ダメ天使とダメ悪魔
悪魔というのは狡猾で、人を騙す生物である
そして種族全体として基本的に自分勝手な生態をしている
「ねぇー、ちょっと待ってよ」
そんな悪魔が最近、変なやつに絡まれ始めた
「ほっといてくださいまし、私はこう見えて忙しいのです!」
性別も違う
「だって気になるんだもーん、ちょっと教えてよー」
性格も反対
「私が教える義理はありませんわ!」
種族なんて正反対
「聞いた方が早いでしょ?なんで悪魔が人を助けるの?」
「それ貴方には関係ありませんわよね?!!」
何故こんなに拒否しているのに付きまとってくるのかしらこの天使は!!!
お節介というか、他人に興味があるという点については優秀な天使なんでしょうか
「人間とか助けるだけ無駄でしょ」
「貴方それでも天使ですか?!」
訂正致します。
この天使ダメダメですわ!!
「──それなのにさー?助けた回数が多い人間程、怠惰で傲慢になっていく傾向が見られたって研究が発表されたんだー、確かにそうなんだよね。すーぐ助けてって言うし「貴方がいなくなったら私死んじゃう!!」なんて言う人間の女もいるんだよ」
「そうですか、そこのクッキー取ってくださいませ」
「あ、はい──だからね、人間って滅べばいいと思うんだ。世界は僕ら天使と君たち悪魔だけでも回ると思うんだ」
「繁殖しない上に、人間に比べて圧倒的に数が少ないので地上の知的生命体数が下限を超えてしまい神が居なくなりますわよ」
人間のいる意味はその空想力を使い、神を妄想世界に実現させ、世界を潤滑に回すためにあります
そしてその神から派生して生まれたのが我々悪魔と天使なのですわ
まぁ、人間にとってはそんなこと知る由もないらしいですが
「あーあ、神のやつも馬鹿だよなぁ…なんで僕らを大量に作って人間を滅ぼさないんだろう。環境の維持とかそっちの方が楽なのに」
貴方…そのうち神に消されるんじゃなくって?
と思うが口には出さない。いっそそのまま私から離れてくださいまし
「はぁ、君もなんか愚痴とかないの?。僕ばっかり話してちゃ寂しいんだけど」
「私は今の生活に不満はありませんわ。強いて言うなら愚痴を聞くことがストレスです」
「当たりキツいなぁ、あの人間みたいに僕にも優しくして欲しいなぁ」
知りません、回れ右してさっさと飛んでいってください
そんな願いが聞いたのか天使は羽を広げ、助走をつけて飛び立った
「はぁ、毎度毎度…入れた紅茶ぐらい飲み干しなさいよ」
手付かずの紅茶と、甘味を口に放り込んで悪魔は片付けを始める
…来週も来るかしら