースに上手く説明する能力がないことを申し訳なく思うがこればかりは仕方がない


「まあなんだ、風呂入ってくる。俺が上がったらとりあえず服でも買いに行くぞ その後ギルドと買取屋に行くからな」

「了解」


足はやに脱衣所に入っていくギースが見えなくなる


「...あ、整理の続き」


やりっ放しだった装備の整理を再開する


銃のパーツを1度全て分解し、歪みが無いかの点検や消耗品の追加生成、特に弾は死活問題だ

素材があれば作れないこともないが...


どうしたものかと悩んでいると突然エイダスが警告音を鳴らした


【警告 外部干渉を感知・・・・】


全身の毛穴が開いたのを感じた


エイダスに外部から侵入するなんてレジスタンスには不可能なはず


そもそも、その他の組織だってエイダスには手出しなんてしない。


大丈夫だエイダスには自動プロテクトもするし余裕があれば追跡だって可能だと聞かされている


【データプログラム追加ウイルスの確認 プログラムを解析 ウイルス削除 及び反撃を──】


...?

急に文字が途絶えてしまったことにじわりと汗が滲む

数瞬の沈黙がまたも部屋を支配する


【解析の結果 現在 シィの有益となり得るプログラムと断定  プログラム追加ウイルスを受け入れます】


「有益なウイルス?!」


そんなの聞いたことない言葉にシィは困惑した

そもそも完璧であるはずのエイダスが有益と判断する程のプログラムがこの世にあるとは思えなかったのもあるだろう


【ファイル名  マジック3Dプリンター  インストール完了】


そう表示されたと同時にエイダスに変化が見られた

手首の内側にルーンが刻まれたが凹んでいる訳では無いようだ


なんとも説明しずらいが、円の内側に繋げた文字の様なものが絵の具で描かれているようだった


「なんだこれは...」


【マジック3Dプリンター  物体名と相応の魔力を流すことによりその物体を生成させることが出来ます】


...意味がわからん


「エイダス、魔力とはなんだ」


【この世界に充満する力の源  それは時に全てのモノに宿る可能性があり 理性のある者には力を貸し与えるが理性無きモノは魔物へと変質する】


「なるほど...法則の様なものか?」


【肯定】


「上がったぞー」


驚きと新たな知識に戸惑っているとギースが風呂から上がってきたが、少々早くないか?


「エイダス、ギースの入浴タイムは?」


【00:05:23】


「もしかしなくてもそれ、魔道具か?」


シィはチラリとエイダスを見る


【肯定を推奨】


「...そうだ。それよりギース、風呂から上がるの早くないか?」

「チャチャッと洗っただけだからだよ」


その手があったか。自分もそうすれば良かった





ギースの髪が乾いてから服屋へ向かった

道中チラチラと顔を見られては逸らされるという行為を何人もしてきたが、余程この町の欲求不満度が高いらしい


「ギース、この町はちゃんと管理されているのか?欲求不満な者が多いようだが」

「何言ってんだ、お前が美人だから見てるだけだ」


美人...確かに我々はそうだが、完全に作られた美人と聞いたら人は何の魅力も感じないだろうな

エイダスに聞いてみるか


「...エイダス」ボソッ


【予測回答 完全整形の情報開示は非推奨 ギースとの交渉や今後の生活に有利になります】


なるほど...メリットは色々あるようだし言わなくていいか


「どうした?」

「ギースも自分のことは美人に見えるのか?」

「あたりめぇだろ」


ギースはシィの肩をぽんと押して足を早める


「ギース、待ってくれ」


そんなギースを追いかけるように小走りで追いかけた




服屋に入ると店員の女性があらあらまぁまぁと口に手を当てて近づいてくる


「いらっしゃいギースさん。この間はどうも」

「いやぁいいんだよ、それよりこの子の服を見繕ってやってくれないか?」

「おやすい御用よ、ほらいらっしゃい!名前は?」

「シィ」

「まぁ!覚えやすい名前ね!シィちゃん、好きな色とかあるかしら?」


グイグイと店の中央に押され連れられる

内装をよく見ると棚の位置やポールハンガーとハンガーラックがよく見える位置が中央になっているらしい


それらをみて少々非効率的だとは思うが、客が少ないならばこの方が相手の印象に残るのだろうか


「黒」

「うーん、綺麗な黒髪のベリーショートに合う黒い服...ごめんなさい、申し訳ないけど全く思いつかないわ」

「別に黒い服じゃなくても問題ない」

「あらそう?じゃあ────」



「...長くなりそうだ」








「ギース...疲れた」


最終的にクリーム色のニットと微ダメージジーンズというとてもシンプルな形に収まった

あの長時間の選択はなんだったのかと思えるほどだ


「やっぱり美人には多く着飾らずに行くのが1番ね!」


「そうだな、これ着ていくから会計頼む」





そのままギルドへ向かうことになったのだが日が傾き始めている。昼飯がまだだがギースは大丈夫だろうか


「ギース、昼ご飯は食べなくて大丈夫か?」

「腹ペコだ、ギルドでも飯が食えるからそっちで食うぞ」

「わかった」


ギースに案内されるがまま歩いていくシィの後ろから影が伸びた

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