どうやら僕はスキルの使い方を間違えていたようです1
僕にはユニークスキルがある
いつからあったかは分からない、でもそれがあるからこそ僕はこの道を進んだ
「ファイアーボール!」
魔力を練り上げ詠唱を口にする
火球が手の中に現れ、僕はそれを全力で的に投げつける
ボブンっ!!
何度も何度も的に魔法をぶつけるが、思うように威力が上がらない
「はぁ...魔術、やめようかな。あだっ」
そう独りごちていると後ろからぺしんっと教鞭で叩かれた
「お前がどうしてもって言うから親御さんが頭下げてくれたんだぞ、ここまで来て何言ってんだよ」
この人は親戚の兄ちゃん。名前はだいぶ前に聞いたけど、兄ちゃんって呼んでたらつい忘れちまった。
まあ、兄ちゃんで通るからいっかと過ごしているうちに何年も聞きそびれたままになってしまっている
「だってよぉ、的も壊れないんじゃゴブリンだって倒せないって言ってたじゃん」
「今の段階で一撃で倒そうとする方が間違ってんだけどなー...」
だって俺のユニークスキルならきっとゴブリンの2匹や3匹余裕で倒せるはずなんだ!
「うーん...なあ、お前のユニークスキルってのなんだっけ?」
「魔撃だよ。相手に魔法をぶつければ10倍になる超超超強い最強スキル!...のはずなんだけどな〜」
「10倍...にはなって無さそうだな」
みんなと同じように相手に魔法を当てれば10倍になるなんて夢みたいなスキルのくせしてテンで効果が見られない
兄ちゃんは焦げ跡の着いた的を見て腕を組む
「まあ、普通に魔法は便利だし、お前は攻撃系の魔法ならほとんど使える。冒険者目指すなら覚えといて損は無い。ていうかほとんどタダで教えてやってんだから感謝しろよ?」
「兄ちゃん...飯と住にお小遣いまで貰えてこれ以上求めんのか?」
「あーあ、前の教え子のとこは衣食住に大金まで貰ってかわいいメイドさんと必要なもの買いに行くついでにデートまで出来たのになー」
「マジで?!」
兄ちゃんが口笛拭きながら「やめよっかな〜」と言いながらこちらをニヤニヤ見ている
「くっ...オネガイシマス」
「よろしい。さて、次は──」
こうして俺は悔しいながらも魔術師となっていったのだった