一緒に遊びませんか?2
「一緒に遊びませんか?」
最果てにあると言われる伝説の一族、その伝説が俺と遊ばないかと誘ってきた
何を言ってるかわからねえと思う。奇遇だな俺もわからん
「いいぞ。嬢ちゃんはいつも何して遊んでんだ?」
「私はいつもジェンガとか、かくれんぼとか...あ!最近は物を遠くに投げてそれを見つけるという新しい遊びを開発しました!」
えっへんとどこか自慢げに胸を突き出す
その美しく巨大な胸に鼻の下を伸ばしていると、恥ずかしくなったのかまた若干猫背に戻ってしまった
「ほーん。案外子供っぽい遊びだな」
率直な感想を言うと最果ての嬢ちゃんはほっぺを膨らましながら抗議する
「た、確かに子供っぽいかもしれませんが突き詰めるととても奥が深いんです!例えばジェンガはいかに芸術的でバランスよく積み上げるかを追求したり、かくれんぼは...」
「わかったわかった。俺が悪かったって」
最近遊びと言えばキャバクラでお姉さんとお話を楽しんだり娼館でどれだけイかせあえるかなんて口に出せないようなことばっかりだったからついそう言ってしまっただけだ
そもそも遊びってのは意味の無い事を突き詰めたものだったな
「よし、じゃあ今日は軽く鬼ごっことかどうだ?」
「わ、わかりました!いつも逃げる側しかやれないので捕まえるのは自信がありませんが...がんばります!」
今おかしなこと言わなかったか?
まあいいか
「始めるぞ。ジャーンけーん──」
「ひっひっふっふっひっひっふっふっ」
2回吸って2回吐く
細かく息を吸うことで走るテンポを乱さず細かく吐くことで無駄な体力を使わない
長距離を走る上で何となくいいなと思った呼吸法だ
事実いま20分程走って彼女を追いかけられている
「鬼さんこちら〜手の鳴る方へ!」
手をぱちぱちと叩きながら後ろ向きに走る彼女を周りが信じられないものを見たという目で追っていく
驚いたことに、いくら走っても彼女には追いつけない
少し距離が縮んできたと思うと路地角を曲がり、細い道を走り壁を乗り越えてまた離される
さすがは伝説に聞く最果ての地に住まう人だ
頭に違和感を覚えるような激しいなにかが走り、ムカムカと胸がうねる
これは──吐き気だ
「うぉ゛ぇぇぇっ」
「ええ!?だ、大丈夫ですか!」
久しぶりに走ったのもあるが2日酔いが頭痛と吐き気を運んできた
荒く呼吸を繰り返し、嘔吐を続ける俺の背を嬢ちゃんがさする
「すまねぇな嬢ちゃん...俺はここまでみたいだ。昨日の酔いが覚めてりゃまだ行けたんだがな」
「すみません、ついはしゃいでしまって。」
「いやぁいいんだ。俺も久しぶりに童心に帰れた気がするよ。」
「ほんとですか?!ではまた今度やりましょう!」
「次は体力をあまり使わないやつでお願いします」
いや嬢ちゃんの揺れる胸を追いかけるのは楽しかったがこれは無理だ