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VTuberはじめま…お嬢様?!

この世界は3つの企業によって回されている

ひとつは運搬を主軸とし、陸海空のみならず、宇宙にまで運送を手がけている○○(ピー)運送

通称、道祖神


ひとつは食に関しては種植えから排泄するまでの全てにおいてトップクラスを誇る○○(ピー)株式会社

通称、食神


そして、最後は電気が通るならここしかないとまでいわしめた○○(ピー)会社

通称、雷神


それぞれが契約した不可侵条約により、大きな争いは起こらず、接触しそうな場合はどんな形になろうとも利益は半分という分かりやすい形で仲良くやってきた


そんな3つの会社のうちの、1つ雷神のご令嬢がとあるものに興味を示した


それはVTuberだ


お嬢様は普段、目新しいものには興味が湧くがなかなか踏み出せないヘタレですが、なんの気の迷いか後は配信ボタンを押すだけにまで一気に事を進めてしまったのです


が、しかしながらその後一歩のところで我に返ったのかプルプルと指が震えるばかりで一向に進みません


配信予定時間は既に30分を過ぎ、コメント欄はお嬢っ!お嬢っ!と言ったコールが形成されています


「お嬢様、既に30分経過しています。これ以上待たせてはせっかく見ていてくださる方に失礼ですよ」


「わかっ、分かってるわよ…!でも、200人ってバカじゃないの?!そんな人の前で話なんてスピーチでしかやったことないし…」


お嬢様のヘタレっぷりにはぁとため息を着いてしまうが致し方ない、ここは厳しく行きましょう


「馬鹿ですかお嬢様」


「なっ!!!?」


「大手企業のVTuberではゲームのプレイで4万人が集まることも多々あるんですよ?200人ごときに気後れしているようですと今後認知度が上がった場合お嬢様の期待に応えようという気持ちで押しつぶされてしまうでしょう。ついてきてくれるならよし、誰も見ないなら気楽に好きなことをやればよし、それでいいじゃないですか。」


バカとは何よ!と口答えする前に次々とまくしたてて圧倒する

お嬢様に使えて十数年で覚えた押し通す必殺技ですが、たまに的はずれなことを言ってしまって聞かない時があるのがたまに傷ですが、今回は…


「そ、そうね。まあ、所詮は暇つぶし、そう 暇つぶしなのよ!」


マウスを振り上げ、ダン!と机に叩きつけると同時に配信が開始された


ここからは執事である私は一言も喋らない。

カンペは一応用意してあるが男の声が聞こえれば離れる人もいるかもしれないと思い、見守る


が、やはりお嬢様はピクリとも動かない

もしかして先程のマウス台パンは意図せずのものだったか?


(お、はじまった!)

(きちゃ!)

(お嬢の隣の玉ってなんだろう、執事かな?)

(はじまった)

(あじまるあじまる!)


大手VTuberには届かないがコメントが流れるのを目でおっていくとどうやら優しい類の人達が集まったようだが


さて、第一声はどうするのか


じっと見つめていると不意にお嬢様はガタッと音を立てて立ち上がり


「…っ!」


逃げ出した


「え、お嬢様ーー!?」



(なんだ?)

(ほ?)

(どこいったんだ?)

(男の声?!)

(ラブラブチャンネルか?)


「あ、えーっと初めまして。私はお嬢様の執事を務めてます、名前はー…すみません、本名はネットに晒せないのでセバスチャンとでもお呼びください。」


(まじもんのお嬢だったのか…)

(事故ってて草)


「今回はお集まり頂いたのに何も無しで解散というのは酷いと思うので僭越ながら私が進めさせていただきます」


このキャラクターの設定集のファイルを開き、上からざっと流し読みしつつ謝罪をしていく


身長145体重42(髪の重さを引いた場合)

金色の髪の毛でロングツインテール

目の色は青に白い瞳

眠そうな、しかしふてぶてしそうな目をしている

眉は眉間にちょこっとあり、斜めになっているため余計にふてぶてしさが増している


性格や詳細なに関しては特に書いておらずお嬢様のありのままで行くつもりなのだろう


服装はだぼっとした上着、首元に細い紐が通っており、緩いリボン結びがしてあるシンプルなものだった


その隣にはシンプルな卵型の執事服を着た物体がふよふよと浮かんでいる。もしかしてわたしをもしたのだろうか


ちょうどいいのでこれを私の本体としよう

と、勝手に決めてしまったがお嬢様が投げ出したので気にしないことにする





〜〜〜〜〜


「そうなんですよ、なので私がせっかくの休みの日に高所で作業する時に使う車を借りて木から救出し手差しあげたんです。酷いと思いませんか?年に片手で数えられるぐらいしかない休日にいきなり電話がかかってくるって。ブラックもここに極りってことですよ」


数十分後、私は嘘を混ぜつつお嬢様の愚痴で盛り上がった配信を前に若干焦っていた

視聴者数は500人が未だに見続けており、一人語りに近いので切り上げるタイミングが掴めずに居た


ここは素直に視聴者の方に聞いてみた方がいいのだろうか。若干の不安を持ちつつ話を持ちかける


「えーっと、そろそろ終わりたいのですがどう切り上げれば──」


ダン!!!!



その時、扉が勢いよく開かれた

すわ、何事か!と振り向くとお嬢様が部屋に飛び込んできたのだ

それも般若の形相で


「お嬢様?!いや、これは今から切り上げるところでして、明日また始めれば問題ないかと…あ、お嬢様?それはダメです!そっちに関節は曲がりませ…!んぎゃァァァァァァ!!!!」


──配信は終了しました──

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