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悠久の王は──5

(やっと魔法が使えるくらいにはなったな、やはり魔法は好みじゃない。体力と比べ物にならんぐらい回復が遅い…)


ポケットの中でハムスターはこれからどうしたものかと顎に手を添える


(ひとまず腹ごしらえしたいな。朝から何も食ってないし)


そっと顔を出すと香ばしい匂いに腹を鳴らす

本当にハムスターが雑食で良かったと思う

ドングリや野菜だけの食事は勘弁して欲しい


ポケットから出てテーブルに飛び降りると、目の前には自身と同じ大きさのパンが山盛りにお皿に積み上げられていた

ハムスターは久しぶりの加工物にヨダレを滝のように流す


(おぉ、パンよ…そなたはここまで食欲をそそるものだっただろうか)


感動に打ち震えながら1歩、また1歩と近づくが、皿の縁が高く、上手く登れないでいると後ろから手が伸びてきた

その手は楽々とパンをひとつ持上げた


「ハムスターってパン食べるのかな?」


「ちゅ!」(食べる!)


「しらなーい、一欠片上げてみたら?」


タケが食べやすいよう千切ってわたすとハムスターは大事そうに両手で受け取り1口ずつ口に含み、ゆっくりと噛み締めた


(うまい…人間の時にはここまで大事に噛み締めたことがあっただろうか…小麦の風味が鼻を通り抜けるようだ)


一欠片食べている間にタケ少年はパンを半分にしてバラバラにしたものをお皿に乗せてくれた

どうやらこれを食べろということだろう


む、口の中がパサパサだ…水は用意して貰えなかったのか


まあそれくらいなら自分で出せるからいいか


「ちゅー」(ウォーター)


パシャリと地面に水を落として飲みに行こうとタケ少年の膝からよじおりると

奇っ怪な物を見るような目でこちらを見ていた


いや、魔法を使うハムスターは奇っ怪な物で合っているか


「まじ?」

「マドカ、お前魔法使った?」


ケン少年がマドカ少女に尋ねると首をブンブンと横に振る


「ハムスター…魔法が使えるんだね」

「飼い慣らせたら戦力アップじゃん…どうする?王様の口に戻したら戻ってこないかもしれないけど」


「戻すわ」


ユミが断固とした口調で語る


「私の体型を戻すためにまずは戻さなくちゃいけないのよ!」

「ユミちゃん、最近ふ、太ってきたって言ってたもんね。ハムちゃんに懐いてもらってから戻せばきっと大丈夫だよ」


マドカもユミと同調しつつ、戻すタイミングの案を同時に出した

それならばしっかりと戦力確保にも、ユミの切実な願いも叶い、喧嘩にならないだろう


「んじゃ明日の目標ははハムスターと仲良くなろうだ!」


「さんせー!」「異議なし!」「わかった」

パンを食む──

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